2024年10月10日長崎昆虫研究会事務局の中島充也さんより、山元宣征さんの訃報がもたらされました。
「かねてより闘病中であった元編集委員の山元宣征さんが10月9日お亡くなりになられましたのでおしらせします。」
(2011年2月26日長崎昆虫研究会総会での山元さん)
享年80歳。
山元宣征さんは、2024年6月に亡くなった松尾照男さん(長崎昆虫研究会会誌・こがねむしの編集担当)の前の編集担当で、そのさらに前任者・柴原克己氏と2004年(69号)から共同編集を始められました。
柴原氏の離島への転勤後、2012年77号から山元さん単独で編集を始められ、2018年83号まで担当されて、84号から松尾照男氏にバトンタッチされました。
上記3氏は同様に鬼籍に入られたわけですが、長崎昆虫研究会では最も活動的な会員を相次いで失い、大きな打撃を受けております。今後、西澤正隆会長を始めとして、会員一同、会の立て直しが必須の状態になっております。
山元宣征(やまもと・のぶゆき)氏略歴
山元さんは2017年に217ページの大著「長崎県本土の有剣ハチ類」を自費出版されていますが、その中で、以下のように自己紹介をされています。
(長崎県本土の有剣ハチ類における著者近影)
小学校高学年で昆虫採集を始めるが、高校進学とともに中断。大学時代は山岳部に所属し、北アルプスでの岸壁登攀や雪山登山に没頭する。県庁就職後は、水産行政や水産試験場での研究に長く携わる。50歳を過ぎて、1995(H7)年に(現)長崎昆虫研究会に入会。その頃から、甲虫類の採集のかたわら主に長崎県本土産有剣ハチ類の調査・採集を始め現在に至る。
1944年4月3日長崎県東彼杵郡波佐見町生まれ。
1963年長崎県立佐世保南高校卒業
1967年長崎大学水産学部卒業
2005年長崎県水産部退職
2008年長崎県漁業漁場協会退職
長崎昆虫研究会会員
日本蜂類同好会会員
日本ゾウムシ情報ネットワーク会員
(2012年2月19日長崎昆虫研究会総会後の打ち上げ後、左から2人目が山元さん)
自己紹介にありましたように、山元さんの昆虫関係の著作は、主として退職間際の長崎昆虫研究会入会時から始まっています。
(「長崎県本土の有剣ハチ類」表紙)
当初は甲虫が主力でしたが、晩年は、県下で調査する人がいないハチ類の方に軸足が移っていったようです。2017年に自費出版された「長崎県本土の有剣ハチ類」は県下の有剣ハチ類267種の分布記録・形態の記載・生態等をまとめられた大作で、特に、各種の訪花植物については、カラー写真も含めて詳しく解説されています。
(「長崎県本土の有剣ハチ類」から顔面写真)
(「長崎県本土の有剣ハチ類」から標本写真)
(「長崎県本土の有剣ハチ類」から生態写真)
(「長崎県本土の有剣ハチ類」から訪花植物)
山元宣征氏著作目録(昆虫関係のみ)
以下のように、主に長崎昆虫研究会会誌・こがねむしに掲載された報告を、今坂が編集しましたが、まだ、抜けがあるかもしれません。ここに未掲載の報告をご存じでしたら、ページ右上のおたよりをクリックしてお知らせ下さい。後ほど、「こがねむし」誌に山元宣征さんの追悼号が計画されましたら、改めて、そちらに掲載させていただきます。
このトピック掲載後、Webページ日本産甲虫目録の制作者・鈴木 茂氏より、抜けていた4編の山元宣征さんの著作をご教示いただいたので追加しました。鈴木 茂氏に心より厚くお礼申し上げます。さらに長崎昆虫研究会の田中 清氏にも1編ご教示いただきました。田中 清氏にも心より厚くお礼申し上げます。)
山元宣征, 1996. 1975年に採集したヨコヤマヒゲナガカミキリ. こがねむし, (58): 28.
山元宣征, 1997a. ニジュウヤホシテントウがヒヨドリジョウゴに産卵, こがねむし,(59): 10.
山元宣征, 1997b. 1996年に採集した甲虫2種, こがねむし,(59): 44.
山元宣征, 1997c. マスダクロホシタマムシおよびオオヒョウタンキマワリの採集例, こがねむし,(59): 45.
山元宣征, 1997d. スイカに集まったコブマルエンマコガネ, こがねむし,(59): 46.
山元宣征・青木良夫, 1998. 多良山系におけるヒゲナガカミキリの採集記録, こがねむし,(60): 47.
山元宣征, 1998. ピックニセハムシハナカミキリの長崎県内2例目の記録, こがねむし,(60): 47-48.
山元宣征・大西秀隆, 1998. 大野原でクロシジミを採集, こがねむし,(60): 4.
山元宣征, 1999a. 街灯に飛来した甲虫について,こがねむし,(61): 21-30.
山元宣征, 1999b. クスベニカミキリに関する2, 3の知見. こがねむし, (61): 31.
山元宣征, 2000a. 街灯に飛来した甲虫について2(リストの追加と訂正),こがねむし,(63): 28-33.
田中 清・山元宣征, 2000. 陸生ボタルの採集記録(1). こがねむし, (63): 51-52.
山元宣征, 2000b. ゴマダラカミキリを10月に採集, こがねむし,(64): 51.
山元宣征, 2000c. ヒゲナガカミキリ成虫の越冬飼育, こがねむし,(64): 52.
山元宣征, 2000d. 長崎市内でスジグロシロチョウを採集, こがねむし,(64): 53.
山元宣征, 2000e. ヨツモンカメノコハムシの長崎県からの記録. 月刊むし, (356): 45-46.
山元宣征・和田義人, 2001. 長崎市周辺に定着した侵入昆虫ヨツモンカメノコハムシ. 月刊むし, (368): 11-14.
和田義人・今坂正一・野田正美・青木良夫・山元宣征, 2001. 金比羅山の甲虫目録,こがねむし,(65): 19-57.
山元宣征, 2001a. モンキタマムシ3題, こがねむし,(66): 27-29.
山元宣征, 2001b. 盛夏のヨツモンカメノコハムシについて, こがねむし,(66): 30.
山元宣征, 2001c. キイロスズメバチは吸血バチ???, こがねむし,(66): 31.
山元宣征・和田義人, 2001. 長崎市周辺に定着した侵入昆虫ヨツモンカメノコハムシ, 月刊むし, (368): 11-14.
山元宣征・柴原克己. 2005. ヨコヤマヒゲナガカミキリの長崎県内2頭目の記録. こがねむし, (70): 1.
山元宣征・青木良夫・萬木二郎・松田 亨, 2005. モンキタマムシの分布調査報告. こがねむし, (70): 25-27.
山元宣征, 2005a. 長崎市内の臨海部でアカマダラコガネを採集. こがねむし, (70): 29.
山元宣征, 2005b. ウスグロヒメコメツキモドキ長崎市に産す. こがねむし, (70): 30.
山元宣征, 2005c. 多良山麓でサツマヒメカマキリを採集. こがねむし, (70): 31.
山元宣征, 2005d. 炎天下に飛翔するハイイロゲンゴロウ. こがねむし, (70): 31.
山元宣征, 2005e. キュウシュウエゾゼミを素手で捕まえる. こがねむし, (70): 32.
山元宣征・佐々治寛之, 2005. ヨツボシツヤテントウとミスジキイロテントウの追加記録. 月刊むし, (406): 11-12.
山元宣征・中薗信行, 2005. 長崎県本土でクロソンホソハナカミキリを採集, 月刊むし, (418): 17-19.
山元宣征, 2007a. 甲虫2題、ナミテントウとルイスコメツキモドキ. こがねむし, (71): 13.
山元宣征, 2007b. 落ち枝から出たヘリウスハナカミキリ. こがねむし, (71): 34.
山元宣征, 2007c. クロソンホソハナカミキリの追加採集. こがねむし, (71): 35.
山元宣征, 2007d. ハラアカコブカミキリ成虫の飼育例. こがねむし, (71): 36.
山元宣征, 2007e. ヒゲナガカミキリ雲仙に分布か?. こがねむし, (71): 37.
山元宣征, 2008. 長崎県本土で採集したフクイアナバチ. つねきばち, (13): 52.
山元宣征, 2010a. 雲仙市国見町で採集した甲虫4種. こがねむし, (76): 53-55.
山元宣征, 2010b. 長崎県本土産オオハナノミ科. こがねむし, (76): 56-57.
山元宣征, 2010c. ツマグロカマキリモドキを大野原で採集. こがねむし, (76): 58.
山元宣征, 2010d. 長崎県本土のアリバチ科の記録. つねきばち, (17): 25-27.
山元宣征, 2010e. キンモウアナバチの駆除. つねきばち, (18): 44-454.
山元宣征, 2010f. 九州北西部におけるヨツモンカメノコハムシの分布. 月刊むし, (472): 45-47.
山元宣征, 2010g. サビアヤカミキリの長崎県長崎市からの記録. 月刊むし, (478): 7-8.
山元宣征, 2011. 長崎県本土の有剣ハチ類. つねきばち, (19): 1-28.
山元宣征, 2012a. マメハンミョウの大量発生, こがねむし,(77): 98.
山元宣征, 2012b. オサムシトラップの捕獲効果例, こがねむし,(77): 99.
山元宣征, 2012c. 長崎県本土の有剣ハチ類種名リスト. こがねむし, (77): 101-109.
山元宣征, 2012d. アカギカメムシの集団発生. こがねむし, (78): 67.
山元宣征, 2012e. 柴原克己氏採集の対馬島産ウマノオバチ属. こがねむし, (78): 70.
山元宣征, 2012f. 壱岐島産有剣ハチ類の古い記録(1990年). こがねむし, (78): 71-73.
山元宣征, 2013. 長崎県本土の有剣ハチ類(2). つねきばち, (23): 27-30.
山元宣征, 2014a. 長崎県へのブタクサハムシの侵入時期. こがねむし, (79): 31-32.
山元宣征, 2014b. 2013年シーズン終盤の甲虫. こがねむし, (79): 33.
山元宣征, 2014c. 2013年までに記録された長崎県産有剣ハチ類. こがねむし, (79): 82-93.
山元宣征, 2015a. 長崎県西彼杵半島のキアシネクイハムシの出現時期. こがねむし, (80): 4-5.
山元宣征, 2015b. ホソクビアリモドキの中脚異常個体. こがねむし, (80): 126.
深川元太郎・今坂正一・山元宣征・野田正美・ 阿比留巨人・松尾照男・田中 清(長崎昆虫研究会甲虫会グループ), 2016. 西彼杵半島の甲虫相. こがねむし, (81): 1-152.
山元宣征, 2017a. 標本箱を整理して-未報告の甲虫類とその産地-. こがねむし, (82): 73-75.
山元宣征, 2017b. 西彼杵半島産キアシネクイハムシ2題. こがねむし, (82): 76.
山元宣征, 2017c. 長崎県本土の有剣ハチ類. 217pp. 自刊.
山元宣征・今坂正一, 2018a. 長崎県本土産のハチ目広腰亜目. こがねむし, (83): 22-39.
山元宣征・今坂正一, 2018b. およそ40~50年前に採集された有剣ハチ類. こがねむし, (83): 40-53.
山元宣征, 2018a. 甲虫類の長崎県内新産地と追加記録. こがねむし, (83): 70-72.
山元宣征, 2018b. ニシアオハムシダマシの中脚異常個体. こがねむし, (83): 75.
山元宣征, 2019a. 五家原岳でホシアシブトハバチを採集. こがねむし, (84): 15.
山元宣征, 2019b. ナナホシテントウの斑紋異常型. こがねむし, (84): 61.
山元宣征, 2020a. 斑紋によるキアシナガバチとセグロアシナガバチの判別. こがねむし, (85): 33-34.
山元宣征, 2020b. ハチ目広腰亜目の名称修正について. こがねむし, (85): 35-38.
山元宣征, 2020c. 長崎県本土産有剣蜂類の記録の更新. こがねむし, (85): 39-42.
山元宣征, 2021a. 長崎県本土産のハバチ類について-記録の訂正と追加-. こがねむし, (86): 54-62.
山元宣征, 2021b. 九州近県で採集したヒメバチ類・ハバチ類. こがねむし, (86): 63-64.
山元宣征, 2021c. 大村市黒木町でガガンボギングチバチを採集. こがねむし, (86): 65.
山元宣征, 2021d. 長崎市内でスギ腐朽材からクロタマムシが発生. こがねむし, (86): 76.
山元宣征, 2021e. トマト支柱竹から発生した甲虫2種. こがねむし, (86): 77-78.
山元宣征, 2021f. 長崎県にエサキムカシハナバチが定着. つねきばち, (36): 77-78.
山元宣征, 2024a. 大野原でエサキムカシハナバチの雄が発生. こがねむし, (88): 25.
山元宣征, 2024b. モンキジガバチの亜種について. こがねむし, (88): 26.
山元宣征, 2024c. 長崎県本土産有剣ハチ類の雌雄別採集実績. こがねむし, (88): 27-35.