神奈川の松原さんから、メツブテントウ類はシイ・カシ類の樹幹で生活しているとの情報が寄せられました。佐賀の廣川さんからは、樹幹や枯れ木、朽ち木の表面で生活する種の採集には、その表面を箒様のもので掃いて、ビーティングネットに落とせば良いと教わりました。
それで、この二つをドッキングさせ、「幹掃(みきは)き採集」と名付けて、4月9日に、長崎県多良山系の轟の滝付近で試してみました。ここは諫早市轟峡の標高300m程度、渓谷沿いにシイ・タブの老木を中心としてうっそうとした林に覆われているところです。
春がまだ早いこともあって、虫の数はたいへん少なかったのですが、それでもシイの樹幹からはメツブテントウが、
タブの樹幹からは不明の甲虫(北海道の吉富さんによるとチビドロムシの一種だそうです)がそれぞれ1個体採集できました。
また、タブなどの樹幹についたマメヅタからは、昨年生態が解明されたばかりのトホシニセマルトビハムシが少数採集できました。
樹幹に這い上がるマメヅタは数多く見られるのに、なかなか発見できなかったのですが、色の淡い新しく芽吹いた葉にこのハムシはひっそり付いていました。黒いところは食害の跡のようです。
このうち、メツブテントウは長崎市で採れていますが、多良山系では佐賀県側からのみ知られていました。また、トホシニセマルトビハムシは長崎県では廣川さんたちの平戸安満岳の記録に次ぐものです。これら3種共に、私は初めて採集しました。
採集方法を変えると、今まで採れなかった虫が採れ、なかなか楽しいものです。一度試してみませんか?
なお、松原さんによると、フランスの文献で、同様に幹を掃く採集方法が紹介されているそうです。どこにでも、変なことを考える人がいるものですね。ご教示頂いた三人の方にお礼申し上げます。