今年(2015年)の第九回吉野ヶ里虫の会は、1月31日(土)夕刻より吉野ヶ里温泉卑弥呼の湯で開催されました。
私の方は、自宅から車で約40分なので、午後3時頃より会場へ向かいました。
ホテルのチェックインをして、温泉に向かいます。
少し早めに来たためか、温泉にはまだ誰も見られません。ゆっくり露天プロにつかり、サウナにも入って、さて、そろそろでようかという頃になって、大城戸さんと出会いました。年度末でとりまとめにお忙しそうです。
今年から、正式に幹事役が祝さんから塚田さんにバトンタッチされ、案内から場所の予約まで、すべて塚田さんがやって下さいました。
しかし、翌日開催される予定の佐賀昆総会で、カメムシの話の講演を引き受けられた由で、その準備と打ち合わせのため、佐賀昆事務局の古川さん宅で話をされているということで、会場にはなかなか現れません。
参加メンバーは三々五々集まり、6時からの開催には多少早いものの、手持ち無沙汰も有り、幹事はいないものの、会場で虫談を始めてしまいました。
遅れて塚田さん登場で、待ちきれなかったメンバーはさっそく開会を要求。
開会の辞です。
恒例により、長老・三宅さんの音頭で乾杯。みんな、早く呑みたいわけですが、三宅さんはこの一杯でお終い。酒なしで延々と虫談が続いていきます。
多少、鍋をつついてから、一人ずつ、自己紹介です。
今回は、話された順ではなく、順不同で若手から紹介します。
まず、今回初参加の長崎総科大院生の大串さん。
長崎県では若手の虫屋が少なく、県ファウナ解明などに今後が楽しみと思っていましたが、この春から、福岡県の会社に就職されるそうです。
新天地でも活躍して、来年もまた参加して欲しいものです。
次いで、こちらも初参加の中村さん。
個人で、アセスメント調査をやられています。
愛媛大出身で、専門は、ヨコバイ類、卒論ではクワキヨコバイ類をやられたそうですが、まだ未知の種が膨大に残っている種群のようです。生物地理の材料としても面白い種群のようで、田畑さんからもこの種群のことは伺っていました。ヒマを見て、是非、今後も研究も続けて欲しいものです。
次に、参加2回目組から、まず、野崎Tさん。
アセスの会社にお勤めです。
野崎Tさんは、カメムシ屋の目線で、昨年のシーズン中、月1回3日程度、下甑島に調査に出かけられたそうです。全島を廻り、採集を繰り返して、1年の間に300種余りのカメムシ類を採集されたそうで、その報告の草稿を見せていただきました。
思い返せば、私も、1982年に6月15日〜22日までの8日間、下甑島で採集しています。
約800種ほどの甲虫を採集しましたが、高橋Nさんと共著で新種記載した固有種のコシキクロヒメジョウカイ Rhagonycha bicolor N.Takahashi et Imasakaと、
アオハムシダマシ群の報告で記録したアオハムシダマシ Arthromacra viridissima Lewis、
私に献名していただいたイマサカアラハダトビハムシ Trachyaphthona imasakai (Takizawa)くらいしか、その成果が記録されていません。
近日中に記録されるはずの野崎Tさんの報文を見た後で、是非とも、私も記録をしなければ、という思いを強くしました。
アセス会社にお勤めの宇木さん、専門は蛾。
こちらも蛾屋さん、野崎Aさん。
昨年から、アセスの仕事を始めたタマムシ・コメツキ屋の堤内さん。
3年ぶり2回目の参加の村尾さん、九大の研究生でハナバチが専門。
昨年夏には多田内先生などと共著で、日本産ハナバチ図鑑を刊行されています。
常連組としては、アセス会社にお勤めの中原さん、専門はエビ・カニ・魚などの水生生物。
昆虫は専門ではない、と言いつつ、仕事で扱われるそうで、毎年参加して下さいます。
九大の細谷さん、専門はコガネ(遺伝子解析と生物地理)、准教授に就任されたそうですが、所属が変わり、いただいた新名刺の肩書きは、「持続可能な社会のための決断科学センター 環境モジュール」。
「何をやるんですか?」
「とりあえず、学生を、海外の自然環境研修センターなどに引率し、研修をさせています」ということでした。自身の専門に割ける時間は少なそうで、大学の先生も大変そうです。
蛾屋さんで、佐賀昆事務局の古川さん、体調不良は多少改善されたようです。
翌日は、佐賀昆の総会ということで、この1次会終了後、明日の準備も有り、塚田さんと共に、早めに帰宅されました。
いつも楽しい酒の、元昆虫巡査・甲虫屋の佐々木さん。
相変わらず、フェイス・ブックの2mmクラブで気を吐いていますが、一時毎月のように発行されていた、「日田博物ニュース」がしばらく停まっています。
充電中とは思いますが、是非、また再開して下さい。
順番が回ってきて、立ち上がった私、話が長くなってしまいました。
というのも、昨年に引き続き、この会に間に合わせるべく、編集の築島さんと二人、四苦八苦して、なんとか久留米昆の会誌 KORASANA 82号、83号を発行して、持参したのです。
会員のメンバーの意欲の表れか、全部で260ページほどになってしまい、熟慮の結果2つに分けて、2号同時に出すことになってしまいました。
目次は以下の通りです。
築島・時津さんのアオスジアゲハの異常型の記事、
長崎昆若手のホープ深川さんによる珍しい長崎県産甲虫、
福岡県産甲虫相についての第一人者・城戸さんによる九千部山でのFITの成果、
ほか、採集記など、興味深い記事が満載です。
続いて83号。
目次は以下の通りです。
病気療養中のため、今年も不参加の田畑さんによるウンカ・ヨコバイ類についての力作の以下3編(併せて約160ページ)は圧巻です。
1.日本産頸吻群ハゴロモ型類仮リスト(ウンカ科を除く)
2.ヨコバイ・ノート
3.補遺2:九州産を中心にしたウンカ科簡易暫定仮リスト
田畑さんの報告は、国内外の膨大な数の文献を駆使して、現状を再考されたもので、図鑑等で使用されている学名等にいかに誤謬が多いか、正しくはどの学名を使用すべきか、という精緻な議論が展開されています。
この群を研究される方は、是非、1度は、田畑さんの報告に目を通していただきたいと思います。
さらに、KORASANA 83号には、ハエ類の権威で、前・久留米大助教授の上宮先生によるキモグリバエ科の属までの絵解き検索が掲載されています。
今回が解説の1ということで、今後も、連載していただけそうです。
だいたいの感覚として、82号は主としてアマチュアの楽しみのために、83号はプロにも見ていただきたい資料として、編集したつもりです。
久留米昆では、今後とも、会員から提出された原稿は、どんなものでも極力、掲載していきたいと考えています。
会員の方は今後も奮って原稿を投稿下さい。
そして、報告を公表したい非会員の方、是非、会員になって下さい。年会費は3500円です。
会員になるほどではないが会誌は欲しい方、
82号、83号共に、それぞれ、2500円で販売しています。
本ホームページの左上の部分に、おたより、という項がありますので、そこをクリックいただいて、氏名とメールアドレスを明記して、その旨書いていただければ、私の所へ届きます。
注文を受け付けることが可能です。
長々とKORASANAの宣伝をしてしまいました。
次の写真は、何か、あやしげな売買が行われていそうに見える写真ですが、イエイエ、会場で熱心にKORASANAの宣伝をしていた編集者の築島さん(右)が、会場で買い忘れていた宇都宮さん(左)に、二次会への途中で買っていただいているところです。
宇都宮さんは、今年も、四国からの参加です。
かつては一緒に参加されていた奥さんは、湯質が九州一とも言える山鹿温泉で温泉三昧とのことです。
そんなわけで、この他にも数名の方からセットで購入いただき、築島さんと二人で喜びました。この会に合わせて発刊したかいがあったというものです。
さて、例年のように、私は、顕微鏡とパソコンを持参しておりました。
三宅さんとは、必要なファイルを交換したりして、一応、役には立ったのですが、今年は標本を持参して同定を求める方は少なかったようです。
(左・山本さん、右・私、右隅に顕微鏡が見える)
三宅さんは、今年も、多重合成で素晴らしく精細に撮られた珍品の写真を、いくつもご自身のパソコンで披露されていたようでしたが、若い参加者と彼方此方話している間に時間が過ぎ去り、とうとう、今年は見そびれてしまいました。
近日中に、大分昆の会誌が発行されるはずなので、必ずそれらの写真は、掲載されるでしょう。
その他、特別な話題について話さなかったので、写真を割愛しましたが、アセスの会社にお勤めの久村さん、ちょっと前までの幹事・祝さん(今日は遅れて転居先の鹿児島からの参加で、二次会では持論を展開して楽しまれていたようです)、アセス会社を経営されている宮崎さん(いつも寡黙な方です)、高校教師の松尾さん、毎年夫婦で参加されているアセスの会社にお勤めの西田夫妻、同定のプロと言える京都から参加の矢代さん、世界的なユスリカの権威・山本さんなど、今回は、25名の参加でした。、
楽しそうな、歓談の写真も紹介します。多くの写真を提供頂いた松尾さん、佐々木さんにお礼申し上げます。
(左から、松尾・佐々木・宇都宮さん)
(前列左から、中原・佐々木・矢代さん
後列左から、宇木・宇都宮・堤内・野崎Aさん)
いつものように、二次会会場に移って、こちらは私の乾杯の音頭で幕開け。
それからも、虫談に花が咲き、いつものように楽しい一夜を過ごしました。