高良山に決定
例年のように、2025年の久留米昆蟲研究會の総会は、3月30日に開かれました。
そこで問題になったのが、採集会を何処でやるか、と言うことでした。
2024年度は古処山で計画したものの、2度とも、大雨のための通行止めで中止、その前の2年間は、筑後川の河川敷で開催しました。
何処か、県内近場の適当なところを模索しますが、なかなか良い案が出てきません。
それで、初心に戻って、地元の本丸・高良山を提案してみました。
この数年、相棒の國分さんと、車で1時間余りで行ける各地を見て回りましたが、結局、一番木が大き良く茂っているのは、高良山だと認識していたからです。
結局、採集会の1回目は高良山に決定し、2回目は昨年のリベンジで、古処山にすることになりました。
高良山とは
高良山は久留米市東部に位置します。
(高良山の位置・グーグルより改変引用)

筑後川の南側に、屏風のように聳える水縄山地(最高地点・鷹取山801m)の、西端の山(ピーク)で標高312m、山頂直下に筑後一の宮である高良大社が鎮座し、筑後平野全域が眺望できます。
(左: 高良大社の麓の鳥居、右: 拝殿、下: 大社からの眺望)

その社寺林として、東西3km、南北2km位の範囲で、シイ林を中心に大木の林が広がっています。
60年以上前の、國分さんの子供時代には、この林の範囲より奥の水縄山地の尾根道沿いは、大部分がススキ原だったそうです。
現在はその多くがスギ植林地で、一部に広葉樹の二次林が見られる程度で、発達した樹林は社寺林の範囲に限定されます。
KORASANA
久留米昆蟲研究會の会誌 KORASANAは、勿論この高良山に由来します。
しかし、高良山そのものではなく、高良山で採集されたナガサキアゲハ♀の斑紋異常型 ab. korasanaから採られています。
古い時代の異常型は現在の亜種に準じる扱いでした。それで、高良山に因む学名を雑誌名にしたわけです。
(左から、ナガサキアゲハの異常型 ab. korasana、会誌1巻3号表紙・虫魂碑を掲載)

高良大社の直下の広場には、この異常型を象った虫魂碑(昆虫慰霊塔)があります。
久留米昆蟲研究會では、毎年10月末くらいに虫供養(昆虫慰霊祭・2025年度で65回目)を行なっております。
(左から、虫魂碑、虫供養)

高良山採集会
高良山採集会は6月28日に開催されました。
開催に先立ち、私が個人的に纏めた高良山産甲虫類のリスト(1000種)と、灯火採集適地を地図上にポイントした資料を作り、参加者に配付しました。
高良山産甲虫類のリスは、文献記録を基にしておりますが、まだ記録していない種も含まれています。
まあ、私が高良山に分布していると認識している種をピックアップしたわけで、後日作成予定の高良山産目録のたたき台と言ったところです。
(高良山甲虫リスト、上: 1-500、下: 501-1000)


一応、高良山の範囲としては、山麓の鳥居の位置から、耳納スカイライン沿いの兜山まで、南麓林道沿いも含んでいます。
(高良山灯火採集適地: ◎印)

この日の参加者は、有馬さん、斉藤さん、小旗さん、私が、耳納スカイライン沿いの北斜面側、
國分さん、城戸さん、大塚さんが南斜面の南麓林道沿いで、併せて7名です。他に、祝さんも、挨拶に見えられましたが、所用があるとのことで、採集はしないで帰宅されました。
午後6時に森林公園の駐車場に集合して、資料を渡し、思い思いの場所で灯火採集の白幕を張って採集しました。
(駐車場での集合写真、左から、斉藤、大塚、國分、小旗、城戸の各氏)

今坂の採集結果
手前味噌ながら、まずは、私の採集状況から紹介します。
(今坂の採集地点)

耳納スカイライン沿いに、鳥居から高良大社までの中間地点あたりに、道横に広い駐車場があります。
右手の斜面は、ちょっと前までツツジで覆われていました。
現在は、刈り取られて、これから新たに植栽される予定のようです。
その斜面の右手の林、高良山としては南斜面になりますが、ここがA地点で、BOX式のブラックライトトラップを設置しました。
(A地点、左から林内、ブラックライトBOX)

Boxで採集した60Wのブラックライトは、少し早めの午後5時過ぎに設置したこともあり、灯火採集終了時の午後10時過ぎにはバッテリーが切れ、消えていました。
それでも、A地点の採集品は以下の通り。
ヨツモンコミズギワゴミムシ○、チャイロコミズギワゴミムシ、ミドリマメゴモクムシ、ウスイロシマゲンゴロウ○、アカケシガムシ○、コモンシジミガムシ、アカツブエンマムシ○、ニセヒメユミセミゾハネカクシ、クロズトガリハネカクシ、チビヒメクビボソハネカクシ、ヘリアカバコガシラハネカクシ、ヒロエンマアリヅカムシ、ニホンタマキノコムシモドキ、コブマルエンマコガネ、セスジカクマグソコガネ、オオコフキコガネ、サツマコフキコガネ、コイチャコガネ、サクラコガネ、セマダラコガネ、サビキコリ、フタモンウバタマコメツキ、ヒゲナガコメツキ、ヒメホソキコメツキ○、クシコメツキ、
エノキコメツキダマシ、マルキマダラケシキスイ、グルーベルホソチビヒラタムシ、カドムネチビヒラタムシ○、セマルチビヒラタムシ、マルガタキスイ○、ヒメムクゲオオキノコ、ヒラタコメツキモドキ、セモンホソオオキノコムシ、チャイロミジンムシ、ツヤケシヒメホソカタムシ、ツヤナガヒラタホソカタムシ、コモンヒメコキノコムシ、アマミヒメハナノミ、ホソニセクビボソムシ、モリモトチビキカワムシ、ウスモンツツヒゲナガゾウムシ、ツシマオノヒゲナガゾウムシ、トゲアシクチブトゾウムシ、チビハナゾウムシ、カシノナガキクイムシ○、ガンショキクイムシの47種が入っていました。
このうち、○印を付けた8種は、先に挙げた高良山採集リストには入っていない種です。
47種も入っていたことは予想外でした。
それより、高良山では1995年以来、30年に渡って採集しているのに、たった3時間ほどのライトトラップで、採ったことの無い種が8種も含まれているのにはビックリです。
(左から、カドムネチビヒラタムシ、カシノナガキクイムシ)

カシノナガキクイムシは、本州では大発生してコナラやクヌギなどにナラ枯れを引き起こし、大問題を起こしている種です。
しかし九州では散発程度で、目立ったナラ枯れの大発生は少なく、この種も高良山では初めて確認しました。
(左から、エノキコメツキダマシ、ホソニセクビボソムシ)

高良山で既に記録されているとは言え、エノキコメツキダマシ、ホソニセクビボソムシ、モリモトチビキカワムシ、ツシマオノヒゲナガゾウムシは、結構珍しい種です。
それでも、この日は、これらの種を皆さん結構、数を採集されていたようです。
(左から、モリモトチビキカワムシ、ツシマオノヒゲナガゾウムシ)

それより気になったのは、流水性のコモンシジミガムシや、止水性のウスイロシマゲンゴロウを始めとして、水辺の石下などで見られるヨツモンコミズギワゴミムシ、チャイロコミズギワゴミムシ、ミドリマメゴモクムシ、ニセヒメユミセミゾハネカクシ、ヒロエンマアリヅカムシなどが得られたことです。
A地点は標高180m、南斜面で、近くに川も池も水溜まりもありません。
次のB地点は、高良大社の右上にある広場の駐車場の、さらに100mくらい先にある広場です。標高は263mです。
私は、ここをメインの場所として、灯火採集の白幕を張り、さらに、小型のブラックライトBOXも設置しました。
(B地点、左から、白幕を張った道横の広場、その下の斜面の林内)

さらにC地点は、森林公園の駐車場の左脇から、ハイキングコースを300mほど進んだ、高良山で最も大木が林立する地点で、標高は208mです。
位置的には、先のB地点の斜め下、300mほどの地点となります。
(C地点、左から、ブラックライトBox設置、林内・一抱え以上の大木が見える)

この2地点は斜面の上と下に位置し、あるいは互いの光が見えても良いくらいの位置にあり、結局採集品は一緒にしてしまいました。
(B地点とC地点の位置関係)

B地点の白幕には大型のカミキリやコガネなどが少々来たくらいで、数は多くなく、その時点では、高良山の成果はたいしたことないと思っていました。
しかし、B地点とC地点のブラックライトBoxの採集品を加えてみると、併せて65種にもなり、結構な種数になりました。
ブラックライトBox恐るべしです。
また、A地点では採れていない種も43種に上り、A、B、Cの3地点合計では1晩で90種も採れています。
B+C地点で追加した種は、以下の通りです。
ヨツボシミズギワゴミムシ、オオアオモリヒラタゴミムシ、カラカネゴモクムシ○、コヨツボシアトキリゴミムシ、ホシハネビロアトキリゴミムシ、ヒメシジミガムシ○、チビタマキノコムシ○、ヤマトニセユミセミゾハネカクシ、ツマグロスジナガハネカクシ○、クビボソハネカクシ、サビハネカクシ、ナカアカヒゲブトハネカクシ○、ノコギリクワガタ、フトカドエンマコガネ、ツヤエンマコガネ、オオスジコガネ、マルトゲムシの一種○、キスジミゾドロムシ、ヒゲコメツキ、クチブトコメツキ、ヒラタクシコメツキ、アカアシハナコメツキ○、
(仮称)ハカタオオチャイロコメツキダマシ○、(仮称)ヒメムネミゾコメツキダマシ○、(仮称)ツクシヒメフトコメツキダマシ○、カクムネクロベニボタル○、セマダラナガシンクイ、ケジロヒョウホンムシ○、ヨツボシケシキスイ、ミツモンセマルヒラタムシ、ナカグロミジンムシ○、ウスチャケシマキムシ、ヒメヒラタホソカタムシの一種○、キタツツキノコムシ、オカモトヒメハナノミ○、トゲナシヒメハナノミ、カトウカミキリモドキ、ツヤチビキカワムシ、ムナビロクチキムシ、キマダラカミキリ、ガロアケシカミキリ、アトモンマルケシカミキリ、アシナガオニゾウムシ、サクキクイムシ。
このうち、高良山初が14種採れています。
特に注目されるのは、ヒメヒラタホソカタムシの一種、(仮称)ハカタオオチャイロコメツキダマシ、(仮称)ヒメムネミゾコメツキダマシ、(仮称)ツクシヒメフトコメツキダマシの4種で、いずれも学名が決定できない種、多分未記載種(新種?)と思われます。
(ヒメヒラタホソカタムシの一種)

この種はどこかで見たような気がしました。
ハヤシヒメヒラタホソカタムシやケブカヒメヒラタホソカタムシに似ていますが、より体形は平べったく、体表の鱗毛は短く広いので、一見して違います。
だいぶ探し回ったものの、青木先生の解説にも出てこずに、これは日本未記録種だろうと思いました。
青木淳一, 2012. 日本産ホソカタムシ類図説.92pp. 昆虫文献 六本脚.
青木淳一, 2013. ホソカタムシの誘惑 (第2版). 211pp. 東海大学出版会.
やっと思いついたのは、40年程前、自身が郷里・島原市の自宅の二階でライトで採集した種でした。
(島原産不明ヒラタホソカタムシ17.IX.1982. 島原市白土町・灯火)

この個体は、かつて、青木先生とメールでやりとりをしていた頃に、標本をお送りして、調べていただきました。
青木先生の2009年3月19日のメールでは、以下のようにコメントされています。
「まず、最も似ているハヤシヒメヒラタと比べてみましたが、島原のものは
(1)体がずっと大きい
(2)上翅に黄色いヘリがある
(3)前胸背板も上翅も長さに対して幅が広い
(4)前胸背板と上翅が同じ色彩である
(5)体毛目立ち、密に生じている
などの点で異なり、別種と判断されます。」
今坂正一とE-アシスト ホームページ
青木淳一先生とEメールで語りあった日々 2
ただ、その後、青木先生は体調を崩され、結局、結論を出されないままになりました。多分、この標本は青木先生のコレクション中にあるはずです。
これは大変なことになったと、俄然張り切ります。
この後も、ライトFITや、ブラックライトBoxを何度か設置してみましたが、結局追加は採れませんでした。
しかし、当日参加されたメンバーに、「こんな種が採れました」と後日画像を送ってみたところ、有馬さんから、「これがそうではないですか?」と画像が送られてきて、まさしく本種でした。
2個体もあれば何とかなるかもしれないと、1個体を、ホソカタムシの新種記載も手がけられている生川さんに送って調べていただいたところ、以下のような返事でした。
「お送りいただきましたホソカタムシですが、ヒメヒラタホソカタムシ属 Synchita の未記載種、または日本からは未記録の種です。
Synchita属は、世界から約60種が知られていますが、コスモポリタンの種もいて、未記載の種も多く、現時点では、正確に種名を特定することができません。
私は奈良県と宮崎県の標本を検視していますが、具体的に報告された文献記録は、確認していません。」
青木先生も、同様の理由で、種名の決定をされなかったのだろうと思います。
ご教示いただいた故・青木淳一先生と生川さんに、厚くお礼申し上げます。
次に、(仮称)ハカタオオチャイロコメツキダマシです。
私や、斉藤さんも採っておりますが、最初に見つけたのは有馬さん採集の♂で、たまたま、特徴的な♂交尾器が露出しておりました。
ハカタオオチャイロ♂交尾器の側片には釣り針の返しのような突起(矢印)があり、オオチャイロではシンプルでトゲはありません。
それで、私にも、オオチャイロコメツキダマシとは違うと判断できて、畑山さんに連絡したわけです。
(左から、ハカタオオチャイロ♂背面、♂交尾器背面、オオチャイロ♂交尾器背面、♂背面)

畑山さんは、この個体を届けた有馬さんへのお礼のメールで以下のようにコメントされています。
「まさか高良山で記録されるとは思ってもいませんでした。
ご存知かもしれませんが、2011年に今坂氏にライトFITを勧め、爾来、十数年高良山でのライトFIT採集のコメツキダマシを送ってもらいましたが、毎年、数十頭採集のオオチャイロコメツキダマシは普通種のオオチャイロ Fornax victorでした。
びっくりです。
ハカタオオチャイロは故・松永善明さんが1973年7月13日に福岡県立花山で採集された1♂が初見でした。
一見、オオチャイロコメツキダマシそっくりでしたが、Fornax属♂の特徴の前フ節第1節の櫛歯長がオオチャイロは半分弱なのに対し、ハカタオオチャイロは第1節全長にわたっており、ゲニも調べたところ側枝形状が大きく違っており、別種と確信した次第です。
その後見ることはなかったのですが、京都府舞鶴市の黒田さんから地元・五老ケ岳産のコメダマの同定依頼があり、その中に、2000年~2003年採集のハカタオオチャイロが6頭も入っていました(頂上の公園の明かりに来ていたとのこと)。
対馬海流の流れでの分布と考えていました。
また昨年、和田潤さんがコメダマの採集品を送ってくださったのですが、2021年7月の大野城市牛頸山のライトで1♂。さらに、2023年7月27日宮崎県尾鈴山のライトで1♂(これは2023年の綾町の採集会後の帰宅途中でライト実施との事:九州東側で800mくらいの高地)これには驚きました。
ひょとすると九州一円に分布しているのかもわかりません?
それと、採集品はすべてライトトラップ(いわゆる白幕を張ってのナイター)でライトFITでは採集されていません(五老ケ岳も高良山も)。不思議ですね。」
高良山採集会では、3名併せて7個体が、やはり、白幕ナイターで採れています。
さらに、(仮称)ヒメムネミゾコメツキダマシです。
この種も、私、有馬さん、斉藤さん共に数頭ずつ採集しています。
この日はアタリ日だったようです。
この種についての詳細は、今月末までには発行される予定のKORASANA106号の、今坂ほか(2026)の中で、平尾台産について畑山さんが解説されています。
今坂 正一・和田 潤・國分 謙一, 2026. 平尾台で2022年に採集した甲虫類. KORASANA, (106): 131-173.
ちょっとフラインクになりますが、新種記載ではないので良いでしょう。
(左から、ヒメムネミゾ背面、ムネミゾ背面、ヒメムネミゾ側面、ムネミゾ側面、白矢印は前胸側板基部直前の溝、緑矢印は上翅の側縁の稜線 (ムネミゾは無))

畑山さんによると、概略の特徴は以下のようになります。
「今のところ、新属新種と考えられる近似種が2種、本州(近畿)と九州(北部)で見つかっている。
一見、エノキコメツキダマシに似ているが、両種とも前胸側板に深い触角溝と、後胸腹板両サイドに深く長い溝を持つことで他の属と区別される。
高良山産は(仮称)ヒメムネミゾコメツキダマシで、平尾台や英彦山などの低地でも見つかっている。
上翅側縁部は完全で(緑矢印)、前胸側板基部直前に深い溝(白矢印)を持つのが特徴である。
もう1種の(仮称)ムネミゾコメツキダマシは、より高標高の釈迦岳などで採れている。
上翅側縁部は不完全で、前胸側板基部直前には溝はほぼ見られないのが特徴である。
これら2種は、大阪箕面市下止々呂美において、標高460m の同一ポイントでのライトFITで採集したが、発生時期はズレており、後者が約1ヶ月早く発生するようである。
2種は外形は良く似ているが、♂交尾器形状が相当違うので、同じ属かどうかは不明。」
((仮称)ツクシヒメフトコメツキダマシ)

この種もフライングの2つ目で、同様に詳細は、KORASANA106号に掲載されています。
本種について、畑山さんは、以下のように解説されています。
「カドハラヒメフトコメツキダマシBioxylus bidentatusに近縁の未記載種で、全体により明るく暗赤褐色で、前胸背板後縁部と上翅の基部、会合部は赤褐色を呈する。
前胸背板側縁が、横から見て、後種が波打つのに対し、本種はほぼ直線か緩くカーブしていることで容易に区別できる。
福岡県内各地を始め、宮崎県でも確認されている。」
以上、いつもながら、コメツキダマシについてご教示いただいている畑山さんに厚くお礼申し上げます。
(左から、アカアシハナコメツキ、ムナビロクチキムシ)

その他、この時採れたアカアシハナコメツキは5mmほどで、通常(7.2-9.5mm)より極端に小さく、別物かと思いました。
また、ムナビロクチキムシは珍しい種と思っていましたが、当日、結構採れているようです。
さらに、ここでも水ものが見られ、ヒメシジミガムシ、ヤマトニセユミセミゾハネカクシ、ツマグロスジナガハネカクシ、キスジミゾドロムシは流水性、あるいは、河川の水辺で見られる種です。
最後のD地点は、森林公園の駐車場の突端にある展望台付近で、この地点に有馬さんが白幕を張り、そのスクリーンから採集させていただきました。
それで、D地点の採集品は、次回、有馬さんの採集品の項で紹介します。
その後、前記、ヒメヒラタホソカタムシの一種を追加したいと思い、B地点にライトFITを設置し、7月2日に回収しました。
結果は11種入っていましたが、5種は6月28日と同じもので、ムナビロアトボシアオゴミムシ、メダカアトキリゴミムシ、オオクシヒゲコメツキ、ルイスクシコメツキ、ツツガタホソシバンムシ、モンキゴミムシダマシの6種を追加しました。
ヒメヒラタホソカタムシの一種が入っていなかったので、ライトFITはそのまま継続し、7月4日には、個人的に、B地点と、道路沿いのすぐ近くの2地点で、ライトBoxを実施しました。
(左から、B地点の先の道沿い、設置したライトBox)

7月4日は3地点併せて67種が確認できて、そのうち、次の32種が追加できました。高良山初も11種追加です。
ただ、どうしてもヒメヒラタホソカタムシの一種は追加できませんでした。
ウスオビコミズギワゴミムシ○、コキノコゴミムシ、カンムリセスジゲンゴロウ○、コマルズハネカクシの近似種○、カワベナガエハネカクシ○、キバネクビボソハネカクシ○、ツマキクビボソハネカクシ○、キアシチビコガシラハネカクシ、ムクゲヒメキノコハネカクシ、セダカマルハナノミ、オオカンショコガネ、ナガチャコガネ、ヨツバコガネ、アオドウガネ 、ドウガネブイブイ、スジコガネ、リュウキュウダエンチビドロムシ○、コガタノサビコメツキ○、ナガヒゲブトコメツキ、オオキバチビヒラタムシ、ヒラムネホソヒラタムシ○、ムクゲミジンムシ○、(仮称)フタモンミジンムシ○、コクロヒメテントウ、ヒュウガホソカタムシ、フタオビホソナガクチキ、ナミアカヒメハナノミ、チャオビヒメハナノミ、アワヒメハナノミ、アカモンホソアリモドキ、ツブノミハムシ、ミスジマルゾウムシ。
このうち、特筆すべきは(仮称)フタモンミジンムシです。
(左から、フタモンミジンムシ、ムクゲミジンムシ)

実は、昨年、南大隅に出かけた折、フタモンミジンムシも採集していたのですが、勘違いして、ムクゲミジンムシと表示していました。
春の南大隅-雨と風と低温と- その4
今回、ムクゲミジンムシを再確認したことで、フタモンミジンムシが未知の種であることがハッキリしました。
ムクゲミジンムシは、ムクゲキノコムシ科に似て、前胸後角が強く後ろに張り出して、上翅肩部を巻き込むのが特徴です。
フタモンミジンムシは、上翅の長さの4/5ほどもある長い前胸を持ち、前胸後角は普通に角張り、上翅後方に一対の小さな黄褐色紋を持つのが特徴です。
日本産ミジンムシ科は、昆虫総目録等では34種リストアップされています。
しかしながら、このうち図鑑等に掲載されて、同定の手がかりがあるものは、せいぜい10数種しかありません。
そのため、採集するたびに未知の種に出会ってしまいます。
実際は学名が付いている種かもしれず、確定できないのが歯痒い感じです。
どなたか、本格的に研究されることを待ち望んでいる昨今です。
(左から、カンムリセスジゲンゴロウ、コマルズハネカクシの近似種)

カンムリセスジゲンゴロウは筑後川の河川敷や、山麓の干上がった溜池で採集したことがあります。
オープンな場所の一時的な水溜まりで見られる種ですが、高良山の林内にそんな場所があるのでしょうか?
それから、九州産のコマルズハネカクシは、本州産とは♂交尾器が異なるそうです。
別種の可能性が高いと教わりましたが、まだ、未記載のようです。
(左から、コガタノサビコメツキ、ヒラムネホソヒラタムシ、ヒュウガホソカタムシ)

前2種は珍しいようで、あまり採集したことがありません。
ヒュウガホソカタムシは、まだ比較的最近、新種記載された種です。
記載された当時は南方系のごく珍しい種と考えていましたが、なぜか最近、しばしば九州各地で発見されています。
ライトFITが普及した事もありますが、ナラ枯れ等と同様に、急速に分布を拡大しているように思えてなりません。
ウスオビコミズギワゴミムシ、カワベナガエハネカクシ、キバネクビボソハネカクシ、キアシチビコガシラハネカクシ、リュウキュウダエンチビドロムシは水辺で見られる種です。
7月2日から引き続き設置していたライトFITには、7月4日回収分には7種入っており、オオチャイロコメツキダマシとセグロチビオオキノコムシを追加しました、
さらに7月7日回収分には11種が含まれ、オオナガコメツキ、スジヒゲコメツキダマシ、キベリハバビロオオキノコムシ、マダラケブカチョッキリが追加です。
(スジヒゲコメツキダマシ)

本種は北海道から九州まで分布し、既に高良山から記録していますが、九州では他に大分県の記録があるくらいで、少ない種です。
上記、オオチャイロコメツキダマシは♂交尾器が露出していて、先に、ハカタオオチャイロとの比較で示した個体です。
結局、ヒメヒラタホソカタムシの一種は追加個体を得ることは出来ませんでした。
しかし、採集を続けたおかげで、採集会当日から7月7日までの10日ほどで、高良山から135種を採集し、高良山初の種類を33種も確認できました。
その中には、新種候補である学名が未確認の種も7種見つかりました。
地元の低山とタカを括っていましたが、「高良山恐るべし」です。
今年は、さらに本腰を入れて調査すべきのようです。
つづく



