原色昆虫大図鑑改訂

北隆館から、新訂「原色昆虫大図鑑II, 甲虫編」が刊行された。

旧版は1963年発行で、その当時の日本産甲虫類の大部分を掲載した図鑑として、中根猛彦、大林一夫、野村 鎮、黒沢良彦の4名の著者により刊行された。
1図版に24種前後、それを2ページで解説し、解説文は基本的に原記載を抄録するという、画期的な図鑑であった。今坂は、この図鑑で甲虫屋として育って来たと言えると思う。ある時期、虫の名前を言われると、何ページのどの位置に図版があるか即座に答えられるほどであった。

発行後43年を経て、今回、森本 桂九州大学名誉教授の監修により、改訂版が発行された。

新訂「原色昆虫大図鑑II, 甲虫編」では、和名・学名・分布などの改訂が行われ、環境保護の観点から、レッドリスト掲載種や、害虫などの表示が付加されている。
一部のグループについては、図版も改訂し、分割された亜種や近縁種の説明なども付け加えられている。
日本産甲虫類は、現在12000種余りが知られており、一方、本図鑑に搭載されているのは4200種余りで、全ての日本産甲虫を種まで本図鑑でたどり着くというわけにはいかない。
しかしながら、解説文は基本的に原記載を抄録しているので、分類群によっては、搭載されている種の解説は確実で、他の図鑑類より解りやすい部分が多いのも事実である。是非、多くの図鑑や解説文と併用されることをお奨めする次第である。

改訂者は、若手の甲虫研究者など34名で、九州大学昆虫学教室出身者が多く含まれている。
今坂は、ホタルモドキ科、ホタル科、ベニボタル科、ジョウカイボン科を担当した。
今なら、著者割で購入可能なので、必要な方は連絡して頂きたい。

なお、1843 ヤノニンフジョウカイと、1871 ニセキベリコバネジョウカイは、図版が入れ替わっている。出版社に善処を求めたいと思う。