夕刻より吉野ヶ里温泉卑弥呼の湯で、恒例の吉野ヶ里虫の会第八回が行われました。
この日は午後より、福岡県RDB原稿作成のため甲虫担当の3人で会議をし3時半に終了、急いで会場の吉野ヶ里温泉に向かいました。
吉野ヶ里温泉卑弥呼の湯は佐賀県三養基郡上峰町大字坊所1523-1、久留米の自宅からは背振インターへの途中に当たり車で30分ほど、従来は近くに上峰サティが有り、個人的にも割に出かけたスーパー銭湯です。
同じ敷地内のすぐ横に、ビジネスホテルの吉野ヶ里温泉ホテルがあり、卑弥呼の湯の2階にある宴会場で宴会をやると、宿泊代が1500円割引になり、当然、入浴料もただ、温泉に入って、宴会をして、泊まって、それに2次会に居酒屋へ繰り出しても、総額1万円に収まるという、虫屋にとっては大変ありがたい会場です。
この場所を温泉好きの仕事仲間・祝さんが見つけてきて、アセス関係者を中心に虫屋が集まって忘年会として始めたのが2006年の12月、3回目の2008年12月には虫屋の忘年会として、初めて、昆虫掲示板で報告しました。
なお、最近、掲示板へのトピックの掲載をさぼっていまして、ホームページの左にある見出し・昆虫掲示板をクリックすると、過去1年分が出るはずなのですが、この1年何も書かなかったため、トピックが何も出てきません。
過去1年分の右横の▼印を押すと、一番下に「全て」というのがありますので、それをクリックして、右横の送信をクリックすると、過去のトピックの全ての一覧が出てきます。
自然系調査掲示板も同様で、これら2つの掲示板で合わせて140編ほどのトピックを掲載していますので、過去のも参照したい方はどうぞ。結構、さまざまなネタを取り上げています。
ともあれ、今後は、トピックが1編も表示されないというような事態は避けたいと考えています。
さて、いつものように、ホテルのチェックインをして、温泉に向かいます。
休憩所付近で、さっそく、矢代さんを見つけました。いつも、遠く加古川から駆けつけていただいています。
矢代さんからは、このあと、再同定のサンプルを預かりましたが、夢にも思っていなかった事実が判明することになります。
それはまあ後日談ということで、自然系調査掲示板の次のトピックとして書くつもりです。
紛れ種3種にご注意
http://www.coleoptera.jp/modules/xhnewbb/viewtopic.php?topic_id=139
矢代さんはすでに入浴を済まされたと言うことで、一人温泉へ・・・温まって、出る頃には、懐かしいメンバーが次々に集まっていらっしゃいました。
昨年から、実質的に幹事役が祝さんから塚田さんにバトンタッチされ、案内から場所の予約まで、すべて塚田さんが担当してくださっています。
昨年同様、体調は本調子ではないとのこと、冬場はあまり元気ではないのですかね。
そうそう、前回は、会の翌日からメンバーの半数以上がインフルエンザか、あるいは疑似の方で、2-3日寝込んだ人が多かったようで、ひどい人では一週間もかかったように伺いました。
今年は昨年のような雪景色とは打って変わって、暖かい晴天で、会の後で寝込んだという話も聞かないですみました。
宴会の始まりはいつものように最長老・三宅さんの乾杯。長めの話もいつも通り。早く呑みたい顔をしているのは矢代さん。
今回は西田さんの奥さんも入れて23名の出席。昨年のインフルエンザで懲りた四国の宇都宮さんの奥様は遠慮されて、別の温泉でお待ちとのこと。
鍋の横に標本が見えているのも、虫の会ならでは。今回はたぶん、最も出席者の多い会になったものと思われます。
多少、飲み食いしてから、一人ずつ、自己紹介をして頂きました。
アセスの会社を経営されている宮崎さんは、昨年に引き続き3回目、昨年から大忙しだったはずですが、わざわざ参加いただきました。
隣はアセスの会社にお勤めの初参加・野崎Tさん。今回は初参加で野崎さんがお二人参加です。
野崎Tさんは、鳥屋さんだそうですが、カメムシも詳しく、カメムシ屋初心者と自称されている幹事の塚田さんもいろいろ教わることが多いそうです。
次は、宮崎さんの会社にお勤めの宇木さん、この人も初参加で専門は蛾とか。
続いて九州大学学生の高橋さん、こちらも初参加。以前、アセス会社にお勤めだったとか。
残念ながら、上記お三人とゆっくり話す時間が無く、専門や興味深い話を聞きそびれてしまい残念でした。
是非、次回も参加していただいて、今度はゆっくりお話を伺いたいものです。
さらに、大分昆虫同好会からの初参加組、まず、野崎さんの二人目、野崎Aさん。
大分昆の三宅会長言うところの採集の隠れた名人、ご本人は人と採集に同行されることはほとんど無く、人に吹聴されることもないので誰もご存じないらしいが、三宅さんが県初とか、九州初とか、ビツクリするような珍品を採ったという話をすると、「それは何処其処で採っています」とボソッと言われるとか。
専門は蛾屋さんで、採った蛾の生態にも詳しく、蛾屋さんの重鎮・佐藤さんが、彼に会うためにわざわざ大分まで出かけてきたという話も三宅さんから伺いました。
野崎Aさんは、専門ではないはずの甲虫も、珍品も含めて、かなり採られているらしい。
昨年から、アセスの仕事でご一緒する機会も出てきたので、今後、是非、採り方とその標本を見せていただきたいものです。
大分昆の初参加組、二人目は堤内さん。彼は九州内の甲虫屋には、コメツキ屋、タマムシ屋として知られていて、私も仕事上も含めて同定等でお世話になっています。
大分昆の会誌・二豊の虫に3回に渡って県内から177種のコメツキを記録されています。
対馬・五島など多くの離島を擁する長崎県でも亜種を含めて153(亜)種、福岡県で150種なので、彼のすごさが解ります。
タマムシではツツミウチナガタマムシ Agrilus tsutsumiuchii Ohmomo、コメツキでもユフインツヤミズギワコメツキ Oedostethus tsutsumiuchii Ohiraなど、彼が発見して、彼に献名される種も次々に出てきています。
右側の松尾さんですが、今回はご自身も一緒に作成された「長崎の昆虫電子図鑑」のCDを持参され、紹介かたがた数名に配られました。
これは、長崎県立長崎西高等学校が制作したホームページ、長崎SSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業の中の1部門・長崎SSH科学プロジェクトの「長崎SSHミュージアム」の中に、長崎の昆虫(シーボルトコレクション)として掲載されている内容をCD化されたものということです。
インターネットで、
nagasaki-w-ssh.sakura.ne.jp/index-insect-door.html のアドレスに行くと、先の表紙が出て、その全体像を見ることができます。
監修の言葉を引用しますと、
「鎖国時代から唯一世界に扉が開かれていた長崎には、ケンペルをはじめとして多くの生物学者が訪れました。その中でも、とくにシーボルトの功績が広く知られています。例えば、ナガサキアゲハは、シーボルトが長崎などで採集した標本をもとに新種記載されています。
そこで、「長崎の昆虫電子図鑑」では、県内にいるすべての昆虫を図鑑化するための第一歩として、オランダのライデン自然史博物館に保存されているシーボルト・コレクションの439種について現代の長崎県産の標本を用いて電子図鑑化しています。」とあります。
科博の野村さん、九大の紙谷さんの監修・指導で、上記、松尾さんなど長崎県内の4教諭と紙谷さんの執筆、長嶋さんなど西高校の3教諭の編集で、写真等の協力者として、長崎昆虫研究会のメンバーと、吉野ヶ里の出席者のうち、三宅さん、佐々木さん、今坂の名前もありました。
西高生物部の学生田中さんと矢口君の2名と引率の先生方4名は、2011年8月8日〜8月16日の間、わざわざ、オランダのライデン自然史博物館まで取材に出かけられ、実際のシーボルトの採集品58種を撮影され、この図鑑の中に掲載されているそうです。
画面の左に有る「オランダ国立自然史博物館取材調査」をクリックすると取材の様子が解ります。
昆虫図鑑をクリックすると、ガの仲間を始めとして、ズラッと画像が現れ、シーボルトが持ち帰ったチョウ、甲虫、トンボ、バッタ、セミ、ハチなど、さまざまな昆虫を見ることができます。
オオイトトンボ Cercion sieboldii (Selys)、オオナガコメツキ Nipponoelater sieboldi sieboldi (Candeze)などは種小名に、コオニヤンマ Sieboldius albardae (Selys)は属名にシーボルト(siebold)の名前が見られ、彼の収集品で命名された可能性が高いと思われます。この図鑑には、ライデン博物館にあるオニヤンマ Anotogaster sieboldii (Selys)の写真も掲載されています。
再度、解説から引用しますと、
「昆虫の研究を行うため,江戸末期から大正時代に長崎を訪れた外国人だけでも約40人に達していま。その中でも江戸期代はケンペル、ツュンベリー、シーボルト、ゴシュケビッチ、アダムス、江戸から明治にかけてのルイス、リーチ、フェリエの計8人による功績は特に大きいものがあります。
多くの昆虫が彼らによって採集され、命名されて世界に紹介されていきました。このため学名が長崎を訪れた学者に献名されたもの、日本にちなむもの、原産地が長崎となっているもの、和名の中に長崎、雲仙、対馬などの長崎の地名が含まれている虫などが多く見られます。」と書かれています。
長崎県出身者の筆者にとっても感慨深いものがあり、分類学をちょっぴり囓った者としても、意義のある仕事と思います。「日本の分類学の夜明けは、長崎から始まったとたい」と言うわけです。
是非、上記ホームページを閲覧いただきたいと思います。
今坂は、出来上がったばかりの久留米昆の会誌 KORASANA 81号を紹介し、ちゃっかり、非会員の人たち数人に販売しました。
表紙は城戸さんによる、今回、福岡県RDB見直しに掲載する甲虫のうちオオモンキゴミムシダマシ、アカマダラコガネなど14種をレイアウトしたもの。内容としては、甲虫の地域採集リストが11編に、上宮先生による「昆虫の飛翔能力」と題した実験による実証的な解説と、今回は体調不良で欠席された田畑さんの「補遺・九州産を中心にしたウンカ科簡易暫定仮リスト」他115ページ。
田畑さんからは、別に、ご自身が個人的に作成されているウンカ・ヨコバイ・アワフキ・ハゴロモ・ツノゼミなどの仮リストと文献リストを入れたCD・8枚を預かってきていたので、欲しい人を募ったところ、こちらも即足らなくなり、USBメモリーを持っている人には、パソコンからコピーする始末。
微に入り細に入りの田畑リストには脱帽、個人的な配布だけではなく、むしろ、全て公表していただきたいと本人にはお願いしています。
これらのリストを希望の人は、左側欄外にある「おたより」をクリックし、住所氏名・あるいはメールアドレスを明記の上、今坂までメールください。
さて、鍋の方もそろそろ完食して、あちこちに集まって虫談義が始まりました。
いつものように、パソコンと顕微鏡を用意し、珍品の画像を見たり、同定を頼んだりという光景が見られます。
九大の細谷さんと、昆虫巡査を卒業した佐々木さんは、コガネの話で弾んでいるご様子。
ここのところ体調不良の祝さんと古川さん。
矢代さんと、今回も山口から参加の山本さんは、ユスリカ談義ですか? お世話役の塚田さんは多少疲れ顔。
(左から矢代さん、塚田さん、山本さん)
冨嶋さんと大城戸さんは仕事の話?それともアリの話?
廣永さんを挟んでの植物談義も楽しそうです。廣永さんは自宅にさまざまな植物を鉢植えにして300鉢ほどを育て、眺めて楽しんでいるそうです。
鉢植えだと分類順でも好きなもの順でも並べ替えができ、種により、季節により、日当たりの良い場所や日陰にも移せて便利だそうです。
虫屋がドイツ箱中に、BOXをいれて並べ替えているのと同じ感覚のようですね。
午後10時すぎには宴会場はお開き、集合写真を撮りました。
さらに、午後10時半からはいつもの居酒屋で二次会です。
今回はあまり混んでなくて、半分貸し切り状態です。
改めて、出席メンバー第二長老の山本さんが乾杯の音頭。
呑み、かつ、虫の話も世間話も。虫屋の将来や、アセスの10年後などを憂いつつ、さらに1時間半ほど楽しみました。
いつもより早く、12時前のお開き、西田夫妻はまだ名残惜しそうです。
店を出ると、調子に乗った佐々木さんが、西田さんの奥さんとツーショットの写真。誰に見せるつもりなのでしょう。
さらに、店前で集合写真。数えると18名、確か私と、もう一人撮影していた人がいたはずで、そうすると20名が二次会まで楽しんだわけで、早めに帰られたのは3名だけのようです。
あっ、そうそう、中原さんが撮影されてました。個別の写真でも紹介するのを忘れていてすみません。いつも参加ありがとうございます。
暑くて上着を脱いでの帰り道です。昨年の雪景色とはえらい違い、1月末というのに・・・。
さて、今年はどんな天気、どんな仕事、そしてどんな虫との出会いになることでしょう。