第2回甑島調査(夏)の3回目、上甑島6月26日の続きです。
里の農道の後は、5時を回っていましたが、市の浦に出かけました。
〇市の浦 46種(*6種) 6月26日から27日
前回同様、湿地の中にベイトトラップを仕掛け、林縁の立木にライトFITを掛けてみました。
しかし、翌27日に確かめたところ、ベイトではミイデラゴミムシとオオフタホシテントウ、ライトFITではオオクロコガネ、クチブトコメツキ、ヤナギルリハムシが入っていただけで、ほとんど意味がありませんでした。
トラップを仕掛けた後、ふと立ち枯れのクロマツを見ると、樹幹にウバタマコメツキ*が這っていました。上甑島では、松が叩ける場所はほとんど他に見られないので、この場所では、マツ叩きを主力にしました。
すると、マツ葉からクロタマムシ*が落ちてきました。枯れ枝にはキュウシュウトゲバカミキリもいて、新芽からはマツノマダラカミキリも落ちてきました。
九州本土では、相当猛威をふるったマツノマダラカミキリですが、駆除が徹底してきたのか、松枯れはまだ見ますが、この2-30年、長いこと本種の成虫の姿は見ていません。
27日も同様に松を叩いて、キュウシュウトゲバカミキリとマツノマダラカミキリを追加し、ウバタマムシ、ムツキボシテントウ、クリイロクチキムシ、マツノシラホシゾウムシを落としました。
松林の中に、1本だけ大きなアコウの樹が枝を広げていて、いるはずだよなと思いながら、枯れ木や付近の下生えを叩いていたところ、ムツボシシロカミキリがポロッと落ちてきて、してやったりという気分。
後は、草や低木を叩いてコイチャコガネ、クロハナボタル下甑島亜種、イガラシカッコウムシ、ムナグロナガカッコウムシ、ヒロオビジョウカイモドキ、シコクフタホシヒメテントウ、キアシクロヒメテントウ、ナミテントウ、ダンダラテントウ、セグロヒメハナノミ、アトモンマルケシカミキリ、ヒゲブトゴミムシダマシ、イチモンジハムシ、ワタミヒゲナガゾウムシを落としました。
國分さんは、アオスジアゲハ、モンシロチョウ、キタキチョウ、ムラサキシジミ、ヤマトシジミ、ツバメシジミ、アマミウラナミシジミ、イシガケチョウ、コミスジを目撃し、ヒメヒラタタマムシ、サビキコリ、ヒゲナガヒメカミキリ、ヨツスジトラカミキリ、アトモンチビカミキリ、クロオビトゲムネミカミキリ、キボシツツハムシ、ドウガネツヤハムシ、サカグチクチブトゾウムシ*、オジロアシナガゾウムシなどを追加採集されました。
26日はこれで、宿に戻りましたが、夜半からまた雨。風も強まったようです。
27日は既にお知らせしたように、中甑、須口池、遠目木山の林道、里の農道、岳の辻段、中野のダムと回って、FITなどを回収し、採集。ここまで民宿みかく泊。
<6月28日>上甑島最終日、下甑島初日
28日は中甑、遠目木山のライトFITを回収して、下甑島へのフェリーの時間まで、里の農道で花掬い。上甑島の採集はこれでお終いです。
里港から眺めると、里の町の背後に、遠目木山などがそびえています。
(里港からの眺め、左端の山が遠目木山)
12:50のフェリーで下甑島へ。フェリーの中で伊藤君と合流しました。伊藤君はけさ早朝大分の自宅から走ってきたとのこと。カメムシ類が専門ですが、甲虫もかなり良く採る採集の巧者です。鹿島港に13:35着。
[下甑島 2019年6月28日から7月1日 國分・内藤・伊藤・今坂、6月29日から7月2日 有馬]
鹿島港で下船して、すぐ近くの藺牟田へ向かいます。
湿地-草地-牧場の現状を伊藤君に見て貰ってから採集を始めようとしたところ、内藤さんから電話があり、長浜港に到着して待っているとのこと。内藤さんは遙々千葉からの参加です。
伊藤君にお願いして、内藤さんを拾ってレンタカーを借りるのを手伝っていただきました。今夜は、春と同じ手打の「きまま館」に、國分、内藤、伊藤、今坂と、4人の虫屋がそろうことになっています。
今坂と國分さんは、ここで採集しがてらライトFITを設置しました。
〇藺牟田 100種(*20種) 6月28日
國分さんはヤマトシジミとアカタテハを見たくらいでチョウの気配がしないので、林縁をビーティングしていました。採られた甲虫はコヒゲナガハナノミ*、ルリナカボソタマムシ、コシキクチボソコメツキ、カワムラヒメテントウ、キボシツツハムシ、フジハムシ*、サメハダツブノミハムシ、キイロタマノミハムシ、アカネニセクチブトキクイゾウムシ、チャバネキクイゾウムシなど、これらは、今坂の採集品には入っていません。
今坂は狙ってホウロクイチゴも確かめているのですが、ルリナカボソタマムシが採れません。
また、なぜか、最普通種のフジハムシは今回が甑島初記録で、結局、採集期間中この1個体だけでした。
今坂は林縁のビーティングや、草地のスウィーピングなどで、アカケシガムシ、キヌコガシラハネカクシ、マダラチビコメツキ、ハマベオオヒメサビキコリ、ムナグロナガカッコウムシ、クロズマルヒメハナムシ*、ミツモンセマルヒラタムシ、ケシコメツキモドキ、ヨツボシテントウダマシ、ケオビアリモドキ、ヘリアカゴミムシダマシ*、ウスアヤカミキリ、アトモンチビカミキリ、アヤモンチビカミキリ、トガリシロオビサビカミキリ、オビレカミキリ、アトモンマルケシカミキリ、オオアカマルノミハムシ、カクムネチビトビハムシ*、ヨツモンカメノコハムシ、チビヒョウタンゾウムシなどを採集しました。
(ハマベオオヒメサビキコリ、ヘリアカゴミムシダマシ)
ハマベオオヒメサビキコリとヘリアカゴミムシダマシは草地の刈り取って地表に積んである枯れ草の中から見つかりました。
ハマベオオヒメサビキコリ tsukamotoiと、ハマベヒメサビキコリ miyamotoiは、従来は亜種関係と見なされていましたが、現在は、別種として扱われています。前者は本州から口永良部島まで、後者は屋久島から宮古島までの琉球と四国南部、伊豆諸島に分布し、各地で亜種に別れることになっています。
大分の堤内さんのご教示によると、宮崎、鹿児島の太平洋岸では miyamotoiが採れるようで、今のところ、九州西岸では tsukamotoiが採れるようです。2種の分類については、まだ、色んな意見があるようで、その事も含めて、本種群の分類と分布には調べるべき事が多そうです。堤内さんにお礼申し上げます。
ヘリアカゴミムシダマシは南太平洋から琉球を経て、本州(三重・奈良・大阪)までの分布が知られていますが、九州では長崎県西彼杵半島と鹿児島県うなぎ池の記録があります。九州西廻り分布種の1つと考えています。
甑島産のトガリシロオビサビカミキリは白くて、九州北部の個体とは一見して区別できます。ただ、南九州産は甑島産に似て白っぽいという話もありますが、確認できていません。
(トガリシロオビサビカミキリ、左から、長崎県樺島産、下甑島藺牟田産、熊本県白髪岳産)
この点、1984年に発行された日本産カミキリ大図鑑でも既に、「下甑島産は上翅の白帯があざやか、その前方(基部辺)が全体暗色なことで別亜種とすべきかもしれないが、他地域でもほとんど区別できない個体が稀に出現する。」と、同様の意見が表明されており、♂♀とも図示されていますが、分類学的処置はなされていないようです。
日本鞘翅目学会編, 1984. 日本産カミキリ大図鑑. 565pp. 講談社.
(オオアカマルノミハムシ、カクムネチビトビハムシ)
1時間ほど採集したところで、伊藤君から電話があり、内藤さんと合流して、レンタカーの手配も完了したそうで、長浜で待っていると言うことでした。
湿地の中にも踏み入って、水物も掬ってみようかと思っていたところでしたが、待たせておくわけにもいかず、さっそく、國分さんと長浜に向かうことにしました。
話は飛びますが、その夕方、伊藤君は単独で、藺牟田でのスクリーンを張っての灯火採集に出かけました。途中で雨も降り出し、風も結構強く吹いたと思うのですが、ねばりに粘って、伊藤君が戻ってきたのは、そろそろ28日も過ぎようとした頃でした。その時は、「虫の飛来は余りたいしたことが無かった」ようなコメントでしたが、後で標本を預かってビックリ。かなり採れているではないですか。
まず、水物で、コツブゲンゴロウ、ナガマルチビゲンゴロウ*、オオマルケシゲンゴロウ、ツブゲンゴロウ、ホソセスジゲンゴロウ、クロゲンゴロウ、チビヒラタガムシ、ルイスヒラタガムシ、チビマルガムシ*、ガムシ、タマガムシ、マメガムシなど。
(クロゲンゴロウ、ガムシ)
甑島は水生甲虫(ゲンゴロウとガムシ)の探索は、松井ほか(1988)などの全島的な調査もあり、他の群に比較するとかなり充実しているのですが、それでも次の2種は初記録のようです。
松井英司・高井 泰・田辺 力, 1988. 鹿児島県の水性甲虫相. SATSUMA, 37(100): 61-115.
(ナガマルチビゲンゴロウ、チビマルガムシ)
水辺の虫として、ツヤヒメヒョウタンゴミムシ*、クリイロコミズギワゴミムシ*、タナカツヤハネゴミムシ*、ブロンズクビナガゴミムシ、チビニセユミセミゾハネカクシ*、ニセユミセミゾハネカク*、チビクビボソハネカクシ*、リュウキュウダエンチビドロムシ、タテスジナガドロムシ。
(ツヤヒメヒョウタンゴミムシ、タナカツヤハネゴミムシ)
(ブロンズクビナガゴミムシ、チビニセユミセミゾハネカクシ)
草地や裸地の虫として、スジマダラチビコメツキ、コガタヒメサビキコリ、ナガヒゲブトコメツキ*、マルガタキスイ、ケナガマルキスイ*、ハイイロカミキリモドキ、コスナゴミムシダマシ、ヘリアカゴミムシダマシなど。あと、牧場に依存する虫その他で、キバネケシガムシ*、カドマルエンマコガネ、フチケマグソコガネ、エゾマグソコガネ、ウスイロマグソコガネ、ヤエヤマニセツツマグソコガネ*、セスジカクマグソコガネ、ヒメセスジカクマグソコガネ*、ミドリサルハムシ、アオガネヒメサルハムシ、キイロクワハムシなどです。
ヤエヤマニセツツマグソコガネとヒメセスジカクマグソコガネ、スジマダラチビコメツキは、最近、九州西岸でも見られるようになり、分布域が北方へ広がっている模様です。
(左から、ヒメセスジカクマグソコガネ、ヤエヤマニセツツマグソコガネ、スジマダラチビコメツキ)
今坂のライトFITは翌29日の回収時には、吹き飛んで何も入っていませんでしたが、伊藤君の奮闘のおかげで、藺牟田からよほど湿地性や水物の種が追加できたことになります。
〇尾岳 140種(*23種) 6月28日から30日
藺牟田から急ぎ長浜へ向かい、長浜で伊藤君、内藤さんと合流しました。車3台を連ねて尾岳に向かいます。瀬々野浦へ向かう横断林道を10分くらい走ってから、右に分岐し、自衛隊の基地を過ぎてから、尾岳の入り口に着きます。内藤さんは2014年から数回、甑島に採集に来られていると言うことで、採集ポイントの情報を伺います。
尾岳の採集は、やはり、廃道の林道の少し先(そこに一時期、伐採地が出現したそうです)と、山頂への登山道だそうで、この日は甑島で初めて採集する伊藤君への案内がてら、廃道の林道の先のシイ林へ向かうことにしました。
林道入り口に車を停めて、樹葉や枯れ木を叩きながら、シイ林を目指します。廃道からシイ林へ案内してから、ライトFITを設置します。
翌29日も内藤、國分、今坂の3人で尾岳を訪ねましたが、この時は尾岳山頂への登山道へ向かいました。尾根道のことで樹高はあまり高くなく、発達した林というわけではありませんでしたが、想像したより湿気があり、細いながら立ち枯れやキノコの付いている樹も多く、こちらも時間を掛けて採集した方が良さそうです。
スプレーイングもやってみて、2日間でコハラアカモリヒラタゴミムシ、ベーツホソアトキリゴミムシ、シャープキノコハネカクシ*、ツヤヒメキノコハネカクシ、ヒメクロデオキノコムシ*、オオカンショコガネ、ナガチャコガネ、ヒラタハナムグリ、ムナビロサビキコリ、ホソサビキコリ、オオサビコメツキ、スミアカベニボタル、キノコヒラタケシキスイ、アミモンヒラタケシキスイ、トビイロヒメハナムシ、ヒサゴホソカタムシ、マダラツツキノコムシ、クロホソナガクチキ*、アラメヒゲブトゴミムシダマシ、カタモンヒメクチキムシ、クビカクシゴミムシダマシ、マルツヤキノコゴミムシダマシ、モトヨツコブゴミムシダマシ*、マルムネゴミムシダマシ、ホソクビキマワリ、コシキハネナシサビカミキリ、ヒメヒゲナガカミキリ南九州亜種、セミスジコブヒゲカミキリ甑島亜種、ヒメツヤハムシ*、ミドリサルハムシ、ドウガネサルハムシ、ウリハムシモドキ、ツツゾウムシなど58種を採集しました。
モトヨツコブゴミムシダマシは甑島では尾岳周辺の高標高地で採れ、ヨツコブゴミムシダマシは、逆に、低地の長浜で採れています。
(クロホソナガクチキ、モトヨツコブゴミムシダマシ)
ヒメツヤハムシも九州本土ではブナ帯とその下部くらいで採集される種で、平地や低山では見かけません。尾岳らしい種の1つと言えるかもしれません。
國分さんはチョウではルリタテハとイシガケチョウを見ただけですが、甲虫は結構面白いものを叩き落とされていて、ハラアカモリヒラタゴミムシ、チャイロツヤムネハネカクシの近似種*、コヒゲナガハナノミ*、ネアカクロベニボタル、アカゲハナボタル、ホソホタルモドキ、チャバネムクゲテントウダマシ*、クロツヤテントウ、ヤクカサハラハムシ、ケチビヒョウタンヒゲナガゾウムシ、スネアカヒゲナガゾウムシ、メナガヒゲナガゾウムシの一種*、エゴシギゾウムシ、クワヒメゾウムシなど34種が入っていました。
(チャバネムクゲテントウダマシ、クワヒメゾウムシ)
(訂正. 右図は当初、エゾヒメゾウムシと表示していましたが、吉原一美博士から、違うように思うとのコメントが寄せられ、調べ直したところ、クワヒメゾウムシでした。謹んでお詫び申し上げ、ご教示いただいた吉原博士に厚くお礼申し上げます。)
このうち、メナガヒゲナガゾウムシの一種は、九大の今田君のご教示によると、「この種は川畑(2011)により伊豆八丈島よりPhaulimia sp.として報告された種です。その後、トカラ列島、屋久島、九州ほぼ全域、四国の足摺岬、紀伊半島の大塔山から確認しています。本種は触角のクラブが一番特徴的で、第9節が逆三角形であり第11節は角張ります。また、口吻がやや長いです。背面の模様からも識別が可能です。」ということで、未記載種のようです。今田君にお礼申し上げます。
川畑喜照,2011.伊豆諸島八丈島の甲虫 VIII.神奈川虫報,(173): 53-62.
(メナガヒゲナガゾウムシの一種、背面、側面)
伊藤君はヒメツヤゴモクムシ*、チャイロヒメタマキノコムシ*、ムネトゲセスジハネカクシ、ルイスヒメキノコハネカクシ*、ツブツブカレハハネカクシ*、アシナガマルケシキスイ*、ルイスチビヒラタムシ、ハスモンムクゲキスイ*、キウチミジンキスイ、ヨコモンヒメヒラタホソカタムシ*、ダルマチビホソカタムシ、アラメヒゲブトゴミムシダマシ、クロホソゴミムシダマシなど20種を採集していましたが、ほとんど今坂や國分さんとは、重複しない種です。多分、キノコと落ち葉から採られた種ばかりなのでしょう。
(アシナガマルケシキスイ、ハスモンムクゲキスイ)、
このうち、キウチミジンキスイは少ない種で、九州本土からも2例(長崎・大分)くらいの記録しか無く、甑島ではやはり尾岳で2個体を採集しただけです。
(キウチミジンキスイ、ヨコモンヒメヒラタホソカタムシ)
尾岳のライトFITは、6月28日から29日は廃道林道の先のシイ林に、6月29日から30日は登山道の方に掛けました。全部で55種が得られ、天気が悪かった割には、さすがに、尾岳は多様性が高いようです。
オオアオモリヒラタゴミムシ、クロシデムシ、コクワガタ屋久島亜種、オオカンショコガネ、サツマコフキコガネ、カミヤビロウドコガネ、マルガタビロウドコガネ、カバイロビロウドコガネ、ヒゲコメツキ、ムナビロサビキコリ、オオサビコメツキ、フタモンウバタマコメツキ、クロツヤハダコメツキ、ホソツヤケシコメツキ、ヒゲナガコメツキ、コチャイロコメツキダマシ、ホソホタルモドキ、ヒメオビオオキノコムシ、ミヤマオビオオキノコムシ、トウキョウムネビロオオキノコムシ*、カツオガタナガクチキ、ミヤケヒメナガクチキ、モンハナノミ*、ホソカミキリモドキ*、クリノウスイロクチキムシ、クチキムシ、ナガニジゴミムシダマシ、ツシマムナクボカミキリ、ケブトハナカミキリ、タテジマカミキリ、センノカミキリ、アカナガクチカクシゾウムシ、マツアラハダクチカクシゾウムシ*、トドマツオオキクイムシ*などかなり多くの種が採れています。
九州本土では、カバイロビロウドコガネは、ハラゲビロウドコガネに駆逐されたのか、かなり見かけなくなってきましたが、甑島では後者はまだ記録されておらず、健在のようです。
(カバイロビロウドコガネ♂、♂交尾器背面、ホソカミキリモドキ)
尾岳産タテジマカミキリは、トガリシロオビサビカミキリ同様、かなり白化するようです。これが甑島産の特徴かどうかは、不明です。
(ケブトハナカミキリ、タテジマカミキリ)
(マツアラハダクチカクシゾウムシ、トドマツオオキクイムシ)
松田さんにベニボタルの同定をしていただきましたが、尾岳のライトFIT採集品に、今回甑島で得られた8種のうちの6種、ネアカクロベニボタル、カクムネクロベニボタル*、クロハナボタル下甑島亜種、アカゲハナボタル、ウドハナボタル、ヤククロハナボタルが含まれていました。
上甑島で採れたヒメクシヒゲベニボタルを除き、スミアカベニボタルを加えた7種の写真を松田さんが撮ってくださったので図示しておきます。松田さんに厚くお礼申し上げます。
(左から、ネアカクロベニボタル、カクムネクロベニボタル、スミアカベニボタル、アカゲハナボタル、全て♂)
(左から、クロハナボタル下甑島亜種、ウドハナボタル、ヤククロハナボタル、全て♂)
カクムネクロベニボタルは甑島から初記録です。
ウドハナボタルとヤククロハナボタルは、クロハナボタル下甑島亜種と混同していましたが、ウドハナボタルはかなり目が大きく、そのつもりで見ると区別できます。南九州固有の珍品と思っていましたが、その後九州各地や、宮城県からも見つかり、結構広い分布域を持つ種のようです。
ヤククロハナボタルはクロハナボタル下甑島亜種より小型ですが、目も含めてほとんど同じで、♂交尾器を確認しないと区別は難しそうです。
結局、尾岳では140種が採集され、瀬々野浦に次いで多くの種が確認されました。