待望の!「日本産ヒラタムシ上科図説第2巻」が発行されました!!

本日(11月5日)、平野さんから、待望の「日本産ヒラタムシ上科図説第2巻」が送られてきました。

このコーナーでも、昨年(2009年)の5月12日に、第1巻の発行をお知らせしたばかりですから、

速報!!「日本産ヒラタムシ上科図説第1巻」が発行されました

http://www.coleoptera.jp/modules/xhnewbb/viewtopic.php?topic_id=86

1年半を待たずして、2巻目が発行されたことになります。

表紙
表紙

第1巻は、ヒメキノコムシ科、ネスイムシ科、チビヒラタムシ科でしたが、

第2巻の今回は、
ホソヒラタムシ科、キスイモドキ科、ムクゲキスイムシ科の3科
が掲載されています。

ホソヒラタムシ科は2亜科16属46種、
キスイモドキ科は2属4種、
ムクゲキスイムシ科は1属21種
の、計71種が扱われ、

ホソヒラタムシ科5種と、ムクゲキスイムシ科5種の学名は未決定です。

上記のグループは、ムクゲキスイムシ科を除いて図鑑類に検索表が無く、従来は、絵合わせや、少ない説明文を頼りの同定を強いられていました。

今回も、第1巻同様に、全ての属、種について、検索表が付いており、

ホソヒラタムシ科の属の検索表の一部
                        ホソヒラタムシ科の属の検索表の一部

解説のページでは、これも、第1巻同様に、1ページに上下2種ずつ、全形図と解説があります。
多くの種が、通常の採集や、アセスメント調査、モニタリング調査などで普通に出現する種ばかりですから、同好者にも調査を生業とする者にも、大助かりの図説と云うことが出来ます。

ハバビロセマルヒラタムシのページ

                        ハバビロセマルヒラタムシのページ

キスイモドキのページ

                            キスイモドキのページ

オオムクゲキスイのページ

                                オオムクゲキスイのページ

このオオムクゲキスイについては、記載されたときのホロタイプの標本1頭しか知られておらず、このコーナーでも、持っている人がいないか呼びかけてみたのですが、とうとう見つからなかったようです。
結局、その基準標本を北海道大学から借用して図示されているようです。

今回は、前回以上に図版を鮮明にするために、深度合成画像を使用し、ハイレベルの補正も実施されているそうです。

前胸にトゲのある一群では、前胸の拡大写真も添えられ、解りやすくなっているようです。

ホソミツカドホソヒラタムシの図版

                          ホソミツカドホソヒラタムシの図版

また、ずいぶん以前に同定をお願いした、ミツモンセマルヒラタムシと考えていた種が、学名未決定のアラメセマルヒラタムシとして掲載されており、改めて、この群の難しさを実感しています。

アラメセマルヒラタムシのページ

                      アラメセマルヒラタムシのページ

1つ意外だったのは、従来、ヒラタムシ科に含められていたヒメヒラタムシ類が、ホソヒラタムシ科に含められていることです。

ヒメヒラタムシのページ

                           ヒメヒラタムシのページ

第1巻で、チビヒラタムシ類が、ヒラタムシ科からチビヒラタムシ科に移されたことを考え合わせると、従来、ヒラタムシ科とされていたもののうち、現在もヒラタムシ科に所属しているのは、ベニヒラタムシ、エゾベニヒラタムシ、ルリヒラタムシの中型〜大形の3種と、クロムネキカワヒラタムシ(Pediacus japonicus)、チャイロキカワヒラタムシ(Pediacus kurosawai)、キノカワヒラタムシ(Pediacus fuscus)の小型3種の計6種になるようです(本図説6ページの解説参照)。

(上の文は、平野幸彦氏のご教示により、最初アップした文章を11/16に改訂しています。氏に感謝申し上げます。)

これらの分類は、Lobl & Smetana (eds.). Catalogue of Palaearctic Coleoptera 4 (2007)に準拠しているそうです。

巻末に、さらに2010年に発表された、Leschen, Beutel & Lawrence (Eds.)による日本産ヒラタムシ上科の新分類大系も示してあります。

新分類大系の一部

                           新分類大系の一部

なかなか、新分類大系に付いていくのも大変です。

今回の図説でも、一部に種名が未決定のものもありますが、現状においての最新の知見が網羅されていて、雑甲虫屋には必携のものとなると思います。
もっと詳しく調べたい方にも、良いたたき台として、使用して頂けると思います。

第1巻のそうした姿勢も、多くの甲虫屋から支持を受け、多方面から好評価を受けた結果として、こうして、比較的短時間にシリーズ第2巻が発行される原動力になったものと思われます。

代金は第1巻同様、3000円+税だそうです。

平野さんは、この後も、次々と微小で難解な種群の解説出版を計画されていますので、是非とも、出版が継続していけるように多くの方の応援をお願いします。

また、検視標本など、研究材料の提供・協力も可能な方はお願いしたいと思います。

この本は「昆虫文献 六本脚」から出版されましたので、ご注文はそちらにお願いします。

(申込先)
〒102-0075 東京都千代田区三番町24-3 三番町MYビル
昆虫文献 六本脚  roppon-ashi@kawamo.co.jp
TEL 03-6825-1164 FAX 03-5213-1600
http:/kawamo.co.jp/roppon-ashi/

平野さんへ、標本提供などでご連絡されたい方は、このページの「おたより」をクリックされるか、出版社を通じてご連絡下さい。

このシリーズが10巻以上、続けて発行されることを、切に期待しています。
そのためにも、より多くの方の購入をお願いします。