大野原のナイター−付 ハギチビクロツツハムシとルリナガツツハムシの卵−

大野原へは、昨年は、1ヶ月半に1度の間隔で、計4回出かけました。
行くたびに様々な甲虫との出会いがあり、そのつど、このホームページでお知らせしました。

2年目の今年は、野焼き後の3月末を皮切りに、歩行虫の探索から始まって、ほぼ1ヶ月に2度ずつ出かけていて、すでに5回も出かけています。

さすがに、新しく発見できる種はだんだん減ってきているのですが、それでも、思わぬ種と出会うたびに、気持ちを新たにすることが出来、当分、大野原通いは止められない感じです。

前回は、ハギアラゲサルハムシという新顔を発見したので、もう少し数を稼ぐのと、一部は連れて帰って飼ってみようと考えました。
それと共に、今回は、ナイターをやってみようと思い立ちました。

大野原のナイターというと、長崎昆・会誌編集の柴原さんが、蛾の採集に足繁く通っていることは、会員の間によく知られています。
さっそく、柴原さんと連絡を取ってみました。

自衛隊の演習場の夜が、どんなぐあいか、やはり心配だったのです。
前回は、初めての「赤旗」や射撃音も経験しましたし・・・。

柴原さんからはすぐに返事があり、
「自宅から20分と近いので、しょっちゅう出かけてますから、声を掛けて頂ければ出てきます。ただし、夜間訓練が有る夜は、遠慮して欲しい、と言われることがありますから、その時は諦めて下さい。」
ということでした。

ということで、今年6度目となる6月24日、梅雨の晴れ間を目掛けて、午後からナイターメインで出かけました。
さすがに梅雨真っ盛りで、大野原の空も雲が重く垂れ込めています。
溜め池も、このところの雨で満水状態です。

6月24日の大野原
6月24日の大野原

着いたのが午後3時半と、あまり時間がないので、さっそく、マルバハギのところへ向かいます。

マルバハギ
                              マルバハギ

ハギチビクロツツハムシは、前から余り増えていません。

ハギチビクロツツハムシ
                           ハギチビクロツツハムシ

相変わらず、いくつかのハギの株を見ていって初めて、1個体ずつ見られる程度です。
目をこらしてみても、採れるのは♀ばかりのようで、これこそ♂というものは見あたりません。

今回は、大部分を生かして連れて帰ることにして、吸虫管で吸いながら、溜まるとハギを詰めた容器に移していきます。

そして、帰宅して確認したところ、やはり♂は見つかりませんでした。

ツツハムシ(Cryptocephalus)属内で処女生殖をする種は、知られていないと思うのですが、いっそう、その考えに傾いてきました。

一方、むしろ、ハギアラゲサルハムシは多くて、一部を標本にして、残りの大部分は生かして持ち帰ることにします。

ハギアラゲサルハムシ
                           ハギアラゲサルハムシ

ビーティングネット上に落ちたハギチビクロツツハムシは、動きが早く、うかうかしていると飛んで逃げてしまいます。

しかし、ハギアラゲサルハムシは走って逃げることはあっても、まったく飛びません。
上翅を拡げる動作すら見なかったので、この種は、飛ぼうとはしない種だろうと思います。

5月に九重のクリの葉上から採集したヒメアラゲサルハムシには、一部、飛んで逃げられた経験がありますので、Demotina属の種全てが飛びたがらないわけではないようです。

次に、溜め池の方へ移動し、メドハギを探してみます。

メドハギ
                              メドハギ

無数のサクラサルハムシ・マルキバネサルハムシ、そして、少数の、アオガネヒメサルハムシとアオバネサルハムシは見られましたが、肝心のルリツツナガハムシはなかなか見つかりません。

だいぶ探して、やっとワンペア見つけ、このベアもメドハギと共に連れ帰ることにしました。

ルリツツナガハムシ
                            ルリツツナガハムシ

時折、アザミの花にオオウラギンヒョウモンが飛来しますが、昨年ほど多くないようです。
運良く、吸密中の♂の写真を撮ることが出来ました。

オオウラギンヒョウモン
                            オオウラギンヒョウモン

今日は、この後、ナイター(灯火採集)をやる予定ですが、暗くなるまでにはまだ時間があるので、その間、ベイトトラップをいくつか設置することにしました。

本来なら、1晩〜2晩放置した後に回収するのですが、2〜3日後にまたすぐ出かけてくるのはさすがに無理で、3〜4時間の設置でもやらないよりはマシで、何か入ってくれることを期待したわけです。

湿地の回りや林縁などに、少しずつ掛けます。

ベイトトラップ
                             ベイトトラップ

暮れるのを待ちかねて、早々に持参のライトトラップを設置し、それから夕食の弁当を拡げます。

ライトトラップ
                            ライトトラップ

無風で気温も高く、ベットリとからみつくような湿度が感じられ、ナイターには絶好と思えるコンディションです。

柴原さんに連絡すると、暮れる前には到着するとの返事です。

妙に紅い夕焼けに包まれた頃、柴原さんがやってきました。

大野原の夕焼け
                            大野原の夕焼け

こんな無風の大野原は珍しいそうです。
自衛隊の大型車両が、時折通りますが、特に声も掛けられず、今日は、「遠慮してくれ」と言われる恐れもなさそうです。

溜め池を夾んで、100mほど向こうに柴原さんがライトトラップを設置します。

付近は暗くなりましたが、なかなか虫は飛来しません。
そのうち、小さな黒点がポツポツ集まり、次第に数が増えてきます。

どうも、フン虫のようですが、この草原では放牧はしていないので、牛糞などに集まる種ではなさそうです。

自身のライトトラップを設置し終えた柴原さんが近寄ってきて、情報交換と四方山話です。
月に2〜3回以上、ほぼ、年間通じて、大野原に通われているようです。

それにしても、思ったより虫が少なく、一緒に、柴原さんのライトを見に行くことにします。

するとこちらは大違い、大小の虫が走り回っています。

柴原さんのライトトラップ
                           柴原さんのライトトラップ

柴原さんのセットは、スクリーンの前後に、100ワットの水銀灯が設置してあり、先のフン虫は無数に見られ、チャバネアオカメムシが多数走り回っています。

見ると紅い虫がいて、例のベニツチカメムシでした。

ベニツチカメムシ
                          ベニツチカメムシ

ライトにも結構来るそうです。

蛾以外はどうぞどうぞ、ということで、目に付いた甲虫は一通り採集させて頂きました。

帰宅して同定したところ、46種の甲虫がライトで採れており、このうち30種ほどは、大野原では、まだ採ったことのない種でした。

例のフン虫は、オオニセツツマグソコガネ Ataenius australasiae (Bohemann)で、

オオニセツツマグソコガネ
                           オオニセツツマグソコガネ

この種は、従来沖縄本島以南で採集されていた種ですが、西田(2002)により既に大野原より記録されています。
それに先立つ半年くらい前の報文で、豊島(2002)も岐阜県から記録しています。

その後も、ぼつぼつ記録があるようですが、どうも、本土の分布は断片的で、人為的に移入されたような感じがします。

堆肥・朽ち木・土中から発生するとあり、糞に集まる種ではありませんが、草原にある何から発生しているのでしょうか?
個体数は非常に多く、灯火に集まったものを全て採集していたら、3ケタになっていたと思われます。

他に、飛来したのは、フトキノカワゴミムシ、クロズカタキバゴミムシ。
意外にもクロモンヒラナガゴミムシも灯火に来ました。

ホソセスジゲンゴロウ、アカバナガエハネカクシ、キヌコガシラハネカクシ。
ムネスジコガシラハネカクシは長崎県から記録のない種です。

ムネスジコガシラハネカクシ
                          ムネスジコガシラハネカクシ

ムーアシロホシテントウ、アオカミキリモドキ、そして、最近ブームのホソカタムシのメンバーであるヨコモンヒメヒラタホソカタムシ。

ヨコモンヒメヒラタホソカタムシ
                         ヨコモンヒメヒラタホソカタムシ

しばらく柴原さんのスクリーンで採集させて貰ってから、自身のライトに戻りましたが、柴原さんのセットとは雲泥の差で、今回は、水銀灯の威力をまざまざと見せつけられたナイターでした。

ライトを片づける前に、夕刻に設置しておいたベイトトラップを回収することにしました。

短時間でしたが、ミイデラゴミムシが多少入っていて、湿地性のツヤヒメヒョウタンゴミムシ、草原の常連のヒトツメアオゴミムシが見られました。

意外だったのは、河川敷でよく見られるニセクチブトコメツキ Lanecarus palustris (Lewis)、チャイロムナボソコメツキ九州亜種 Agriotes subvittatus nakayamai Ohira、

そして、シバオサゾウムシ Sphenophorus venatus vestitus Chittendenやアラメエンマムシ Zabromorphus salebrosus salebrosus Newtwon in Johnson et al.が入っていたことです。

チャイロムナボソコメツキ九州亜種
                         チャイロムナボソコメツキ九州亜種

チャイロムナボソコメツキ九州亜種は、ナカヤマカバイロコメツキとも呼ばれ、かつて、京都の巨椋池原産の種の亜種として知られていました。
溜め池の湖畔や河川敷で見られる種で、山口県と九州では福岡県から知られているだけで、長崎県からは初めての記録になります。

(上:シバオサゾウムシ、下:アラメエンマムシ)

シバオサゾウムシはゴルフ場の芝生と共に、外国から侵入した種で、大河川の河川敷で見つかることが多い種です。
アラメエンマムシは、大形で表面の点刻が粗く、ちょっと格好の良い珍品ですが、最近までその生態は余りよく知られていませんでした。
筑後川では河川敷の草地から見つかっており、大野原でも最近記録されています。

自然草原と思いこんでいた大野原にも、これら人為的とも思われる種もかなり分布しているわけです。

翻って考えてみますと、有る意味、草原自体が、人為的にしか存続し得ない状況ですから、その人為により移動してきたと思われる種がいても、それは当然のことでしょう。

人が野焼きや草刈りなど手を掛けて維持している草原の別の側面が、ちょっとだけかいま見えたナイターでした。

柴原さんは、「一人でやるのは寂しいので、いつでも声を掛けて下さい。」と言って下さいました。
さすがに、あの水銀灯の威力を考えると、声を掛けずに自分一人で行くのはバカらしい気がします。
今後も、可能ならご一緒をしたいと、つくづく感じました。

(引用文献)
西田光康, 2002. 九州北部におけるオオニセツツマグソコガネの記録. 鰓角通信, (5): 28.
豊島健太郎, 2002. オオニセツツマグソコガネの岐阜県の記録. 鰓角通信, (4): 18.

◎追補

<ハギチビクロツツハムシの卵の紹介>6月30日

大野原のナイターの前に、10頭前後のハギチビクロツツハムシ♀を生かしたまま食草のマルバハギと共に連れて帰ったことは、この項の冒頭でお知らせしました。

それを、小さなタッパーの底にキッチンペーパーを敷き詰め、マルバハギは水切りをして、水を含ませたティッシュで基部を包み、それを水が漏れないようにラップで包み、配置したタッパーの中に放しました。

ハギチビクロツツハムシの飼育容器
                         ハギチビクロツツハムシの飼育容器

2日後に見ると、キッチンペーパーの上に点々と黒点が見えました。

点々と見える黒点
                            点々と見える黒点

糞にしてはあまり形がそろいすぎているし、大きさも大きいので、あるいは卵かと思いました。
成虫と黒点の大きさの違いは、ちょうど、次の写真で解ると思います。

(ハギチビクロツツハムシ♀と黒点)

黒点をもう少し拡大したのが次の写真です。

黒点の拡大写真
                             黒点の拡大写真

形が一定だけではなく、表面が凸凹している様子も良く似ています。

ということで、顕微鏡の下に移動しました。

(顕微鏡で拡大した黒点=卵)

これは明らかに構造物です。表面に鱗片状の突起物が見られます。
木元・滝沢(1994)のハムシ図鑑の、幼虫の図版を見ると、同属のツツハムシ類では同様の卵の図が添えられています。

ツツハムシ類の♀は、産んだ卵に、自身の糞をコーティングした上で、地表に落下させることが知られていて、種ごとにコーティングされた卵の形(糞球の形)は違うようなのです。

確かに、ハギチビクロツツハムシのコーティングされた卵の糞球は、鱗片状の突起物の長さが長く、他の種と区別できそうな感じがします。

キッチンペーパーの上に落下した糞球は、次第に乾いて褐色に色が変化するようです。

乾いたハギチビクロツツハムシの卵の糞球
                       乾いたハギチビクロツツハムシの卵の糞球

確認のために、この乾いた糞球を、湿らせて柔らかくし、そっと糞の皮を剥いでやると、思った通り、中から滑らかな卵の外皮が見えました。

糞球を割った中のハギチビクロツツハムシの卵
                      糞球を割った中のハギチビクロツツハムシの卵

この糞球の大きさを顕微鏡下で測定したところ、長径が0.68mm、短径が0.5mmほどでした。♀成虫の体長が2.6mm程度ですから、糞でコーティングされてるとはいえ、体長の1/4に近いかなり大きな卵を生んでいるわけです。

もう少し、卵の全体の形を確認しようと、さらに糞球をいじくっていたところ、いきなり卵がシャボン玉のようにパチンと弾けてしまいました。

卵が弾けた後の糞球の外皮
                          卵が弾けた後の糞球の外皮

糞球の内側は、かなりなめらかに見えます。

さらにもう1卵、同じ事を繰り返してみましたが、卵から糞球を剥がす前に、やはり卵が弾けてしまいました。

ハギチビクロツツハムシの卵の外皮はひどく薄くて破れやすいようで、そのため、親は糞で厳重にコーティングして地表に落とすものと思われます。

最初に言い忘れましたが、ホームページ等にも述べましたように、ハギチビクロツツハムシの♂はまったく確認できず、当然、交尾中のペアも見ておりません。

発生初期より、♀成虫のみ見られ、その♀を飼ってみたところ即座に産卵しました。10個体前後の♀がいたと思われますが、産卵数は50個以上、それも2日の間にこうした糞をまぶす産卵加工をした上での産卵です。

卵のサイズも長径が体長の1/4程度とかなり大きく、♀には労働・体力・養分共にかなり大きな負担かと思います。

この後、放置して、どの程度の日数で孵化するかどうか、見てみたいと思います。

ハギチビクロツツハムシが処女生殖ではないかということは、状況証拠のみですが、一連の観察で、かなり信憑性が高まったのではないかと思います。

<ルリナガツツハムシの卵>7月2日追加

引き続き、ハギチビクロツツハムシとハギアラゲサルハムシ、ルリナガツツハムシを飼って、様子を観察しています。採集してきてから、今日で、8日目です。

ハギチビクロツツハムシは相変わらず、産卵を続けているようで、もう、100卵以上になっています。
2♀が力尽きて死にましたが、まだ、8♀は元気に動き回っています。

一方、ハギアラゲサルハムシは10数個体の♀がいて、死ぬ個体は無く、盛んにハギを食べて多くの糞をしていますが、まったく産卵しません。

ルリナガツツハムシは1ペアだけで、数日ずっと交尾を続けていましたが、昨日見てみると、♂は死んでいました。

さらに、本日、キッチンペーパーの上を詳細に観察してみたところ、卵と思しきものが見付かりました。

ルリナガツツハムシの卵
                          ルリナガツツハムシの卵

拡大したのが、次の写真です。

ルリナガツツハムシの卵の拡大
                          ルリナガツツハムシの卵の拡大

ちょうど、パイナップルの肌のような、幾何学模様の糞球がきれいです。
木元・滝沢(1994)のキボシルリツツハムシの卵によく似ています。

産んだ直後は黒っぽくて、乾燥すると黄褐色に、色が淡くなるようです。

大きさは、長径が0.7mm、短径が0.43mmで、先にお知らせしたハギチビクロツツハムシよりむしろ細く容積は小さいようです。

ルリナガツツハムシは体長4mm前後ですから、卵の長径は体長の1/6程度でしょうか?

ハギチビクロツツハムシの卵は体長の1/4程度でしたから、体長比で言うと、ルリナガツツハムシの約1.5倍くらいの卵を産んでいることになるわけです。

発見できた卵は37個で、これを1♀が産んだわけです。
少なくとも、ルリナガツツハムシはハギチビクロツツハムシよりは小さい卵をより多く産むタイプのようです。

それにしても、ハギアラゲサルハムシはなぜ産卵しないのでしょうかね。
こちらは糞球などは作らないはずなので、どんな形で産卵するのかよく解りませんが・・・。

今後も何か解れば、またご紹介したいと思います。

◎追加補足

<ハギチビクロツツハムシとルリナガツツハムシの一齢幼虫の紹介>7月13日

6月24日に大野原で採集したハギチビクロツツハムシと、ルリナガツツハムシが、7月2日には、それぞれ、100卵ほどと、数卵を産んでいることを報告しました。

それぞれ、そのまま湿気を保った状態で飼っていたところ、エサのメドハギにカビが生えて、どちらも7月6日には成虫は死んでしまいました。

卵の糞球にもカビが生えているものもありましたが、湿度を保ってそのままにしておきました。

7月12日に確認したところ、ハギチビクロツツハムシの容器では、容器の底のキッチンペーパーの上にばらまかれていた卵の多くが、容器の壁面や、ペーパーの上部に移動しています。

容器の壁面やペーパーの上部に移動した幼虫
                       容器の壁面やペーパーの上部に移動した幼虫

これは、絶対孵化していると考えて、顕微鏡の下で確認すると、紛れもなく幼虫が糞球から体前部を出して歩いていました。

6月24日から産卵し始めたとしても、最長で、活動を確認したのが18日ですから、ほぼ半月ほどで孵化し幼虫が活動を始めたことになります。

一齢幼虫がそのまま糞球の殻を背負ったまま動き始めることも初めて知りました。

その後は、自身で修復・再構築していくのでしょうが、微小な孵化したばかりの一齢幼虫に体全体を覆う糞球は作れないでしょうから、親がああやって、糞で卵をコーティングして産むのは、さすがに、後々のことまで計算に入れた実に合理的な仕事と感動します。

よく見るとペーパーを囓っているようなので、すぐにエサをと思いましたが、この仲間の幼虫は落ち葉を食べることになっているにもかかわらず、手元には落ち葉はありません。

まあ、間に合わせの代用食でもと考えて、飼育用に使っていたメドハギなどの枯れかけた葉を入れます。
そうして時間を稼いでおいて、庭の隅にでも、なんか適当な落ち葉がないか探しに出かけます。

庭の端に咲いているツツジの枯れ葉を少々取ってきて、入れてやろうと容器を開けてみると、既に、幼虫たちはメドハギの枯れかけた葉に集まっていました。

メドハギの枯れかけた葉に集まっているハギチビクロツツハムシの幼虫
                メドハギの枯れかけた葉に集まっているハギチビクロツツハムシの幼虫

「茶色くなってしまった枯れ葉でなくても良いのだ」、と思いながら、ツツジの枯れ葉を片隅に入れ、しばらく観察を続けてましたが、幼虫はツツジの枯れ葉には集まってきません。

メドハギの枯れかけた葉に集まり、しきりと囓っているようで、多少生でもかまわず囓るようです

メドハギの枯れかけた葉を囓るハギチビクロツツハムシの幼虫
                   メドハギの枯れかけた葉を囓るハギチビクロツツハムシの幼虫

顕微鏡下で拡大すると、単眼の集まりの目や、丸い頭の形、色の着いた前胸なども確認できます。

ハギチビクロツツハムシの幼虫
                           ハギチビクロツツハムシの幼虫

1時間後に、もう一度容器の中を覗いてみましたが、やはり、ツツジの枯れ葉には集まっていませんでした。

親が卵を産み落とす、草原のハギの下の地表には、ハギの葉が圧倒的に多いでしょうから、ハギの落ち葉だけ食べていても間に合うのでしょう。
匂いか化学物質で、ちゃんとハギを見分けているのでしょうか?
それにしても、幼虫も、ホストの落ち葉(多少生でも)を食べるとは、考えれば当たり前のことですが、思いつきませんでした。

さらに、ルリナガツツハムシの容器を見ると、こちらも2個体だけですが、幼虫がいます。同じように糞球から前半身を出していましたが、ちょっとつつくと、中に引っ込んでしまいました。

ルリナガツツハムシの幼虫
                          ルリナガツツハムシの幼虫

ちょっと見にくいですが、左上に丸い頭が見えます。

しばらく放置していると、とことこ歩き出しました。

歩いているルリナガツツハムシの一齢幼虫
                       歩いているルリナガツツハムシの一齢幼虫

頭の形や、単眼の位置などやはりハギチビクロツツハムシの幼虫とは、どことなく違ってみます。

こちらにも、マルバハギの枯れかけた葉をいれてやると、そのうち、そろそろと集まってきました。

(補足:大野原のハギについて、マルバハギかヤマハギか混乱して、今回の文章も、すべて、一旦、ヤマハギと表示しましたが、その後、小原さんに再確認したところ、大野原のものは、マルバハギで良いそうです。ということで、本文中にヤマハギと書いていたものを、すべてマルバハギに訂正しました。ご教示いただいた小原さんに感謝いたします。)