第十一回吉野ヶ里虫の会(648会)は、今年は1月28日(土)夕刻より吉野ヶ里温泉卑弥呼の湯で開催されました。
今年も連絡が悪かったのか、予約の看板は「648屋会」となっていました。屋が余分で、何のことやら・・・。
ホームページ上は、以前から継続の催しとして、吉野ヶ里虫の会としておきます。
お風呂から出て、受付の所に行くと、早々に幹事の塚田さんが、宴会の打ち合わせをしていて、5時半には、荷物を運び入れることが可能で、6時から開催という運びのようです。
しばらくまだ時間があったので、駐車場の車に着替え等を積みに行くと、何名ものメンバーが集まって、近況を話し合っていました。かなり懐かしい顔や、初めての人もいそうです。
常連の古川さんは、明日ある蛾類学会の前夜祭が本日あるということで、学会メンバー二人と顔を見せられていましたが、挨拶をした後で、会場の福岡へ出発され、今回は欠席です。
5時半になり、さっそく荷物等を会場に運び入れます。
いつものように、顕微鏡と、バソコンと、標本箱と、できあがったばかりの久留米昆の会誌と、ともかく大荷物を、築島さんや何人かの手も借りて2階の宴会場に運び上げます。
会場は、意外なことに、今回初めて、椅子席になっていて、年寄りにはやさしいかもしれません。
思い思いに席について、さっそく虫談を始めます。
次々にメンバーが集まって、2-3名を残すところで、気が早く鍋の準備を始め、最後の一人も時間には到着して、宴会の開始です。
例年、宴会の始まりの乾杯は、最年長の三宅さんが音頭をとられますが、今回は、若者が目立ったので、最年少の宮本君にやってもらうことになりました。
多少とも鍋をつついてから、さっそく一人ずつ、自己紹介です。
今回は、初めての人や、若者も多く、話した順ではなく、歳の順に紹介してみましょう・
まず、今回初めて10代の2人が参加してくれました。
最年少として乾杯の指名を受けた初参加の宮本君。
当然、音頭は慣れていないようで、一言二言で乾杯。当然19歳の未成年なのでウーロン茶です。
彼は愛媛大学1年、中学生の時、佐々木さんの昆虫教室で指導を受けたのが縁で虫をやるようになり、勇躍、昨年虫屋のメッカの1つ、愛媛大学に入学したというもの。
佐々木さんの影響で、ハムシをやりたいと言ってきて、テーマを物色中。
私の手元に材料が豊富なことから、カサハラハムシを勧めたところ、明日、拙宅によって実物を見たいとのこと。
(イマサカアラゲサルハムシ♀)
(イマサカアラゲサルハムシ♀上翅斜め側方より)
次いで、同級生の古閑君。
彼も愛媛大学の1年生で初参加、ハネカクシがやりたい、と言いつつ、こちらも絞り込みは出来ていない様子。宮本くんと一緒にうちまで来るということで、ハナムグリハネカクシを見せてみようと思った次第。
(四国産クロアラゲハナムグリハネカク♂♀)
(四国産クロアラゲハナムグリハネカク♂交尾器、背面、側面)
次は20代、
九州大学3年の今田君。
彼は、同じ九大昆虫の辻君に同行して今回初参加。元々、辻君が拙宅に来たいという話があり、辻君は昨年から吉野ヶ里に参加しているので、本会に参加するついでに、拙宅へ来ることが決まり、今田君は同行を希望したと言うことになります。
今田君はヒゲナガゾウムシをやっていて、現在、カギバラヒゲナガゾウとノミゾウに興味があるらしく、ちょうど私も興味を持っていたところで、話が弾んでしまいました。
(多良山系産オオトウカギバラヒゲナガゾウムシ♂)
それから、辻君、彼は九州大学4年。
彼はクチカクシゾウムシをやっていて、学会等でもすでに発表をしています。近いうちに、ある種群の総説を発表するつもりのようで、その材料集めに、拙宅に来る予定になっていました。
ゾウムシ全般、と言うより、甲虫全般に詳しく、結構どんな甲虫の話でも通じて、先が楽しみです。
さらに、20代後半で初参加の大串さん。
彼は確か、つい先頃まで、長崎で活躍していたはずです。水物のゲンゴロウやガムシ他の報告や、ビオトープの話題で、長崎県生物学会で活躍されていたのは知っていました。
それが、大城戸さんの同僚として登場したのは意外でした。
お仕事は忙しいと思いますが、福岡でも、長崎同様に活躍して下さい。
さらに、伊藤さん。
彼は九大在学中に、有本君と一緒に、数回も拙宅に文献調査に見えられました。
有本君の運転手を買って出ての訪問でしたが、彼自身の役には立ったのでしょうか?
カメムシが好きで、雑甲虫も多く採集されていたようです。
大分県職に奉職されて、現在は大分で虫取りをやられているようです。
大分のカメムシを始め、雑甲虫でも雑昆虫でも、何でも解明していただけばと、期待しています。
以上、20代以前の若者虫屋が6人も参加してくれた会は、学会以外ではかなり珍しい虫の会と、言うことが出来るかと思います。
さて、これから30代(と言っても全て私の推定年齢で、ちゃんと年齢を聞いたわけでは無いので悪しからず)。
まず久留米昆の若手、会誌編集の要、築島さん。
確か30代に入ったばかりのはずです。
それでも、虫屋に若手が少ないことから、久留米昆を始め、何処に行っても、最年少と思われてきました。
それでも今回は、少なくとも彼より年下が4名も。ちょっとお兄さんになった気分はしませんでしたか。
フリーでアセス関係の仕事をされてますが、昆虫のみならず、本来の専門は分析で、その方面で今年も中国に行かれるそうです。
彼の奮闘で、今年も久留米昆の会誌は300ページ超え、1冊に収まりきれず、2冊になってしまいます。それでも、より良い編集に悪戦苦闘したために、2冊同時発行は厳しく、最初の200ページ超えの1冊を、なんとか本会に間に合わせていただきました。残りの1冊も近々発行される予定です。誌面の紹介は次のトピックで行います。
会誌85号の紹介はこちらを参照下さい。
久留米昆蟲研究會会誌 KORASANA 85号が発行されました
http://www.coleoptera.jp/modules/xhnewbb/viewtopic.php?topic_id=185
次は久村さん。
アセス関係の会社にお勤めの若手、と思っていましたら、子供がいるという話を聞いて、意外や意外。
さらに、宇木さん。
てっきり、30代と思っていたところ、40代と伺い、さらに、小学生の子供がいると聞いて2度ビックリ、見かけは若いですなあ。
一昨年、熊本から福岡のアセス会社に移り、単身赴任中とか。なかなか大変と思います。蛾類が専門ですが、プライベートにも、今回は欠席の野崎さん等と一緒に、九州西岸のカメムシ相の調査を精力的に続けていらっしゃいます。
ここからは明らかに40代と思われますが、どなたが年上かは明らかではありません。
ハナバチが専門の村尾さん。
先年、ハナバチ図鑑が出ましたが、その著者の1人です。
昨年は、九大の、と紹介しましたが、その後、アセスの会社に入られたそうで、大変お忙しいそうです。
つぎは九大の細谷さん。
ご本人が苦笑しながら紹介されていましたが、現在の肩書きは、
「持続可能な社会のための決断科学センター環境モジュール 准教授」
というものだそうで、素人にはまったく意味不明。
先だっては、ジビエ料理の紹介で、イノシシ料理の話で学生と一緒にテレビに出られていました。トカラ列島のコガメムシ相調査は現在も続けられているそうです。
次は、大阪からわざわざ駆けつけてくれた坂井さん、初めての参加です。
(坂井さん)
彼は元々九大で、ヒロズコガの分類をやられていて、大学院修了と共に、独立してアセスを始められたという変わり種です。
私がまだ、アセス会社に勤務していた頃、会社に訪ねてきて「独立して、私とタイアップしてやりませんか?」と誘うような猛者でした。
九州でいくつかアセスの現場をご一緒した後、沖縄に本拠を移し、さらに大阪に移って、自営されています。レッドデータ関係のデータを整理して、ホームページに情報検索ページを設けられ、現在は、昆虫のみならず、土壌動物、無脊椎動物など各種の同定業をやられています。
会場でも「土壌動物調査のコツ」というパンフレットを配られていました。
それから、中原さん。
アセス会社にお勤めで、専門はエビ類。虫は専門ではありませんが、もう数回参加していただいています。虫の調査などで、参加メンバーとは顔なじみだからでしょう。
同じく、アセス関連が続きます。
大城戸さん。
毎年、あちこちの現地に同行いただいてお世話になっていましたが、昨年から、現地に行かなくなったので、あるいは、顔を合わせるのはこの会だけになるかもしれません。
それでも、用事でたびたび連絡をすることは多いので、会ってない感じはしません。
それから、2年ぶり参加の祝さん。
この会の初代幹事。この場所も彼が見つけてきて、全て彼のお膳立てで始まったわけで、この2年ほどの彼の不在を、メンバー全員が心配し、寂しがっていました。
住居を鹿児島に移し、心機一転、今年からまた、アセスの仕事を再開されるようです。
本来の専門はハナアブですが、彼は元々、アセス会社の福岡支社開設のために来福し、私にも声が掛かって協力関係を築き、それでできた人脈が本会のメンバーを形成しています。
参加のメンバー中でも、パソコン操作の技術は抜きんでていますので、データ整理、データ解析、パソコンの補修の面からも、力強い味方になっていただけるものと思います。
そして、その祝さんの後を引き継いだのが、二代目幹事の塚田さん。
同い年、同じ鹿児島出身、と言うことで、本会の幹事も、そして、アセスの仕事や人脈までも、引き継いでやって来られています。
祝さんが復帰されれば、これから、二人三脚でうまく仕事をこなしていただければと期待しています。
この2-3年、仕事が忙しくて、専門にしたいというカメムシは滞っているようですが、野崎さん等との九州西岸のカメムシ相の調査は続けられているようです。
次は、四国からお越しの宇都宮さん。
多分、ここから50代ですね。
宇都宮さんは水生昆虫等が専門ですが、昨年、会社を移られたとか。ミーハー虫が大好きとおっしゃっていましたが、忙しさで、水生昆虫の探索もあまりできないのかもしれません。
それから、西田さん。
彼も、独立したような話を聞いています。
次いで、60代。
同年で、同じくコメツキ屋、めでたく定年になったお二人ですが、
(左:松尾さん、右:堤内さん)
まず左の松尾さん。
例年ですが、このトピックで使用しているスナップ写真の半分ほどは松尾さん撮影のものです。松尾さんは、再雇用で、週に3日ほどはまだ、元の学校で教鞭を執られているそうです。
それでも、多少とも虫取りと虫関連に割ける時間は増えたようで、手作りの平均台を持参し、披露されていました。
私も1ついただいて、使ってみて重宝しています。虫ピンのラベルを刺す穴の深さは、個人により好みがありますが、それを事前に聞いて、オーダーメイドで作って下さいました。穴の深さは5通り、台の横には側面等見る用のポリフォームと、鉄製ムシピンが張り付く磁石、虫の体長計測のためのmm目盛りも設置してあり、「虫屋が、虫屋のために、虫屋自ら作った平均台」という感じがします。
週に2-3個しか作れない、ということなので、欲しい人はよほど良い虫を献上しない限り作って貰えないでしょう。
昨年日本新記録になった、鹿児島産のチャンギアシブトコメツキ Heteroderes changi Ohira 九州(鹿児島市); 台湾を、塚田さんから贈られて喜ばれていましたが、塚田さんは、さぞ使い勝手の良い平均台を獲得したものと思われます。
(チャンギアシブトコメツキ: 2-3日前に採れたばかり、生きてます)
長くなりましたが、次は、右側の堤内さん。
彼も退職後も続けて、都合の良いときは、前の職場で仕事をされているそうです。そのかたわら、アセスの仕事もやられていて、昨年も手伝っていただきました。
九州では、コメツキとタマムシの知識ではトップで、昨年も新たに新種と思われるナガタマムシを採集されたようです。そのうち、新種記載されると思います。
次に溝部さん。
学校の先生でしたが、退職後アセスの会社をやられています。
なかなか大変なようです。チョウが専門ですが、甲虫にもかなり熱を入れられています。
それから、初参加の國分さん。
久留米昆の事務局で、チョウが専門ですが、それより、文献の蒐集家として知られています。地元の久留米を始めとして、筑後一円、可能であれば福岡県内に関する全ての昆虫、ひいては、植物も含めた生物全般の文献の蒐集をライフワークにされています。
自宅の庭には、そのための収蔵庫も設置されています。
久留米を始め、福岡県内の文献を探すなら、まず、國分さんに相談するのが早道でしょう。
定年後も、元の会社に出られていましたが、昨年から完全にフリーになり、畑作業、虫取り、文献整理と、会の運営に尽力されています。
さて、いつもの常連、佐々木さん。
昨年はギックリ腰とかで欠席されて、今年はどうかと思っていたのですが、教え子の宮本君も参加して、いつもの絶好調が戻ってきていたようです。
私の方も、メールや電話では連絡している物の、面と向かうのは2年ぶりで、安心しました。
それから、初参加の寺崎さん。
熊本からわざわざ参加いただいたそうですが、自己紹介でも良く聞こえず、直接話す機会も逸して、どういう方なのか存じ上げず失礼してしまいました。
塚田さんに確認したところ、ご専門はチョウとトンボで、熊本県のレッドデータブックでは第一回の1998年の頃から主導的に活躍された方と言うことでした。機会があったら、改めてお話を伺ってみたいと思います。
さて、残るは本会の御大、長老お二人、まず、山本さん。
例年、関門海峡を越えて、参加していただいています。ユスリカ類の世界的権威ですが、昆虫であれば、ほぼ何でも同定可能という方で、昨年後半は、この方に泣きつかれた方も多いかと思います。
今年も、いろいろお願いする必要が出てくると思われます。
みんなのためにも、なんとか、ご自愛いただいて、ご協力、ご尽力をお願いします。
さて、殿(しんがり)は、本会の長老、というより、ほぼ九州昆虫界の長老と言っても過言で無い三宅さん。
今回は、いつでも話が出来るから、初めての人などと・・・と、あちこちで話をしていたら、結局、三宅さんとジックリ話をする機会が無く、タイムリーな話題を聞きそびれてしまいました。
何人かの人にお得意の素晴らしい多重合成写真を披露されていたのを横目で見、みんなの和の中心に常にいらっしゃったのですが、とうとう、紹介すべきトピックを聞きそびれてしまいました。
常に伺うべき人の知らない情報をお持ちなので、次の機会にはシッカリ耳を澄まそうと思います。
次の4枚の写真は、虫の話題で歓談するメンバーたちです。
最初の写真の右から2人目が筆者。
宮本君、古閑君、坂井さんなど、若手を集めて、久留米昆の会誌の宣伝をしているところです。そのかいあって、この日、4人の新入会員が誕生したと、後日、事務局の國分さんから伺いました。
会では、久留米昆会誌 KORASANA 85号の内容について、縷々説明し宣伝したのですが、その内容については、次のトピックで紹介することにします。
カメノコハムシの標本を見ながら、佐々木さん、西田さん、伊藤さん、辻君。
三宅さんの話を聞く、堤内さん、溝部さん、今田君。
かつてのアセス仲間、祝さん、大城戸さん、細谷さん。
そして、全員での集合写真です。今回は27名と、会が始まって以来の大人数になりました。常連さん数人が欠席してこの数ですから、来年はどうなりますやら。
宴会は10時前で終了。二次会へと場所替えです。
いつもの居酒屋での二次会です。
二次会も21人と、最多です。
その後も思い思いに虫談で2時間を過ごし、12時過ぎにお開き。
居酒屋の前で、再度集合写真。
皆さん、良い気分で、宿に戻って寝ることにします。
翌朝、早い人は午前7時くらいから廊下で話し声が・・・。
私は眠くて、朝食にやっと間に合う8時半過ぎに食堂へ。
皆さん、去りがたく、駐車場でまた集まって名残を惜しんでいました。
私は、学生君4名が拙宅に来るというので、9時過ぎにはそそくさと帰宅しました。
あの狭い部屋にどうやって4名を収容し、どういう順番で虫を見せるか、その事ばかりを考えていました。