「あ!、それワシの。」

現在は沖縄本島に在住の楠井善久さんからも、森本先生への追悼文が届きましたので、掲載させていただきます。

「あ!、それワシの。」

虫屋から「お前は採集地に住んでいる」とのにくにくしい言われ方を

よく聞かされますが、そのとうりです。

内地の情報にうとく、森本さんが亡くなられたことを知りませんでした。

森本さんとは分野が違うのに、大会で昼休みや終了後にご一緒して

研究中の知見をよどみなく、熱く聞かせてもらったことが何回かあります。

僕の返事は相づちばかりで、お役には立っていないと思いますが・・・。

小笠原のゾウムシの標本を島別に分けて記録してあるから、

お役に立つかとお送りしたら、

「小笠原産は、お前の島別のラベルでは役に立たない。

母島では渓流毎に体色が違い、さらにその谷の上と下でも違う」

との話を聞いて驚いた記憶が強く残っています。

その後にそのお話はどのようにまとめられたのかわかりませんが・・・。

採集に行った八丈島空港で、

到着して荷物が流れてくるのを待っていた時てす。

ようやくタタキ網が流れてきて、

つかもうと手を出したら、隣からも手が出てきて、

引っ張り合いにまではならなかったですが、

その手が森本さんでした。

久々の出会いに大笑いになったことがあります。

満載した知識を頭の中に詰めこまれたままあちらに行かれて、

あの世の方が昆虫学のレベルが高くなってしまいました。

先生、タタキ網持っていくの忘れなかったですか。

苦酔