南大隅三日目(5月10日)
今日は貴重な晴れの予報です。
朝食も若干早めにしていただいて、気概十分、採集に出かけます。
ある意味、ちゃんと一日中動けるのは今日だけなのです。
車に乗り込む頃、日差しは照っていますが、少し風が出ています。
まず辺塚漁港の手前の砂地に、ベイトトラップとイエローパントラップを設置します。
(辺塚漁港の手前)

(ベイトトラップを設置する砂地の草地)

それから、また伊座敷方向に、県道74号線を走ります。
時々車を止めて、畑の横の林縁を叩いてみますが、樹上から余り虫が落ちてきません。
(県道沿いの林縁)

イノシシの檻と表示した地点は、標高85m、カーブの角に広い駐車できるスペースがありました。
(イノシシの檻トラップ)

左手の樹林内にイノシシの檻が設置してあり、その奥には伐採木が倒れています。
(伐採木)

奥の林内には古いシイタケのほだ木も放置されています。
この場所にライトFITを2基設置します。
(ほだ木の上にライトFIT)

その後で伐採木とほだ木をハンマーで叩いてみたところ、ゾウムシ類を始めとした食材性甲虫が大量に落ちてきます。
南大隅に来て、一番甲虫が高密度の地点なので、しつこく叩きます。
なお、今回も以下のように種の分布型によって表示します。
注目すべき分布パターンである種子島・屋久島から九州西岸、四国南岸、紀伊半島南岸、時には伊豆諸島まで分布する分布型(種子島・屋久島型)には、和名の後に◎印を付けます。
また、南大隅固有種とその他・分布範囲不明種には☆を付けます
和名だけの種は本土系で鹿児島県を南限にする種、和名の後の△は本土系で屋久島・種子島までいる種、○は琉球~本州までいる南方系種、*は南大隅初記録種です。
ここでは、フトキノカワゴミムシ○、コヨツボシアトキリゴミムシ○、ホシハネビロアトキリゴミムシ△、ウスイロヒメタマキノコムシ△、ナカネメダカオオキバハネカクシ○*、オオヒメキノコハネカクシ△、セダカマルハナノミ○、ヒゲナガクロコガネ、コイチャコガネ△、ヒラタハナムグリ△、ウスオビカクケシキスイ○、ヒレルチビヒラタムシ*、ヨツモンムクゲキスイ○*、ハスモンムクゲキスイ、アカハバビロオオキノコムシ、クロチビオオキノコムシ、ムクゲミジンムシ*、ツマアカヒメテントウ、カワムラヒメテントウ、ヒメカメノコテントウ○、コゲチャミジンムシダマシ○*、ヒメマキムシ△*、ヒサゴホソカタムシ○、ダルマチビホソカタムシ○、コモンヒメコキノコムシ△、アカオビニセハナノミ○、ヒゴキノコゴミムシダマシ、クロホソゴミムシダマシ○、ラミーカミキリ、アオグロツヤハムシ*、ヒゲナガルリマルノミハムシ、コブアシトビハムシ、ルイスコトビハムシ○*、ヤツボシヒゲナガゾウムシ○、クロオビマダラヒゲナガゾウムシ○、クロフヒゲナガゾウムシ*、コモンヒメヒゲナガゾウムシ*、シリジロメナガヒゲナガゾウムシ*、ミスジマルゾウムシ○、エサキヒシガタクモゾウムシ○、コササラクチカクシゾウムシ○、ヒサゴクチカクシゾウムシ○などが、材と林縁の樹葉、シダなどから得られました。
このうち、ナカネメダカオオキバハネカクシは、かつての図鑑類ではメダカオオキバハネカクシとして掲載されていた種です。その後、国内産は6種に区別され、九州では3種が記録されています。名前のように、メダカハネカクシとオオキバハネカクシを足したような妙ちくりんな種で、かなり少ない種です。
(ナカネメダカオオキバハネカクシ)

ムクゲミジンムシは、上翅後半にうっすらと二つの丸紋が見え、当初、未知の種かと思いました。
しかし良く調べてみると、この種の上翅後半は、基本的には淡色で、個体によって、この部分が様々な斑紋になったり、淡色の幅が違ったりと、かなり個体変異があることが解りました。上翅よりやや短い程度に、縦長の前胸を持つのが特徴です。
また、コゲチャミジンムシダマシは、福岡県の記録は無く、長崎県の低地の、ちょっと良い照葉樹林では、落ち葉や枯れ木に見られました。
本州、九州、西表島で記録があり、九州では、長崎・大分・宮崎の各県で記録されています。
(左から、ムクゲミジンムシ、コゲチャミジンムシダマシ)

コブアシトビハムシは、丸くて扁平なトビハムシで、ちょうど、ヒゲナガルリマルノミハムシを黒褐色にして、二回りほど小さく、長くした感じの種です。
国内では九州の固有種で、福岡・宮崎・鹿児島の各県から知られていて、海外では中国南部とベトナムにも分布します。
南大隅では既に記録されていますが、かなり少ない種です。
地元・久留米の高良山でも記録し(今坂, 1998)、その後、同じ山系の発心山で多産地を見つけ、ホストはコクサギであることが判明しました。
後肢の爪の基部がこぶ状に膨れる(矢印)ことからついた和名です。
今坂正一, 1998. 久留米市高良山とその周辺で採集した昆虫類(1988年-1998年). KORASANA, (66): 23-60.
(コブアシトビハムシ、右: 膨れた爪・矢印)

(追記
クリ・クラ会員の南さんから、「コブアシトビハムシのカラー写真の提示は、初めてかもしれない」との指摘がありました。手も足も触角も出ていない写真が初めてでは恐縮なので、後日、撮り直します。ご指摘いただいた南さんに厚くお礼申し上げます。
代わりに、既に、今坂(1998)で載せた白黒写真を掲載しておきます。白黒だと、よけいに、ヒゲナガルリマルノミハムシに似ていると思います。個体により、前胸は多少淡色になります。)
(今坂,1998に載せた白黒写真)

クロオビマダラヒゲナガゾウムシとエサキヒシガタクモゾウムシは、どちらも南方系で、九州では南部のみで見つかっています。
前者は宮崎県以南で記録され、対馬と伊豆諸島でも見つかっています。
また、後者は熊本県南部以南と伊豆諸島です。どちらも、北部九州の記録はありません。
(左から、クロオビマダラヒゲナガゾウムシ、エサキヒシガタクモゾウムシ)

次に、件の伐採跡で車を止め、周辺の草木を叩いてみました。
叩ける範囲に生えている最も多いのがホウロクイチゴで、この葉から、ルリナカボソタマムシ○とヒラタチビタマムシ*、キイチゴトビハムシ○*が落ちてきました。
(ホウロクイチゴ葉上のルリナカボソタマムシ)

裸地の水溜まりの側にはイグサが群生していて、ちょうど花が咲いているので掬ってみましたが、オバボタル△、キイロニンフジョウカイ*、セボシジョウカイ△、マルムネジョウカイくらいで、特段面白いものは見られませんでした。
ここから少し標高を稼ぐと、道横にシイやミズキ、エゴの花が咲いていましたが、高くてなかなかネットが届かず、ようやく届いたシイの花は、強風で虫全部が吹き飛ばされそうでした。
花からは、クロスジツマキジョウカイ△*、ハヤトニンフジョウカイ*、チビニンフジョウカイ*、キイロニンフジョウカイ*、セボシジョウカイ△、ホソヒメジョウカイモドキ◎、クギヌキヒメジョウカイモドキ、ムネアカチビケシキスイ○*、アオオビナガクチキ△、カトウカミキリモドキ△、クロフナガタハナノミ*、ニシアオハムシダマシ、キバラヒメハムシ△などが見つかりましたが、種類は単調で、同じ種のみが多く集まっており、これといった種は見られませんでした。
昨年調べた、種子島のアオオビナガクチキの♀は胸が赤く、屋久島産の♂交尾器は本土産とは、少し形が違っていました(今坂ほか, 2025)。
南大隅産はどうかな、と思って見てみたのですが、北部九州産と同じく、前胸は黒色でした。
今坂正一・木野田毅・國分謙一, 2025. 種子島採集紀行2024年4月. KORASANA, (104): 133-202.
(南大隅産アオオビナガクチキの♀)

また、♂交尾器も確認してみましたが、種子島や屋久島とは違っていて、本土産と同様です。
残念ながら、アオオビナガクチキについては、種子島、屋久島、両方の影響はなさそうです。
なお、南大隅産の♂交尾器は、抜き出すときに一部変形していますので、その点、ご注意ください。
(アオオビナガクチキの♂交尾器背面、左から、南大隅産、山口産、屋久島産、種子島産)

(アオオビナガクチキの♂交尾器側面、左から、南大隅産、山口産、屋久島産、種子島産)

それから峠まで、花を掬い、林縁をビーティングし、路肩のガケのツワブキやシダ類をスウィーピングし、ススキを叩いて、以下の種を採集しました。
アトグロジュウジアトキリゴミムシ、クズノチビタマムシ△、ヒメクロコメツキ、キバネホソコメツキ、オオハナコメツキ△、オバボタル△、クロスジツマキジョウカイ△*、ハヤトニンフジョウカイ*、チビニンフジョウカイ*、キイロニンフジョウカイ*、セボシジョウカイ△、マルムネジョウカイ、ホソヒメジョウカイモドキ◎、クギヌキヒメジョウカイモドキ、キイロアシナガヒメハナムシ○*、エムモンチビヒメハナムシ○*、キムネヒメコメツキモドキ*、ルイスコメツキモドキ○、ホソカミキリモドキ○、アカホソアリモドキ△、アカバネツヤクチキムシ、タイワンメダカカミキリ○、ウスアヤカミキリ◎、キイロクビナガハムシ、キボシツツハムシ○、セアカケブカサルハムシ○、ドウガネサルハムシ○、クロウリハムシ○、アトボシハムシ△、タイワンツブノミハムシ○、ツブノミハムシ△、オオアカマルノミハムシ、キバネマルノミハムシ△、クロコトビハムシ○*、ウスグロチビカミナリハムシ○*、ヒメトビハムシ*、フキタマノミハムシ*、キイロタマノミハムシ、イチモンジカメノコハムシ○、ヒラズネヒゲボソゾウムシ、アトモンヒョウタンゾウムシ☆、コフキゾウムシ○など。
これと言って、注目するような種も採れませんでした。
(峠手前)

それでも、辺塚から峠までの午前中の往復で、93種の甲虫を採集していました。
一方、國分さんは、イノシシの檻附近でフタイロカミキリモドキ◎、ナスナガスネトビハムシ○*、ケブカホソクチゾウムシ*、ヒラセクモゾウムシ○を追加され、
そして、峠付近まででも、クロツヤクシコメツキ、ヒメキノコゴミムシ*、ホソスジデオキノコムシ*、ヒゴシマビロウドコガネ、アカアシクロコメツキ○*、キアシチビオオキノコムシ、オオクシヒゲビロウドムシ、イクビゴミムシダマシ△、トビイロカミキリ○、アカクチホソクチゾウムシ、シバタカレキゾウムシ○を追加されていました。
(峠道)

このうち、ヒメキノコゴミムシとオオクシヒゲビロウドムシ、アカクチホソクチゾウムシはやや少ない種です。
特に、オオクシヒゲビロウドムシは、その2で上げたヒゲナガクロコガネ同様に、分布の中心はブナ帯とその下部です。
また、アカクチホソクチゾウムシは、本来は名前の通り、吻の触角より前が赤褐色なのですが、この個体は黒いです。
このタイプも時々見ます。
(左から、ヒメキノコゴミムシとオオクシヒゲビロウドムシ、アカクチホソクチゾウムシ)

結局この峠までの往復で、二人で108種が確認できたわけです。
お昼になったので、宿に戻ります。
昼食は、今日は、焼きめしをお願いしました。
何を食べても美味しいです。
午後は、杉山谷方向へ走ります。
自衛隊を通り過ぎたあたりで、道横に連続してセリ科の白い花が咲いています。
ハナノミ等、小型の虫が飛来しているかもしれないと思って、50mほど連続してスウィーピングしてみました。
花掬いで入ったのは、ミヤマベニコメツキ、オバボタル△、キイロニンフジョウカイ*、セボシジョウカイ△、コケシジョウカイモドキ、ホソヒメジョウカイモドキ◎、クギヌキヒメジョウカイモドキ、カワムラヒメテントウ、コクロヒメテントウ、モンクチビルテントウ○*、ヒメカメノコテントウ○、アオオビナガクチキ△、クロフナガタハナノミ*、フタイロカミキリモドキ◎、オニアカハネムシ、アカホソアリモドキ△、ミスジマルゾウムシ○くらい。
ハナノミはゼロで、これはという種も見当たりません。
2-3mmの黒っぽいノミゾウムシが無数に入ったので、何の種か、セリに付くノミゾウムシなど覚えが無かったので、楽しみに、帰宅して検鏡したところ、エノキノミゾウムシ○*でした。
ホストのエノキが頭上にあり、強風で、地表に避難していただけのようです。
花には余り虫が集まっていないようで、それではと、道沿いの草も掬っていきます。
追加できたのは、コキムネマルハナノミ△、セダカマルハナノミ○、クズノチビタマムシ△、シコクフタホシヒメテントウ△、クロチビアリモドキ△*、アカホソアリモドキ△、チャボヒゲナガカミキリ△、ヨモギハムシ○、オオアカマルノミハムシ、キイチゴトビハムシ○*、ヒゲナガルリマルノミハムシ、ヒメトビハムシ*、ナトビハムシ、イノコヅチカメノコハムシ○*、ヤノシギゾウムシ*、ツヤチビヒメゾウムシくらいです。
乗りかかった船なので、次に、道横の林縁の茂みをビーティングしていきます。、
鮮やかな紅色の虫がビーティング・ネットに落ちてきたと思ったら、ホシベニカミキリ○でした。
他に追加したのは、キンモリヒラタゴミムシ△*、アトグロジュウジアトキリゴミムシ、アオヘリアトキリゴミムシ○、ルリナカボソタマムシ○、ヒラタチビタマムシ*、アマミコブハムシ○*、など。
このうち、アマミコブハムシは、種子島では、ホウロクイチゴがあれば結構何処でも居たので、このイチゴが多い、南大隅にも居て当然です。
しかし、南大隅の記録は無いようで、Satsumaにも見当たらず、先年発行された宮崎県昆虫目録にも出てきません。
ただ、日本産昆虫総目録 1989には、分布に九州が入っているので、九州初記録というわけでは無いようです。
(ホシベニカミキリ、アマミコブハムシ)

今坂正一監修・岩崎郁雄編, 2020. 宮崎県昆虫目録. 376pp. 宮崎昆虫調査研究会刊.
平嶋義宏監修・九州大学農学部昆虫学教室・日本野生生物研究センター編集, 1989. 日本産昆虫総目録留 I~III.
先を急ぐことにして、小田ポイントの林道入り口で、昨日下げたライトFITをチェックすると、昨日の強風で、半分は飛んでいました。
中に、ゴホンダイコクコガネが入っていたので、これを回収し、改めてライトFITを設置し直します。
ほんの少しですが、ベイトトラップも埋めてみました。
(廃棄林道の林内)

初日に國分さんが、ハンマーとスプレーで、ムネアカヒメクチキムシ?など、面白いものを採られていたので、ちょっと、私も立ち枯れなどのハンマーを試してみました。
コヨツボシアトキリゴミムシ○、ウスイロヒメタマキノコムシ△、クロゲヒメキノコハネカクシ○、オオヒメキノコハネカクシ△、ヤマトデオキノコムシ、クロツツマグソコガネ○、コイチャコガネ△、(仮称)コケチビドロムシ○*、ハロルドヒメコクヌスト△、カタモンムクゲキスイ*、キアシチビオオキノコムシ、コヒラタホソカタムシ○、ツヤケシヒメホソカタムシ○、ダルマチビホソカタムシ○、アカオビニセハナノミ○、カタモンヒメクチキムシ△*、ナガニジゴミムシダマシ○、ヤツボシヒゲナガゾウムシ○、コササラクチカクシゾウムシ○、ハイイロトゲトゲゾウムシ、ムナビロマルクチカクシゾウムシ○、チャバネキクイゾウムシ○などが落ちてきましたが、國分さんには及びません。
全体に乾燥していて、枯れ木にも余り虫が付いていない感じでした。
コササラクチカクシゾウムシとムナビロマルクチカクシゾウムシが、ちょっと嬉しかった程度です。
(コササラクチカクシゾウムシ、ムナビロマルクチカクシゾウムシ)

今日は、本命の杉山谷周辺で灯火採集をするつもりなので、設置場所の探索に行きます。
風が強く、どの場所でも、風当たりの弱い場所はありません。
(杉山谷の表示)

結局は、杉山谷橋のすぐ横が広いので、そこでやることにしました。
(灯火採集場所)

少し迷いましたが、ライトFITも数基吊るすことにします。
(橋に吊るしたライトFIT)

(道上の立ち枯れに吊るしたライトFIT)

橋から手が届きそうな所に、白い花が咲いています。
(橋の横に咲いていた白い花)

何か集まっていないか掬ってみましたが、クロフナガタハナノミ*など、常連さんだけで、1頭のみ、瑠璃色に光る虫が入っていました。
見るとルリサルハムシで、こんなところにも居るのですね。調べてみると、既に城戸ほか(2008)で記録されています。
城戸克弥・小田正明・江頭修志, 2008. 鹿児島県稲尾岳山麓で採集した甲虫類 II. KORASANA,(76): 17-34.
(ルリサルハムシ)

本種は九州の固有種で、福岡・大分・熊本・宮崎・鹿児島の各県で記録されており、佐賀・長崎の記録はありません。
九重黒岳の男池周辺のミツバウツギに多く、本種の生息環境として、ブナ帯が頭にありました。
いつか、巨大な本種を南大隅で採られた廣川さんから画像が送られてきて、「本当にルリサルハムシ?」と尋ねられたことがありました。
今回の個体は、黒岳産よりむしろ小さいくらいで、南大隅の個体群全体が特に巨大化するわけでもなさそうです。
宮崎県の記録を見ると、やはり低地でも採れているようで、南九州では棲息している標高も、ホストも違うのかもしれません。
改めて先の白い花を、アセス仲間の井野さんに見ていただくと、ゴンズイだろうとのことです。ゴンズイは同じミツバウツギ科ミツバウツギ属なので、ホストでしょう。虫はちゃんと、属まで間違えないようです。
ご教示いただいた、井野さんに厚くお礼申し上げます。
もう少し何か居ないかと、林縁を叩いてみましたが、アカガネサルハムシ△、アトボシハムシ△、タイワンツブノミハムシ○、クビボソトビハムシ、コフキゾウムシ○、イヌビワシギゾウムシ○を追加しただけでした。
一方、國分さんは自衛隊の先から杉山谷までの採集品を同じタトウに入れられていて、確実な採集地点は解りません。
今坂の採集品に、以下の種を追加されています。
このうち、以下の種は枯れ木・キノコに付く種なので、小田ポイントの採集品でしょう。
スプレーとハンマーで採集されたと思います。
ハスモンムクゲキスイ、マルガタカクケシキスイ○、ベニモンアシナガヒメハナムシ*、コゲチャミジンムシダマシ○*、ヨコモンヒメヒラタホソカタムシ○*、ムツモンヒメコキノコムシ*、ムネアカヒメクチキムシ?*、コブスジツノゴミムシダマシ○、オオダイマグソコガネダマシ○*、イクビゴミムシダマシ△、トゲアシヒメゾウムシ○を採られています。
このうち、ムネアカヒメクチキムシ?は♀で、やはり確定できませんでした。
また、ムツモンヒメコキノコムシは初めて見ました。本州、四国、九州に分布し、九州では、福岡・熊本・宮崎の各県で記録されています。
さらに、オオダイマグソコガネダマシは、本州、九州、屋久島、トカラ中之島に分布し、九州では、福岡・宮崎両県で記録されています。
どちらも、九州ではめったに見つからない種で、さすがに南大隅と言うところです。
(左から、ムツモンヒメコキノコムシ、オオダイマグソコガネダマシ)

その他、次の種を追加されていましたが、採集時間帯の長さから考えて、大半は自衛隊の先附近での採集だろうと思います。
サビキコリ△、ヒゲナガコメツキ△、アカアシオオクシコメツキ○、ナガチャクシコメツキ*、ホソベニボタル△、ムネクリイロボタル、シロホシテントウ、ヒトオビアラゲカミキリ△、ルリナガスネトビハムシ○*、ダイコンサルゾウムシ○。
この中には特筆すべき種は含まれていません。
時間も迫ったので、急ぎ宿に引き返し、夕食を済ませて、とんぼ帰りで杉山谷に戻ってきました。
日も暮れてきて、急ぎ、灯火採集の準備です。
支柱を立てて幕を張ってみましたが、風が強くて倒れてしまいました。
何度か試してみましたが、ちょっと無理そうです。
最後の手段で、支柱は止めて、車の側面に固定します。
(車の側面に固定した白幕)

別にライトBOXセットも設置します。
(ライトBOXセット)

それでも風で白幕がはためくので、國分さんが支柱で押さえました。
(支柱で白幕を押さえる國分さん)

予想どおり、この風の中では、余り虫は集まらず、結局、初日より少しましと言った程度、31種が飛来しました。
クロモリヒラタゴミムシ○、ホシハネビロアトキリゴミムシ△、ヨツボシモンシデムシ△、ハイイロハネカクシ*、ヒゲナガクロコガネ、コクロコガネ(別亜種?)☆、、ヒゴシマビロウドコガネ、ウグイスナガタマムシ△*、フタモンウバタマコメツキ○、ニホンベニコメツキ、ホソベニボタル△、ムネクリイロボタル、オバボタル△、ハヤトニンフジョウカイ*、ヒメキンイロジョウカイ、ホソヒメジョウカイモドキ◎、ホソガタコキノコムシ*、アオオビナガクチキ△、アオグロカミキリモドキ○、ホソカミキリモドキ○、カトウカミキリモドキ△、オニアカハネムシ、アカハムシダマシ、ナガハムシダマシ*、アカガネサルハムシ△、セアカケブカサルハムシ○、キバネマルノミハムシ△、ヒゲナガルリマルノミハムシ、ネブトヒゲナガゾウムシ△、コフキゾウムシ○、ミスジマルゾウムシ○。
このうち、唯一、興味深いのはホソガタコキノコムシです。
(ホソガタコキノコムシ)

私自身初めての採集ですし、おまけに図鑑類には九州の分布が載っていません。
ネットで調べると、ブナ帯の虫らしく、ブナの樹皮下で見つかったとの記事があります。
念のため、鈴木さんのジャパニーズビートルのサイトを見てみると、分布は北海道、本州、九州、ロシア東部となっていて、九州が追加されています。
ブナ帯なら大分か熊本かと調べてみましたが記録は見つかりません。
しようがなくて鈴木さんに直接お尋ねしました。
すると、
「ホソガタコキノコムシ / Mycetophagus (Mycetoxides) elongatus (Reitter, 1889)は宮崎県から記録されています。
生川展行, 2019. 宮崎県綾町で採集した甲虫の記録 2. タテハモドキ, (56): 60-62.
この文献以外で九州からの採集記録は見ておりません。以上、お役に立てれば幸いです。」
とのご丁寧な返事をいただきました。
いつもながら、ご教示いただいた鈴木さんに厚くお礼申し上げます。
綾町の綾南川での生川さんの採集で、さすがに、綾町と言ったところです。
南大隅共々、ブナ帯の虫も産する二大照葉樹林と言ったところでしょうか・・・。
風が強くて虫も来ないようなので、早めに宿に戻りました。
さらに、宿に設置しておいたライトもひっくり返っていて、見込みが無さそうであり、天気が悪くなる予報も出ていたので、そのまま撤収しました。、
とりあえず、1日フルに動けたので、國分さんと併せて、この日は177種採集しています。
ちゃんと採集できれば、毎日これぐらいは採れるのです。
あともう少し、晴れの日があったら・・・ちょっと残念です。
つづく