「河川と水辺の国勢調査」に新たに使用される昆虫の新リストについて


2006年夏、国土交通省から「河川と水辺の国勢調査」に使用する平成18年度昆虫等の新リストが公開されました。

このリストには、クモ類1445種、昆虫類26234種の合計27679種の和名、学名(属名と種小名のみ)、科名以上の分類単位の和名、学名が掲載されています。これまで、環境調査等の標準的なリストとして使用されていた九州大学昆虫学教室の日本産昆虫総目録(1989)には30166種の昆虫類が掲載されていました。

昆虫類のみの比較では、3万種から2万6千種余りと、一見したところ掲載種が減少したような感じを受けますが、今回のリストでは、直接「河川と水辺の国勢調査」では生態的に出現しないような分類群や、微小で同定などが技術的に非常に難しい分類群、例えばアブラムシ類や小蛾類のヒメハマキガ亜科やホソガ科、植物にゴールを作るタマバエ科など、大きな群がまとまって入っておりません。

そのため、当然掲載されている目・科については、日本産昆虫総目録よりかなり増加してまして、学名・和名共に数年程度以前(2000〜2003)の時点での最新のものが使用されています。

その結果、いくつかの困難な問題が成じることになります。つまり、日本産昆虫総目録と18年度水国リストとで、同じ種について多数の違った和名・学名が使用されているのです。

和名・学名のどちらか片方であれば、比較的整合を取りやすいのですが、両方変わっているものも有り、その場合は、そのグループに精通している研究者以外は同種かどうか判断できないという結果になっています。18年度水国リストでは、学名のうち、命名者と命名年、分布情報は表記されておりません。

また、中には分類学の進歩に伴って、科の所属が変わっているものもあります。このように、古くてその時点ではほぼ完全なリストと、新しくて一部の情報を欠くリストが共存する事態が出現したわけです。

日本昆虫学会では、日本産昆虫総目録を根本的に改訂すべく、専門委員の方々が新目録作成に努力を傾けていらっしゃるそうです。

ただ、部分的にはかなり進行していると漏れ伺っていますが、まだ手が付けられていない分類群も多々ありそうです。全体として完成するのはいつになるのか、予想が付きません。

そんなわけで、取り敢えず前記2つのリストの相関を把握することが急務です。

2つのリストは、種の配列もそれぞれ独自で作られており、片方の種を別のリストで探す場合、慣れないとなかなか困難です。

まずは、自身で使用する便利さから、甲虫目について、日本産昆虫総目録と18年度水国リストの相関表を作成しました。

甲虫目では、日本産昆虫総目録9874種、18年度水国リストでは12125種が掲載されています。これらを合わせると、リストの片方だけに含まれる種(シノニム及び重複分・不明種等)を含めて、合計12280種になります。

一応、日本産昆虫総目録の配列で右側に18年度水国リストの種を貼り付けた総目録シートと、その逆のシートをエクセルで作りました。ご希望の方には頒布しますので、[url=http://www.coleoptera.jp/modules/contact/]今坂までご連絡下さい。[/url]。

将来的には、この2リストそれぞれに誤りが含まれており、その訂正と、その後の新種記載・分類学的変更等の追加・訂正が必要になりますが、その作業は後日行う予定です。