青木淳一先生追悼
青木淳一先生とEメールで語りあった日々 1

2008年9月11日に水野弘造さんからメールが届きました。

「青木淳一先生がチビヒメヒラタホソカタムシの標本所持者を探しておられます。もしも心当たりがあれば、先生に連絡を差し上げてください。」

水野さんのメールには、青木先生のメールが添えられていました。

「目下、「図鑑に出ていないホソカタムシ」という題で報告を書くつもりで、せっせと図を描いています。ほとんど描き終わったのですが、チビヒメヒラタホソカタムシ Synchita(= Cicones) minima (Sharp, 1885)だけが標本が見られず、困っています。どこかにあるか、ご存知でしたらお教えください。」

さっそく、手元の標本を確認した後で、水野さんには翌日、[私の標本を探してみましたが、該当するものはなさそうです]と返事をしました。

(この種は、その後しばらくしてから、大分の堤内、三宅、佐々木の3氏によって再発見され、青木先生が報告されました(青木, 2012)。写真はその報告の付図から引用しました)

青木淳一, 2012. チビヒメヒラタホソカタムシ,130 年ぶり再発見の顛末記. さやばねニューシリーズ, (8): 7-10.

その後、出張仕事などが続いて、その事は忘れかけていたのですが、9月23日になって、ふと思いついて、水野さんにメールしました。

[先日は、青木先生お探しのホソカタムシは見あたらず残念でした。その後、どこかで見つかりましたでしょうか?

その種とは違いますが、現在やっています沖縄モニタリングのサンプルの中に、種不明のホソカタムシがあります。
青木先生に見ていただきたいと思うのですが、ご紹介いただけないでしょうか?
問題のものは、添付した種で、クロツヤツツホソカタムシに似ていますが、寸詰まりで、体長も半分以下です。]

と書いて、写真を添付しました。

(不明のツツホソカタムシ)

同日、早速、青木先生から返事のメールが届きました。

「はじめてお便りします。水野先生を介して、チビヒメヒラタホソカタムシSynchita minima (Sharp)のことでご面倒をおかけしました。今、「図鑑に出ていないホソカタムシ」という報文を作成中で、ひとつずつ図を描いています。この種だけ標本が見られずにいますが、あきらめるしかないようです。

水野先生から転送されてきた虫、拝見しました。触角がチラッと見えていて、球桿部が黄褐色くて膨らんでいるように見えますので、ホソカタの可能性がありますね。ただし、よくゴミダマに騙されますので、標本を見ないことには確定できません。ぜひ、拝見したいものです。ホソカタならば、日本未記録のものでしょう。

ダニの新種は450種以上記載して飽きてしまいましたので、退職後は昔好きだったホソカタムシに没頭しています。駆け出しの虫屋ですので、どうかよろしくお願いします。」

とあり、住所も添えられていました。

これが、10数年に亘る青木淳一先生との楽しいメールのやりとりの始まりでした。

ダニ類の高名な先生であることは存じていましたし、最近、ホソカタムシをやられていることも聞いていましたが、こんな風に、気軽に声を掛けてくださるとは思いも寄りませんでした。

(1973年発行のダニの本、メールを始める前から持っていた唯一の青木先生の本)

早速、標本を送ったところ、2日後、25日には詳細な検鏡結果が届きました。

「正体不明のホソカタムシ、無事到着しました。貴重な標本を見せていただき、ありがたく存じます。
早速拝見しましたが、Teredolaemusであることは確かなようです。T.politusに似ていますが、言われる通り、ずんぐりしていますね。印象だけでは怪しいので、体長と最大幅を測定しました。長さを幅で割った数値は、
  小さい個体: 2.85
  大きい個体: 2.95
既知種のほうは図鑑の図を拡大して測定しましたが、
  T. politus: 3.4
T. guttatus: 3.3
で、たしかに沖縄のものは「ずんぐり」でした。残念ながらT. politusの標本が私の手元にありませんので、なんとかして採集するか、どなたかに分けてもらい、体をばらして比較する必要があります。既知種の場合は、1匹お返しし、他の1匹は頂戴できるとおっしゃってくださいましたが、新種の場合は、どうなりましょうか。

もし、お許しいただけるならば、きちんと全形図を描き、写真を撮ったあとで、1匹だけ涙をのんでバラしてプレパラートをつくりたいのです(もっとも、バラさないと、既知種か新種かわかりませんが)。もちろん、他の完全な1匹はお返しいたします(ご希望であれば、プレパラートも)。まだ、良くは見ていませんが、触角の球桿部は、どうも2節のように見えます。Sharpの原記載の図ではpolitusは3節のようです。」

今坂さんは、甲虫のどのグループにもっとも興味をお持ちですか。できましたら、採集の努力をしてみますので、お知らせください。」

私もすぐ自己紹介も含めて、返事を書きました。、

[測定結果をお知らせいただきありがとうございます。手元にT. politusもいくつかあったのですが、それも送れば良かったですね。簡単に手に入らないようなときはお知らせ下さい。

新種の場合は、ホロタイプが必要でしょうし、貴兄の手元にも無いと不便と思います。ですから、新種の場合は、返していただかなくて結構です。
ご研究のために必要と言うことでしたら、どうぞ、ご存分に。
やんばるのモニリングはまだ続いていますので、まだ、採れるかもしれません。

それに、色んな方が、沖縄でも採集されていますので、また、水野さんに声を掛けて、何人かの人に手配写真でも送って、ないかどうか、尋ねてみられてはいかがですか?
しばらく時間がいただけるなら、私の方で、声を掛けてみても良いですよ。

触角は、私は送るために包みながら、ざっとみて、3節と思ったのですが・・・。

存分に調べてみて下さい。そして、面白いことが解りましたら、お知らせいただければ幸いです。少なくとも、日本未記録種ではあるようで、送ったかいがありました。

私の方は、もともと、長崎県の島原半島で20年ほど甲虫のファウナ調査をしておりました。ですから、甲虫全体を解らないなりに追いかけていました。

そのうち、地理的に変化するグループが面白くなって、中条道崇先生と共にヒサゴゴミムシダマシをやり、月刊むしに11回にわたってうんちくを書いて、チョウ屋さん等のブーイングを受けました。

その後、ジョウカイボンが、やはり、地域変異が著しいことを知って手を出し、森本桂先生に声をかけていただいたので、ジョウカイボンの分類をやるために九大の昆虫学教室に研究生として通いました。

しかし、仕事が忙しくなったので研究は進展せずに、研究生も止めて、そのまま個人的にぼちぼち継続しています。
仕事の方も、現在は自営でアセスメントの調査をしております。

そんなわけで、甲虫は何にでも、一応興味があり、何らかの意味で面白そうなものには飛びつくクセがあります。

今年は、虫の古い友人が沖縄のやんばるで、年間通じて全昆虫のモニタリング調査をやることになり、面白そうなので手伝うことになりました。

私の分担は、その彼がマレーズとピットで採集した全部の甲虫を一応ソーティング・同定して、私では解らないものや面白そうなものを、専門の研究者や同好者に配って、調べて貰っています。

まだ、4ヶ月分しか調べていませんが、甲虫だけでも明らかな新種と思われるものが10種以上でてまして、まだ、まったく手がついていないものも20~30種あります。

そんなこんなで楽しんでいます。
ホソカタムシでも、他にも面白い話がありましたら、是非、お知らせ下さい。]

このメールを出してから後、私は平野幸彦さんの依頼で、12月7日、神奈川県立生命の星・地球博物館における神奈川昆虫談話会12月例会で、「分化線による九州の生物地理-西九州と東九州-」と言う話をしてきました。

(神奈川県立生命の星・地球博物館)

(神奈川昆例会での講演)

青木先生からは帰宅後すぐの12月10日にメールがありました。

「沖縄で採集されたTeredolaemus、どうにか作図と記載を終わりました。あとは先日お聞きしましたパラタイプの採集データさえ分かれば、投稿できます。ホロタイプは国頭村与那覇岳23-I-2008となっていますが、もう1匹のパラタイプにしようと思っている標本の詳しい採集地、採集年月日、採集者をお知らせください。」

その返事。

[パラタイプ候補の採集地は、国頭村安波(あは)です。
国頭村南部の東岸にある安波ダムの岸辺にある森林を、村が、「学びの森」として整備し、エコツアーや、子ども達の学習に役立てていまして、標本はその場所のモリタリングで得られたサンプルです。

(やんばる学びの森)

採集日は、マレーズトラップが長期間放置してありますので、2008年4月7日~21日の間としか、表示できません。

採集者は杉野廣一(すぎの こういち)氏です。上記、モニタリングの実施責任者です。]

折り返し翌日の青木先生のメール。

「早速のお返事、ありがとうございました。神奈川ではお会いできず、残念でした。AHAは大文字でしたので、何かの記号かと勘違いしました。安波だったのですね。来年の1月位は、沖縄に出かける予定です。大変興味ある研究材料をありがとうございました。たぶん、昆虫学評論に投稿できると思います。」

神奈川ではお会いできず・・・と言う言葉に???

この時まで私は、青木先生が2年前まで、神奈川県立生命の星・地球博物館の館長さんをされていたことは全く知りませんでした。
平野さんに伺って、初めて、「神奈川ではお会いできず」の意味に納得しました。

12月26日には、またメールが来ました。

「いよいよ寒さが本格的になってきました。お元気ですか。いくつかの件について、ご連絡します。

(1)送っていただいたTeredolaemusは、あれからいろいろと検討しましたが、上翅の斑紋のあるなしを除けば、あまりにguttatusに似ており、別種とするにはやや抵抗がありますので、やはり新亜種として記載することにいたしました。どうか、ご了承ください。

和名は「ヤンバルツツホソカタムシ」としようと思っています。推測ですが、分布も渡瀬線あたりを境にして南北に分かれるのではないでしょうか。今後の調査に期待しています。原稿の提出先については、昆虫学評論は締め切ったばかりなので、沖縄生物学会を考えています。

(2)この亜種の標本を平野さんも所持しているのではないかとのお話でしたので、先日平野さん宅にお邪魔してみましたが、彼のところにあるのはpolitusとguttatusのみでした。

(3)沖縄行きの日程がほぼ決まりました。1月24日ー27日まで河野昭一氏と伐採影響の調査、地元の平良という人が同行してくれるそうです。1月28日から29日の午前中あたりまではフリーになるはずですので、その時に杉野廣一さんにお会いできればと考えています。杉野さんにご連絡願えますでしょうか。

24日以降30日まではレンタカーを借り切っています。28日の宿泊場所はまだ決めていませんので、どこか杉野さん宅に近いところを教えていただければ予約をしておきましょう。「学びの森」とは与那覇岳の中にあるのですか。」

今坂の返事。

[以上、了解しました。おまかせしたので、ご都合の良いようにお願いします。
お手数をかけました。平野さんの標本をザッと眺めたときに、同じようなものがあるような気がしましたが、裸眼ではよく見えてなかったようですね。

先日モニタリングの件でお知らせしたように、安波ダムの岸辺に、事務所・公園施設とともに、「学びの森」が設置されています。

杉野さんは週の内3日、事務所に詰めていらっしゃって、「学びの森」の案内他の業務をされています。
先生が行かれることは、お知らせしておきますので、直接、勤務の都合などを確認されて、お尋ねされた方が良いかと思います。]

さらに、追伸メール。

[杉野さんに、先生の来訪をお知らせしましたら、喜んでお待ちしています、ということです。宿泊先などは、彼に相談下さい。

ところで、言い忘れていましたが、和名は(ヤンバルツツホソカタムシ)とありましたが、もし、種であればそれで良いと思いますが、亜種なら、アトキツツホソカタムシ沖縄亜種で良いのではないでしょうか?

亜種和名を付けると、種和名と区別が解らなくなるので、明らかに亜種と判断できる和名を付けた方がよいのではないか、というのが私の意見で、その件は、ホームページにも、掲載しています。]

12月28日の青木先生の返事。

「たびたびご連絡ありがとうございました。

(1)杉野さんには、連絡のメールを打ったところです。返事をお待ちしています。

(2)ヤンバルの例のホソカタムシ、もう1頭出てきたそうで、ありがたいことです。拝見したうえで、パラタイプに追加させてただきましょう。ご都合の良い時に、お送りください。そのパラタイプの保管はどこにしましょうか。他のタイプと一緒に国立科学博物館でよいでしょうか。それとも、今坂さんが保管されますか?

ダニやほとんどの動物の世界では、タイプシリーズはすべて公的機関に保管を依頼するのが当たり前になっていますが、前に他のホソカタムシの新種を記載した時に、すべてのパラタイプを大学博物館に入れてしまったところ、「少しは私の所にの残しておいてくださればよかったのに」と採集者に文句を言われてしまいました。

あとで幾人かの昆虫学者に聞いたところ、昆虫の場合にはパラタイプを個人が所有することはよくあるとのこと、私は知りませんでした。どういたしましょうか。

(3)亜種の和名についてのご意見、うかがいました。検討させていただきます。」

これにたいしての今坂メール。

「そうですね。いろいろの場合がありますが、ホロタイプはそういうところに入れるとしても、パラタイプは採集者と記載者で分け合わせて持っていることが多いようです。

先の博物館のようなところに入れてしまった場合、アマチュアでは次に同様の標本を得て、比較しようと思ったとき、おいそれと、借り出して比較したりできないという事情と、自身が採集・発見した虫を持っておきたいと言うことがあるようです。

今回の分は、沖縄のモニタリングの標本なので、その成果の第一号として、1個体は、学びの森の事務所で保管したいのではないかと思います。
そのあたりを杉野廣一氏に確認されてはいかがでしょうか?

亜種和名については、うるさいことを言いますが、ご検討をお願いします。
最近、いろいろな分野で、和名については論議があります。

虫の方では、記載をされるプロに、和名を無視、あるいは、軽視される傾向があり、多少の混乱があるように思います。
鞘翅学会でもルリクワガタ問題などが起こって、最近になって和名検討委員会が発足しているようです。」

さらに、青木先生の返事。

「もう1頭見つかったTeredolaemusの標本はパラタイプにする以上、確認させていただくために、お送りくださるようお願いします。その上で、この1頭は言われるように学びの森事務所で保管できるようにしたいと思います。1月に沖縄へ行くときに杉野さんにお渡しするように考えます。

インターネットで、今坂様の業績を見て、その多さ、幅広さに驚き、敬服しています。
明日、私から郵便物を発送しますので、ごらんください。」

翌29日にも青木先生のメール。

「標本、お送りくださるそうで、待っております。
杉野さんからは、大変好意的なメールを、今もらいました。28日の夜に会いたいと伝えました。翌日の29日は勤務がないそうなので、どこかへ案内してくださるそうです。

文献によれば、沖縄本島のホソカタムシは1種と書いてありましたので、9種(今回の種を入れると10種)いると言ったら、きっと驚かれるでしょう。
よい方をご紹介いただき、ありがとうございました。」

これに対する今坂のメール。

[標本、本日お送りしましたので、年内には届くだろうと思っています。

彼は彼なりに、なんとか、ホソカタムシを採っていただこうと、いろいろ考えているようです。

私が与那覇岳で採った場所も、車道横の小規模な伐採跡(邪魔な木を払った程度の)で、まったく歩く必要がない場所なので、地図でも書いて、渡しておきます。

(やんばる大国林道)

できれば、もう少しパラタイプが増えた方が良いでしょうから。採ったのはちょうど、今年の、ほぼ同じ頃でした。

(2008年1月23日に与那覇岳大国林道で採った甲虫、左端の黒くて細長いのが件のホソカタムシ→ホロタイプ)

ところで、杉野さんは、自身では何も言わないと思いますが、40年近く前の、カミキリがブームになった頃は、若手カミキリ屋として、あちこち走り回り、琉球も南から北まで2往復くらいして、私達の仲間内では知らないものはないほどの有名人でした。]

30日には標本が着いたようで、青木先生のご報告。

「Teredolaemusの標本、書留で無事到着しました。まったく破損しておりませんでしたので、ご安心ください。お手数をおかけしました。同じものであることを確認いたしましたので、パラタイプにくわえさせていただきます。

杉野さんについての情報、ありがとうございました。素晴らしい方であることを、頭に入れておきましょう。」

それに対する返事。

[了解しました。わざわざお知らせありがとうございました。
沖縄で虫取りにも行かれると思いますので、もう少し、パラタイプが増えると良いですね。]

2008年の大晦日である翌31日には、青木先生から大量の御高著・別刷りが届きました。

また、問題のホソカタムシの記載文の原稿も同封してあり、見ると、私も共著者として加えていただいていました。
以下はそれに対するお礼と、僭越ながら、共著者としての意見です。

[昨日、大量の御高著別刷リ、及び単行本2冊が届きました。わざわざご恵送いただき、心よりお礼申し上げます。
お正月にゆっくり楽しんで読ませていただきます。

それから、ホソカタムシの記載に、私まで共著に加えていただける由、大変、光栄でありがたく思っております。
実質、何もしていない点が後ろめたい気がしますが、変な奴だと目を付けた、という点を評価していただいたと、理解しております。

先日、鞘翅学会の編集委員の1人と話をしておりましたら、先生が提出された前のホソカタムシの論文は、まったく添削の必要のない完璧なもので、さすがにプロの記載文だ、と言っておりました。図もすばらしいですね。

(ケブカヒメヒラタホソカタムシ Aoki, 2008より引用)

Aoki, J. (2008) A new species of Colydiinae (Col., Zopheridae) from Tokunoshima Island, Southwestern Japan. Elytra, Tokyo, 36(2): 275-278.

せっかくお送りいただきましたので、勉強の意味で、拝読させていただこうと思っています。

それで、その中身についてですが、

第一に、何度も繰り返して恐縮ですが、和名の点です。
アトキツツホソカタムシ沖縄産亜種と、産の字が入っていますが、日本産甲虫の種・亜種を合わせて12600種あまりの中に、今のところ、亜種名に産の字を入れているものが見あたりません。産は無くても良いのではないでしょうか。

試しに、記載文の出だしをちょっと読んでみたのですが、Mr. Imasakaが採集した云々という文があります。多分、後で、私を共著に加えていただいたための齟齬と思います。このあたりは書き直して下さい。

それと、私がモニタリングをやっているのではなく、モニタリングの計画者は国頭村が運営している「学びの森」で、実際の担当者(採集者)は杉野廣一氏です。

今年1月に調査計画を立てるために呼ばれて、私も「学びの森」を訪れ、与那覇岳にはプライベートで採集に行ってホソカタムシを採ったわけです。
その標本と、モニタリングで得られた標本を一緒にお送りしたために、混同されたのだろうと思います。

もう一つ、ホロタイプは♀の表記がありますが、パラタイプは2個体共に性別の表記がありません。雌雄の判別は難しいのでしょうか?
それと、♂交尾器の表示は必要無いのでしょうか?

ホソカタムシはいじったことが無いので、♂交尾器の重要度がどれくらいか良く解りません。
ただ、最近は甲虫の記載では、せめて、♂交尾器の表示くらいは・・・という風潮があります。亜種とする根拠の1つとして、アトキツツホソカタムシ原亜種の♂交尾器との比較も必要な気がします。

私がいじくっているジョウカイボンは、♂交尾器の表示が必須なので、ホロタイプが♀であることも含めて、ちょっと違和感があります。

和名については、多分基本的なところで、先生のお考えと似ていると思います。先生も書かれているように、和名は記号的なもので、(食草などの)間違った和名以外は、今まで長く使用された物は、もとのままで良いと考えています。科や属などを反映させた名前に変える必要は無いと思います。

しかし、亜種と種は、やはり区別が必要と思います。
ジョウカイボンみたいなむちゃくちゃに変異の激しい群をやっておりますと、同じ地域に15も20もの姉妹種が混在していまして、おまけに、となりの山塊では亜種が変化したり、別種になったりで、分布や系統を考えるためにも、亜種と種を峻別するのが、まず、必要になります。
そういった意味で、亜種と種だけは、区別した和名が欲しいと思います。

長々と失礼しました。
良いお年をお迎え下さい。]

2009年1月1日も青木先生のメールから始まりました。

「Teredolaemusの原稿について、共著のご承諾ならびにいつくかのアドバイス、ありがとうございました。

(1)沖縄産亜種は沖縄亜種に改めました。
(2)書き出しのところ、書き直しました。
(3)今坂さんのアドレス、脚注に入れました。
(4)最初にバラバラに分解してプレパラートにした個体は♂でした。幸い交尾器もプレパラートになっていましたので、作図しました。全形図の横にFig.2として挿入しました(したがって、2以降の番号が図中および文章中でずれます)。
他の2個体は、なんとか腹部の末端からピンセットを挿入して交尾器を取り出しましたが、両方とも♀でした。ばらした個体をホロタイプにするのもどうかと思われますので、今の段階ではホロタイプは♀になってしまいます。残念なことをしました。♂の交尾器をアトキツツホソカタのものと比べましたが、差異はありませんでした(違っていれば別種になるところでしょう)。

そこまで確かめたので、ホロタイプは♀でもいいかとも思いますが、今坂さんとしては気になるでしょうから、しばらく投稿は控え、1月の沖縄採集で雄を採集するよう努力することにします(あまり期待できませんが)。それが不首尾に終わりましたら、このままの原稿で提出することをお許しください。

(5)ひとつ、なお気になることは、「すべての亜種にも和名をつけるべき」とのご意見だと思いますが、「OOOO沖縄亜種」では、亜種であることを「表示」あるいは「識別」はしていますが、亜種の和名を「命名」したことになならないと思います。

かといって、ヤンバルアトキツツホソカタムシと命名したのでは、今坂さんの心配が復活してしまいます。悩みはてなしですね。
まだ、不注意なミスがあるとおもいます。どうか。ご指摘ください。」

今坂の返事。

[明けまして、おめでとうございます。
早々に、賀状もいただいていたようで、恐縮しております。

訂正の点、了解しました。

♂交尾器まで、確認されているのであれば、問題ないと思います。
交尾器もほとんど変わらないとすると、確かに、亜種としか考えられませんね。
杉野さんには、私の採集場所の地図を送ってみましたが、他人では、なかなか場所の特定が難しそうです。
場所が解ったから、採れるというものではないでしっうが・・・。

種と紛らわしい亜種名があることよりは、その形のほうがマシだと思っています。ホームページで提案したのは、・を間に入れて、亜種和名を創るという方法でしたが、それ以外でも、明らかに亜種と解る和名を創る方法をどなたかが、創造していただければよいのに・・・と考えています。]

さらに、1月2日に送信。

[最近は、ハムシに少し凝っておりまして、紙包み標本をひっくり返して、小型のトビハムシや、ヒゲナガハムシの仲間を見ておりましたところ、自身の同定誤りを1つ見つけ、さらに、新種らしいもの1つと、持ってないと思っていたもの1つを見つけ出して一人喜んでおりました。

さて、御高著別刷りの方、多少読んでみました。
見つけ採り採集から、調査地全体の多様性を評価する方法、アリの緒方先生や、アリヅカムシの野村さんが、同様のことを話し、書かれていましたが、先生の文章が種本でしたか。

経験的に、虫は植物のようなコドラート法では、かなり抜けが出るし、1m横のサンプルを採っただけで、個体数が3ケタくらい違ってくるのがザラですから、へたに、定量でやっているつもりでいると、逆にそうではないことを感じています。

今のところ多様性の研究では、定量のスタイルは採らずに、逆に、その環境の虫が生息する全ての微環境を押さえながら、任意に採集する方が、かえって定量に近づくようです。

緒方さんが言われるように、調査時間や人数を決めてやるなど、同じ調査方法で比較する方が良さそうですね。

環境評価の試論のつもりで書いた別刷り1編を含む、多少の別刷りを、帰省から戻ってからお送りします。

私の方、環境会社に勤めていたときから、例の諫早湾の干拓地の昆虫モニタリングをやっておりました。

たまたま、下請けで私の会社が入って、私が陸上生物の担当になり、実際の調査では、昆虫と土壌生物を担当しました。私が同定できるのは、甲虫だけなので、その他は社内で分担してやっておりました。

会社で、5~6年担当してから、退社して、フリーになったのですが、元請けの方から、モニタリングの担当者は替わって貰っては困ると言われて、こんどは、個人で参加して、昨年も行っておりました。

ほぼ、10年近く、海から出てきた更地の昆虫の変遷を見てきたわけですが、結構ドラマチックでした。

その中で強く感じたのは、昆虫より植物の方がより早く動き、定着すると言うことです。
ヨシなど、何もない泥地が出現すると、沖に向かって毎年80m以上の速さで生息地を拡げます。約3年くらいで、水際まで到達してしまいました。
3年目くらいから、ヨシの後を、セイタカアワダチソウなど陸上の植物が追いかけ始めます。5年目くらいになると、ヨシの間に、水際まで、他の植物も進出してしまいました。

植物に比べて、それを食べる昆虫は植物の到着から、1~2年遅れます。実際は、来ているかも知れませんが、十分な量のホストが無いと定着できないのかも知れません。

それに引き替え、早いのはクモとダニです。クモは、ヨシが進み出したら、即座にその最前線まで進出していました。
ダニはまだ潮気が抜け切れていない貝殻まじりの土に、2年目から見られ、年を追うごとに、順調に属の数と個体数が増えていきました。

干拓地は、最寄りの森林からは5~10kmは離れていましたが、森林性のササラダニも結構見つかって、クモとダニは空を飛べることを確信しました。]

続けて追伸。

[何度もすみません。沖縄モニタリングの9-12月のサンプルを調査中ですが、中に、ヒメヒラタホソカタが1個体入っていました。

図鑑のベニモンヒメヒラタに似ていますが、前胸の幅が狭いのと側縁が丸いので?と言う感じです。とりあえず、画像を添付してみましたが、画像で同定できるかどうかお知らせ下さい。無理なら、標本をお送りします。]

(沖縄モニタリングのヒメヒラタホソカタムシ)

翌3日には、早速青木先生の返事が来ました。

「 長年の環境調査のご経験からくるご感想、うなずきながら拝読しました。

私も最初は他の土壌生物研究者と同じように、地面に缶を打ち込んでやっていましたが、統計処理するにはものすごく多くのサンプルを取らねばならぬことが分かり、それ以来生息密度よりも種組成が大切との考えで調査をすることにしています。

その根拠となったのが、富士山麓で行った調査で、その結果が提案した「拾い取り法」です。冷たい缶ではなく、血の通った暖かい手で、まさぐるように取るのがいい、ということです。その論文はお送りしたかどうか忘れましたので、後ほどお送りします。

(打ち込み法と拾い取り法の種数の違い、青木, 1978の付図を引用)

青木淳一, 1978. 打ち込み法と拾い取り法による富士山麓青木ヶ原のササラダニ群集調査. 横浜国大環境科学研究センター紀要, 4: 149-154.

論文にはしていませんが、川崎で海底の泥をくみ上げて埋め立てした土地の生物定着を調べたことがありました。

陸上生物ゼロの状態からスタートして、最初にやってきたのは、やはりクモ、ダニ、トビムシなどでした。予想以上に多くの生物が空を飛んでいることは、ハワイのビショップ博物館にいたときのエアープランクトンの調査でわかりました。上空5000mを飛んでいた飛行機につけたネットに、なんとカタツムリが入ったのです。

さて、画像をお送りいただいたホソカタムシですが、触角が写っていないものの、上翅の斑紋の特徴から、まず以下の種に間違いないです。
クロモンヒメヒラタホソカタムシ Synchita nivea (Sharp, 1885)

それほどやたらに採れる種ではありませんが、北海道から沖縄まで広く分布する種です。

小生も正月はどこへも出かけず、家で箱根駅伝と虫を交互に見ています。

10月に小笠原母島で採集してきたホソカタムシが新種と判定されたので、その記載を行っています。」

私は1月4日に返事を書いた。

[2日ほど、長崎の方へ帰省しておりました。
その間、ちょっと時間があったので、いただいた和名の本と、先日出た高桑さんの退官記念誌を楽しんで読んでおりました。

(高桑さんの退官記念誌表紙)

和名の本はなかなか傑作な部分もあり面白いですね。

高桑さんの自己履歴の記事で、先生がつい2年ほど前まで、神奈川県博の館長さんだったことを知りました。どこかで聞いていたようにも思いますが、改めて確認した次第です。
重ね重ね失礼があったかもしれませんが、虫屋同士という立場でお許し頂ければ助かります。

結局、ちゃんとやっていれば、自然を理解するためには、同じような方法(拾い取り法)が有効という結論に達するようですね。

クロモンヒメヒラタホソカタムシはそんなに分布の広い種ですか。九州では採ったことがありませんでした。
さっそくに、同定いただきありがとうございます。
同定の確認に必要でしたら、改めて触角の写真を撮ってお送りしますが・・・。

また、こんなものがありました、と、お知らせできればよいですね。
今年は私の方も、ホソカタムシには気を付けてみます。
効果的な採集法などありましたら、ご教示下さい。]

1月5日の青木先生のメール。

「和名の本をさっそく読んでくださって、嬉しいです。

博物館長は6年間勤めましたが、週2日の非常勤でしたので、給料は館の便所掃除をしているオバサンと同じくらいでした。

ただ、高桑君や苅部君などの虫屋や動植物の分類屋たちに囲まれて、大変幸せな最後の務めでした。大学にはほとんど分類学者がいなくなってしまった今、博物館にはまだ自然誌や分類学が息づいているのは心強いです。

クロモンヒメヒラタホソカタムシは、私は岩手県玉山村、東京都高尾山、徳島県高越山、熊本県八千代市などで採っています。
斑紋がはっきりと見えましたので、触角は見なくても大丈夫と思います。

最初は、ホソカタムシなどは、もう新種はほとんど出ないと思っていましたが、よくよく調べると出てくるものですね。やはり、南のほうがおもしろそうです。

採集法は、落ち枝の叩き、立ち枯れ木へのスプレー(アースジェット)、倒木の皮剥ぎなどです。灯火採集、マレーズトラップ、FITなどでも採れるようですね。虫捕りの名人である西宮の田中勇さんは、冬のさなか、12月-1月に奈良の春日大社で枯れ枝を叩き、イチハシホソカタムシなどの珍品をたくさん採っています。私も今月に行ってみようと思っています。」

青木先生の大量の御高著・別刷りのお礼にもなりませんが、手持ちの拙著をお送りしました。
青木先生の1月10日の返礼メールが次の通り。

「貴重なご業績をまとめられたたくさんの印刷物、届きました。

改めてご研究の幅の広さに驚いております。多良山系だけで甲虫1469種とは驚きですね。

また、ジョウカイボンに関する興味尽きないお話、アオハムシダマシをまとめられたモノグラフ、触角や脚をばらした図が添えられた素晴らしい図鑑、そのアイデアとご努力に頭が下がります。

(アオハムシダマシの脚の色彩パターン)

(アオハムシダマシ図鑑)

採集シーズンの到来を楽しみに待機しているところです。」

1月13日には、前回別刷りが無く、送りそびれていた「武雄市宇宙科学館周辺の甲虫相」のコピーを郵送しましたが、そのことをお知らせするメール。

[本日、コピーをお送りしました。多少、環境調査の性格を加味して書いたものです。

杉野氏から、私がホソカタを取った場所を確認できたとのメールが入りました。たぶん、そこは案内すると思います。]

1月19日の青木先生のお礼メール。

「お礼が遅くなりましたが、「武雄市宇宙科学館周辺の甲虫相」をお送りいただきありがとうございました。ずいぶんと丹念な調査をなさったのですね。それに、ただのリストではなく、他地域の調査結果をも念頭に入れての分布型、植生との関係、生態区分なども示されており、大変参考になります。

(武雄市宇宙科学館周辺の甲虫相の付図)

ホソカタムシでは、マメヒラタホソカタムシを始めて九州から記録されており、手元の分布記録に書き加えました。

(武雄市のマメヒラタホソカタムシ)

沖縄調査の日も迫ってきました。杉野さんから宿のご紹介もいただきましたし、28日夕方にはお会いすることになり、翌日29日には、どこかへご案内下さるそうです。楽しみにしています。」

この後、1月24日から青木先生はやんばるのホソカタムシ採集に出かけられる予定のようで、杉野さんからも以下のようなメールがありました。

「青木先生の件、1月24日-27日は林道・伐採地跡のダニの調査で28日はそのまとめ、28日夕方から29日午前中にやんばるのホソカタムシ調査、29日午後-30日中南部のホソカタムシ調査とのことです。かなりのハードスケジュールですが、水野さんの話では、お歳を感じさせないタフガイのようです。

そこで28日は学びの森、29日伊地林道その他をご案内する予定です。その下見に数箇所行きましたら、樹皮下から4種ほどホソカタとその近縁種を見つけました。
このグループは異節群と球角群にまたがっており分類はややこしそうですね。」

さらに、1月30日には杉野さんから事後報告もありました。

「青木先生が帰られました。
28日夕方学びの森、29日安田、大国林道(今坂ポイント)、比地、伊地林道を案内しましたが、さすがホソカタムシの専門家、この2日で合計7種(コヒラタ、ナガセスジ、クロサワオオ、ツヤナガヒラタ、ダルマチビ、オキナワマダラ、ヒメヒラタの一種)のホソカタを採られました。お年を感じさせない採集ぶりに脱帽です。

今坂ポイントでは、アトキツツは取れなかったもののオキナワマダラをはじめて採ったとはしゃいで居られました。

日本産ホソカタの全リストと図鑑に載っていないホソカタ20種の図等沢山のお土産を貰いました。沖縄本島にはあと10種ぐらいはホソカタが分布するはずだから頑張ってとハッパをかけられました。」

そして、その青木先生からも、2月2日に報告がありました。

「先月30日、沖縄から帰ってきました。28日に河野昭一先生の調査隊一行と別れて、3時ころ学びの森を訪れ、ご紹介いただいた杉野廣一さんに会いました。勤務中にもかかわらず、マレーズトラップを仕掛けた場所へ案内してもらい、その周辺で採集を試みましたが、アトキツツは採れませんでした。

夜は私の宿泊先のホテルへ来ていただき、夕食をともにしながら、虫談義に花を咲かせました。翌日は勤務がないとのことで、大国林道、伊地、比地などを案内してもらいました。
今坂さんがアトキツツを採集されたというポイントへも行き、切り株を調べましたが、アトキツツはおらず、切り株の樹皮や材の表面部分を削り取って持ち帰り、自宅のツルグレン装置に仕掛けて抽出を試みましたが、ホソカタ4種が出てきたものの、アトキツツは出てきませんでした。残念です。

そんなわけで、ホロタイプは♀にするしかありません(ただ1頭の♂は解体してプレパラートになっています)。雄を採集する努力は一応やりましたので、先日お見せした共著の論文はそのまま提出したいと考えますが、いかがでしょうか。なお、修正すべき点の追加がありましたら、お示しくだされば、ありがたいです。

杉野さんと別れてからは、今まで行ったことのない南部の南城市へ行き、垣花城址で小笠原からしか知られていないホソカタムシ、ノコギリヒメヒラタホソカタムシSynchita bonina (Nakane)を採集することができました。そのうち、どこかで報告したいと思います。」

2月5日の今坂の返事。

[アトキツツは残念でしたね。
杉野君も先生のバイタリティ溢れる採集ぶりに感嘆のメールをくれました。
今度の沖縄行きではよほど種を稼がれたのでしょう。お楽しみで良かったですね。

私の方、やんばるのモニタリングの9-12月分の同定の残りを頑張っているところです。]

これに対して、即日、青木先生の返事。

「お返事、ありがとうございました。今坂さんにご紹介いただいたおかげで、杉野さんからよい採集場所を教わり、ありがたく存じます。

杉野さんに会う前、学びの森の近くの安田の村へ行く途中に絶好の「ホソカタの木」を見つけましたので、杉野さんには時々行って見られるように、勧めておきました。

アトキツツホソカタムシ沖縄亜種の記載は、とくに追加訂正がないと言ってくださいましたので、沖縄生物学会へ投稿させていただきます。この学会も最近は審査がうるさくなり、また何かいろいろと言ってくると思いますが、その時にはご相談いたします。」

青木先生からは、またまた、大量に別刷りが送ってきました。
それで、2月14日にお礼のメールを書きました。

[本日、ご高著別刷り多数受け取りました。たいへん有難うございます。
「図鑑に載っていない日本産ホソカタムシ」の別刷り、大変助かります。図鑑とこれがあれば、とりあえず、日本産は同定できるということで、さっそく、同定用アンチョコとして、まとめているファイルに保管しました。

いいものが手に入ったばかりのところ、贅沢と言われそうですが、是非、この次には、日本産全部の種まで落とせる検索表を作って下さい。

このご報文は、こうして色々やり取りをしていただけるきっかけともなった文章と言うことで、ひとしお感慨があります。

ところで、共著にしていただいた論文、細かい訂正があったと言うことで、わざわざお知らせいただき有難うございました。

私の方も、あの後、新しいワードのバージョンのファイルも開けられるようになりました。

ですから今後は、原稿を送付いただかなくても、作られた新しいワードのファイルのままで見ることが出来ます。
と言っても、そう再々、共著みたいなこともないでしょうが・・・。

なお、諏訪野町の読みはSuwano-machiで、Suwano-choではありません。

さて、同封いただいた原稿の、♂交尾器の図ですが、ホソカタムシの♂交尾器がどういう形をしているのかまったく知らないもので、どこのあたりをどう描かれているのか、よく解りませんでした。

(アトキツツホソカタムシ沖縄亜種の♂交尾器: Aoki & Imasaka, 2010より引用)

それで、自身の勉強のために、クロツツホソカタムシの♂交尾器を取り出して、写真を撮ってみました。ちょっと、小さすぎて、これ以上、顕微鏡のピントがデジカメでは取れないようです。

(クロツツホソカタムシの♂交尾器)

ぼけぼけですが、図版を見て下さい。
結局、こういうことですよね。左の腹面図の、lateral lobeと、median lobeのあたりを描かれているのでしょう?
今回の亜種は、原亜種と♂交尾器では差はないのでしょうか?

また、このクロツツホソカタムシと見比べても、良く似ていて、どのあたりが違うのか良く解りません。
明らかに違うところが、どこかありますか?
それとも、♂交尾器は、あまり、使えない種群なのでしょうか?

それにしても、ホソカタムシは、ゴミムシダマシの前にありますので、かつて調べたヒサゴゴミムシダマシや、アオハムシダマシに似た、筒状の(パラメラをした)♂交尾器を想像していたのですが、全然違うのですね。

やはり、何でも、見てみないと解らないものですね。]

つづく