春の南大隅 -雨と風と低温と- その5

南大隅四日目(5月11日)

天気予報通り、前日10日夜半から風と雨。

11日は朝から雨が強くなったり、弱くなったり、ネットが振れる状態ではありません。

最終日の明日(12日)はまた晴れる予報で、帰路は、県道74号を伊座敷方向に走り、海岸沿いを少し調べてみるつもりです。

それて今日は、極力、それ以外の方向のトラップ類を回収することに専念しようと思いました。

(辺塚周辺の採集地)

辺塚周辺の採集地

まず、県道563号を熊之細、そして、ビジターセンター方向に走り、この間のイエローパントラップやライトFITを回収してしまいましょう。

ビジターセンターの入り口付近に置いたイエローパントラップは、探しても見つかりません。
人目に付きやすい場所に置いたのは失敗で、ゴミと思われて撤去されたようです。

(ビジターセンターの入り口付近)

ビジターセンターの入り口付近

雨もやや小降りになったので、林縁や花を叩いてみますが、相変わらず、寒いこともあり、余り虫は落ちてきません。

道を下っていきながら、ニシキウツギやミズキの花を見つけては掬い、林縁を叩いていきますが、ほとんど初日に見たのと同じような顔ぶれです。

県道への合流点の少し手前、左側の斜面が伐採されていたので、枯れ木が無いか見てみましたが、スギ植林の伐採だったようで、雑木の粗朶もほとんど残っていませんでした。

(県道手前の伐採地)

県道手前の伐採地

ここまでで採れたのは、オオアオモリヒラタゴミムシ○、ベーツホソアトキリゴミムシ、フタホシアトキリゴミムシ△、ホシハネビロアトキリゴミムシ△、チャイロチビマルハナノミ△*、ヒメクロコメツキ、アカアシクロコメツキ○*、ケブカクロコメツキ△*、キバネホソコメツキ、ヒラタクシコメツキ*、チビニンフジョウカイ*、セボシジョウカイ△、マルムネジョウカイ、ツバキヒラタケシキスイ○*、ムネアカチビケシキスイ○*、カタベニケブカテントウダマシ*、コクロヒメテントウ、

ヒサゴホソカタムシ○、クロフナガタハナノミ*、ニシアオハムシダマシ、ナガハムシダマシ*、フタオビヒメハナカミキリ、ナガバヒメハナカミキリ*、ニセヨコモンヒメハナカミキリ、ドウガネツヤハムシ△、クロオビカサハラハムシ△、ムナグロツヤハムシ、クロウリハムシ○、アトボシハムシ△、ツブノミハムシ△、キイチゴトビハムシ○*、ヒゲナガルリマルノミハムシ、コマルノミハムシ△*、アトモンヒョウタンゾウムシ☆、ホソアナアキゾウムシ△*の35種です。

初日のビジターセンター周辺の採集品は28種で、新たに21種を採集していましたが、アトモンヒョウタンゾウムシなどごく一部を除いて、久留米周辺でも春に普通に見られる種ばかりで、これと言った種は含まれていません。

國分さんは、さらに、ホソベニボタル△、ミエコジョウカイ、ムナグロナガカッコウムシ*、アオハムシダマシ*、アカバネツヤクチキムシ、キバネニセハムシハナカミキリ、キバネマルノミハムシ△、ヒゲナガオトシブミ*、キュウシュウヒゲボソゾウムシ*、カシワクチブトゾウムシ△*を採られていました。

このうち、ミエコジョウカイは、福岡県の甲虫研究の大先輩、高倉さんが最晩年の1987年に、大分県祖母山尾平産を基に、奥さんに献名して新種記載された種です。

高倉康男, 1987. 九州産Athemellus属の1新種. 北九州の昆蟲, 34(3): 179-180.

当初、爪に歯状突起が無いことからAthemellus属で記載されましたが、その後、Athemus属に移され、さらにOkushima(2005)により、Lycocerus属の種として扱われています。

Okushima(2005)は、祖母山産のホロタイプ標本を図示していますが、赤い前胸以外は頭・触覚・足・上翅共に真っ黒です。この報告で、佐多岬から本種を記録してもいます。

Okushima, Y., 2005. A taxonomic study on the genus Lycocerus (Coleoptera, Cantharidae) from Japan, with zoogeographical considerations. Jap. j. syst. ent. monographic series, (2): 1-383.

ホロタイプ同様、九州脊梁の山地では、赤褐色の前胸を除いて、全体ほぼ黒色ですが、意外にも、ビジターセンター周辺で採れた個体は黒くて、このタイプでした。

(南大隅産ミエコジョウカイ、右は♂交尾器背面)

南大隅産ミエコジョウカイ、右は♂交尾器背面

と言うのも、本種の色彩には地域変異があり、一般に、南に行くほど、低標高ほど、触角と足が赤褐色になり、全体の感じも淡色化します。特に、薩摩半島先端の個体では上翅まで淡色化して、褐色になります。

(ミエコジョウカイ、左: ホロタイプ・Okushima, 2005より改変引用、右: 薩摩半島先端産)

ミエコジョウカイ、左: ホロタイプ・Okushima, 2005より改変引用、右: 薩摩半島先端産

南大隅産は、標高800m附近で得られた個体であるので、黒いと思われますが、低標高ではどうなのか気になります。

また、本種は主として南九州に分布しますが、北部九州には近似のクビアカジョウカイが分布します。これらの2種は、阿蘇山周辺で一部分布が重複しますが、ほぼ棲み分けています。

(九州におけるクビアカジョウカイとミエコジョウカイの分布、赤線がほぼ分布境界)

九州におけるクビアカジョウカイとミエコジョウカイの分布、赤線がほぼ分布境界

原図はOkushima, 2005のクビアカジョウカイの分布図(Fig. 183)で、●が彼が示したもの。○は今坂が手元の標本データから追加したものです。

また、▲はやはりOkushima, 2005によるミエコジョウカイの分布図(Fig. 186: 原図は●)、△は今坂が手元の標本データから追加したものです。

これを見ると、クビアカジョウカイの分布は島原半島-菊池阿蘇-九重を結ぶ線より北、ミエコジョウカイは天草-五家荘-祖母山-別府を結ぶ線より南です。ただ、阿蘇山周辺では両種が混生するようです。

2種の分布境界は、ほぼ、九州を横断する構造線に一致しており、非常に興味深いと思われます。

なお、個人的なことですが、高倉さんには、永年、甲虫の同定や分布等で、様々にご教示いただいていました。1990年に一期一会でお会いした時の写真が以下のものです。

(高倉さんと今坂、高倉さんの自宅の前で)

高倉さんと今坂、高倉さんの自宅の前で

また、アオハムシダマシは、当初、ニシアオハムシダマシが無数に採れるので、見過ごしていましたが、國分さん採集分は落ち着いて見てみると本種で、南大隅で本種が採れるとは思ってもいなかったので、大変意外でした。

(アオハムシダマシ)

アオハムシダマシ

本種は、九州では、珍品とは言えないものの、かなり山地性で、ブナ帯近くまで標高を上げないとみることが出来ません。
鹿児島県では、確実な記録としては、霧島町高千穂峰から記録されているものが唯一です(今坂, 2005)。

今坂正一, 2005b. 日本産アオハムシダマシ属の再検討. 比和科学博物館研究報告, (44): 61-162.

峠を越えて、辺塚側へ戻ると、樹林の様相は一変します。
見晴らしの良い場所から辺塚方向を眺めたのが次の写真です。

(峠附近から辺塚方向)

峠附近から辺塚方向

何度か伐採はされていると思われますが、見える範囲全体が、ほぼ原生林です。

少し下り、このルート唯一の渓流に掛かった橋の両側と、道沿いにライトFITを下げていたのですが、片方は本体は残っていたものの、下のコップが吹き飛ばされて無くなっていました。
よほど強い風が吹いたものと思われます。

(ライトFITを下げていた橋の付近)

ライトFITを下げていた橋の付近

辛うじて採集品が残っていた残りのライトFITの内容物も、風の為か貧果で、期待外れに終わりました。

この中には、ウスグロモリヒラタゴミムシ*、イクビモリヒラタゴミムシ△、クビアカモリヒラタゴミムシ○、クロシデムシ△、コキムネマルハナノミ△、カミヤビロウドコガネ△、ムナビロサビキコリ△、チビニンフジョウカイ*、キンイロジョウカイ*、ニセケブカネスイ*、タカオヒメハナノミ○*、カトウカミキリモドキ△、クロチビアリモドキ△*、ニシアオハムシダマシ、ナガハムシダマシ*、クチキムシ△*、チャイロヒメハナカミキリ、ナガバヒメハナカミキリ、ニセヨコモンヒメハナカミキリ、ニシコブヒゲボソゾウムシ*が入っていました。

このうち、キンイロジョウカイは綺麗な深みのある緑光沢があり、嬉しかったです。

(キンイロジョウカイ)

キンイロジョウカイ

綾町の報告(今坂ほか,2024)でも述べましたが、中根(1988)による、南九州亜種 ssp. satsumanus Nakaneは、緑色になるという、体色の特徴だけで亜種を設定されています。

今坂正一・木野田毅・畑山武一郎・大塚健之・國分謙一・斎藤猛・的場續・松村雅史・奥田則雄, 2024. 「綾町・照葉樹林甲虫探訪」2024. タテハモドキ, (62):68-139..
中根猛彦, 1988. 日本の雑甲虫覚え書き3. 北九州の昆蟲, 35(2): 77-82.

九州中部では、同じ個体群の中に、赤銅色~緑色~藍色と、様々な色の個体が混じることから、今のところ、南九州産にこの亜種名を使用することは控えています。

ただ、南九州では、ほぼ緑色の個体しか出現しないので、その点で、中九州の個体群とは、微妙な違いがあることも確かです。

さらに、ニシコブヒゲボソゾウムシは山地性で、九州脊梁などで記録されており、やや意外な気がしました。

(ニシコブヒゲボソゾウムシ)

ニシコブヒゲボソゾウムシ

本種は従来、コブヒゲボソゾウムシとして知られていた種のうち、森本ほか(2006)により、伯耆大山以東の本州と北海道産をコブヒゲ、広島県冠山以西の本州と四国、九州産をニシコブヒゲとして区別され、新種記載された種です。

森本ほか(2006)の分布図を見ますと、鹿児島では唯一、霧島山のあたりに○印がついていますが、原記載文の中には鹿児島県のデータは無いことから、あるいは、今回が県初記録かもしれません。

森本 桂・小島弘昭・宮川澄昭, 2006. 日本の昆虫3 ゾウムシ上科概説・ゾウムシ科(1). 406pp. 櫂歌書房

この場所から1kmほど下がった明るい場所には、イエローパントラップを設置していました。

(イエローパントラップ設置場所)

イエローパントラップ設置場所

ただ、半分は間違って穴の空いた機材を設置してしまったようで、水は無く、従って虫も入っていませんでした。
残りの半分も、少しの虫が入っていただけで、甲虫は以下の3種でした。

アカバツヤクビナガハネカクシ*、キイチゴトビハムシ○*、クロコトビハムシ○*。
微小な種ばかりで、いずれも南大隅から記録の無い種ですが、広く分布する種です。
トラップの成績が良くなくて、ガッカリしながらも、雨の中、お昼になったので、そのまま宿に戻ります。

この県道563号沿いは、結局、一度もビーティングも、ハンマーリングもせず、任意採集は全く行わなかったので、その点、非常に心残りです。

宿に戻って、昼食を何にしようか迷いました。
メニューを見ながら、まだ頼んでいない、肉うどんにしました。
何をいただいても美味しいです。

(湊原食堂のメニュー)

湊原食堂のメニュー

食事を済ますと、慌てて、バタバタと出かけます。

出がけに、今夜も雨は降り続く予報なので、灯火採集は行わず、夜は宿でゆっくり夕食を取ることを女将さんに告げておきました。

午後は、打詰から杉山谷のトラップを回収することにしました。

打詰の小田ポイントでは、まず、ベイトトラップを回収しましたが、オオホソクビゴミムシとヒメアカマダラケシキスイ△*が入っていただけです。

後者は照葉樹林の林床の落ち葉の下に限ってみられる種です。

また、6基ほど掛けていたライトFITも、2基は吹き飛んでいて、1基はコップが空になっていました。

残った3基には、それでも、クロモリヒラタゴミムシ○、イクビモリヒラタゴミムシ△、シバタツヤゴモクムシ*、ルイスキムネマルハナノミ*、ゴホンダイコクコガネ、フトカドエンマコガネ△、オオカンショコガネ、ヒゲナガクロコガネ、ヒゴシマビロウドコガネ、ムナビロサビキコリ△、ヒラタクシコメツキ*、クシコメツキ、クロスジツマキジョウカイ△*、ミツメニンフジョウカイ△*、セボシジョウカイ△、マルムネジョウカイ、クギヌキヒメジョウカイモドキ、カタモンムクゲキスイ*、ハスモンムクゲキスイ、ヒラタコメツキモドキ○、フタモンヒメナガクチキ、アオオビナガクチキ△、ホソカミキリモドキ○、カトウカミキリモドキ△、オオクシヒゲビロウドムシ、セアカケブカサルハムシ○、シラホシトゲムネサルゾウムシ☆*、マルクチカクシゾウムシの一種*、トドマツオオキクイムシ○*が入っていました。

このうち、マルクチカクシゾウムシの一種は、上翅基部が褐色、後半が黒色で、ハッキリ、ツートンになる未記載種で、落葉から採れることが多い種です。

あまり、飛びそうな感じがしない種ですが、樹幹に這い上がったものが落ちたのでしょうか?

ずいぶん前から、森本先生に、未記載であることを伺っていましたが、その後も新種記載はなされていないようです。

(マルクチカクシゾウムシの一種)

マルクチカクシゾウムシの一種

高標高地で見られるヒゲナガクロコガネやオオクシヒゲビロウドムシは、当地では低地でも多いようです。

あと、シバタツヤゴモクムシ、ルイスキムネマルハナノミ、シラホシトゲムネサルゾウムシがちょっと少ない種です。

(左から、シバタツヤゴモクムシ、シラホシトゲムネサルゾウムシ)

左から、シバタツヤゴモクムシ、シラホシトゲムネサルゾウムシ

表面は濡れていて、余り期待は持てませんが、落ち葉も篩って持ち帰ることにしました。

結果は、予想よりさらに少なく、打詰の落ち葉からは、コウセンマルケシガムシ○*、コアカツブエンマムシ△、マメダルマコガネ△、マルキマダラケシキスイ○、コブマルクチカクシゾウムシ、ウエノヒョウタンクチカクシゾウムシ*、ワタナベヒサゴクチカクシゾウムシと、若干のアリヅカムシ、コケムシ、オチバゾウなどが出ましたが、当然、これらのグループの同定は出来ませんでした。

(左から、ウエノヒョウタンクチカクシゾウムシ、ワタナベヒサゴクチカクシゾウムシ)

左から、ウエノヒョウタンクチカクシゾウムシ、ワタナベヒサゴクチカクシゾウムシ

この2種とも、面白い形をしていますが、暖地の照葉樹林の落ち葉では各地で見られ、それほど少ない種でもありません。

実は、ここの落ち葉からは、以下のようなカミキリの蛹も転がり落ちてきました。

(カミキリの蛹 腹面、側面)

カミキリの蛹 腹面、側面

地表に落ちていた枯れ枝の中から、篩の中に落ち込んだと思われます。

採集状況と、サイズ、そして、蛹化の時期から、南大隅特産のサタサビカミキリの可能性を考えて、何とか羽化させるべく、容器で飼育してみましたが、残念ながら、羽化に至らず、干からびてしまい、種が確認できませんでした。

ただ、ちょっと調べてみたところ、サタサビカミキリの記録は、佐多岬周辺の狭い範囲に限られ、南大隅のその他の地域では採れていないようです。
このあたりは、再確認の必要があり、ご存じの方はご教示ください。

長崎市野母崎の亜種 nobozakiensisも、野母半島先端の権現山だけですし、この種は、あるいは、ごく狭い範囲にしか棲息しないのかもしれません。

nobozakiensisの分布範囲周辺には、生態的にはほぼ重複するヒメアヤモンチビカミキリが居て、棲み分けています。

雨は強くなったり、弱くなったりを繰り返していて、ゆっくり採集をしている気にもなれず、先を急ぎます。

杉山谷でも、2基ほどはライトITが回収できませんでした。

残りから回収できたのは僅かに5種、オオアオモリヒラタゴミムシ○、ツマキクビボソハネカクシ○*、ヒゲナガコメツキ△、ナガヒゲブトコメツキ○*、カトウカミキリモドキ△で、仕方がありません。

ここでも、やや義務感に駆られて落ち葉を篩います。
雨が降っている割に、山林は乾いた印象が強かったので、橋の下に降りて、なるべく湿っていると思われる川岸近くや、流れの中の石などに引っかかった落ち葉も篩います。

(杉山谷橋の下の河原)

杉山谷橋の下の河原

こちらも想像以上に少なく、同定できたものは、ウスモンコミズギワゴミムシ*、ケシガムシ*、コウセンマルケシガムシ○*、ヒラタセスジハネカクシ△*、ルイスセスジハネカクシ○*、ツノフトツツハネカクシ△、カタモンムクゲキスイ*、マルクチカクシゾウムシの一種*、オオシマヒサゴクチカクシゾウムシ*の9種でした。

オオシマヒサゴクチカクシゾウムシは、打詰の落ち葉のワタナベヒサゴクチカクシゾウムシに良く似た種ですが、点刻や上翅の斑紋などが異なります。

同様に照葉樹林の林床の落ち葉にいますが、こちらの方がより発達した樹林に多いようです。

(オオシマヒサゴクチカクシゾウムシ)

オオシマヒサゴクチカクシゾウムシ

一方、國分さんは、私がトラップ回収や、落ち葉篩をしている間も、小雨の中、ずっと、林縁の樹葉などをビーティングされていましたが、「何か採れますか?」と、声を掛けても、「少ない」との返事でした。

打詰から杉山谷までで、ホシハネビロアトキリゴミムシ△、クロヘリアトキリゴミムシ○、エダヒゲナガハナノミ、クロミナミボタル◎、オバボタル△、クギヌキヒメジョウカイモドキ、アオオビナガクチキ△、カタモンヒメクチキムシ△*、トゲヒゲトラカミキリ△、セアカケブカサルハムシ○、イチモンジハムシ○、キバネマルノミハムシ△、ヒゲナガルリマルノミハムシ、コフキゾウムシ○、キイロアシブトゾウムシを採られていました。

このうち、クロミナミボタルは、宮崎・鹿児島両県ではよく見かけるものの、福岡県では見たことの無い種です。

また、キイロアシブトゾウムシは本州、四国、九州に広く分布する種ですが、九州では福岡・大分・宮崎・鹿児島県ぐらいで余り記録を見ません。
それでも、南大隅では多いようで、ウェッブ・ページの日本産ゾウムシデータベースには、数例の記録が掲載されています。

(左から、クロミナミボタル、キイロアシブトゾウムシ側面・背面)

左から、クロミナミボタル、キイロアシブトゾウムシ側面・背面

さて、杉山谷のライトFITを回収していた頃、肝付町方向から、男女二人連れがサイクリングで通り過ぎようとしました。

不思議なものを見るような顔をして「ハアイ」と挨拶してくるので、「ハアイ」と返事しました。

若い外人さんのカップルで、シャツと短パンの軽装。自転車にも小さい荷物が2つと、小さいリュックを背負っていました。

行ってしまってから、一頻り落ち葉篩をして、さて、ビーティングをしようと思ったときに、雨が強くなり始め、今日はここまでかと思って帰ることにしました。

雨はドンドン激しさを増し、國分さんと、「あの二人は、この雨ではどうしたろう」と話しつつ、宿までの道筋では見かけることが出来ませんでした。

それで、宿に入ると、庭の先の宿のガレージに二人が雨宿りしています。

女将に断って居たのかと思いましたが、女将は留守のようです。

自分の家でも無いのに、女将にも断らず、とも思いましたが、雨で困っているようで、とにかく、女将が帰るまで、雨宿りをするように声を掛けました。

何十年ぶりかで話す英語はしどろもどろでしたが、男性の方が、はやりのスマホの翻訳アプリを駆使して、いろいろ説明してくれました。

要約すると、「オーストラリアから来日し、長野から宮崎まで旅行してきた。宮崎から、辺塚までは、自転車を借りて、テントで寝泊まりしながら、3日で走ってきた。この宿の庭でテントを張って泊まりたいが可能か?」

それに対しては、「泊まり客なので解らない。とにかく、女将が戻るまで雨宿りしたら」と答えて、しばらく、そのまま雨宿りしてもらって、私は自分の部屋に戻って、帰り支度をしていました。

1時間余りして、女将が週一の買い出しから帰ってきたので事情を説明すると、「近所の廃校のグランドなら、テントを張らせてもらえそう」と、責任者に電話して、許可をもらったので、二人は喜んで、廃校のグランドに向かいました。

テレビでやっている「Youは何しに日本へ」と、ほとんど同じシチュエーションと感じたので、帰宅してから、カミさんにその話をしたところ、「二人の年格好、背丈、服装、美人かイケメンか」を聞かれ、「なぜ、写真を撮ってこなかったのか?見たかったのに・・・」と怒られました。当然、名前も聞いていません。

思い返すと、20代後半くらいで、背丈は二人とも高く、女性でも175cm以上、男性は190cm以上はあったと思います。確かに、イケメンと美人で、一時間あまりの邂逅でしたが、一緒に写真を撮れば良かったな、と思いました。

さらに、翌12日には、伊座敷の海岸で、またしても、外人さんのカップルの自転車旅行を目撃し、一瞬、昨日の・・と思いましたが、違っていました。

インバウンドで海外の旅行者が増えている昨今ですが、国内の人もあまり行かない最果ての採集地に、外人さんが、それも自転車で現れるとは・・・。

つづく